不動産売却前に知っておきたい!住宅ローン残債の返済方法と注意点
2023.04.28不動産を売却するためには、通常不動産を売ったお金でローン残債を完済する必要があります。
ただ、ローン残債という大きなお金を集めるのは、決して簡単なことではありません。
必要額を用意できるかどうかを考えて動かないと、売却手続きを進められなくなってしまいます。
この記事では、不動産売却前に知っておきたい住宅ローン残債の返済方法や、ローン返済の流れなどを押さえていきましょう。
住宅ローン残債がある状態でも不動産は売却できる?
住宅ローン残債がある状態でも、買い主への引き渡しまでにローンさえ完済できれば、不動産を売却できます。
なぜローンの完済が売却の条件になっているのかというと、ローンを組んで購入した不動産には、返済が滞ったら金融機関が家を差し押さえて良いという権利、抵当権が設定されているからです。
抵当権付きの不動産は、取引を終えて家を買い主へ引き渡した後でも、売り主がローンを滞納すると金融機関に差し押さえられるというリスクを抱えています。
リスクの高い物件を欲しがる買い主は少ないので、不動産売却では買い主を見つけるために住宅ローン残債を片付け、抵当権を外す必要があるのです。
住宅ローン残債を完済する方法
●不動産の売却代金で完済する方法が一般的
住宅ローン残債を整理する方法としては、不動産の売却代金を返済に充てる、という方法が一般的です。
たとえば、1,500万円のローン残債がある家を手放すとき、不動産を2,000万円で売却できれば、ローンを完済しても手元に500万円残るので問題ありません。
しかし、不動産の売却代金が想像よりも安く、1,400万円だった場合は、自分の預貯金などから100万円用意する必要があるのです。
●一番のおすすめは繰り上げ返済
最終的にローンを完済するだけのお金を用意できれば、住宅ローンが残っていても不動産を売却できます。
しかし、必ずしも不動産の売却代金で十分な返済費用を確保できるとは限りません。
そんな時におすすめしたいのが、繰り上げ返済です。
通常、住宅ローンの返済では毎月「利子+元金」を支払いますが、繰り上げ返済では支払った金額すべてが元金の返済に使われます。
不動産の売却代金でローンを完済できるようになるまで、少しずつ繰り上げ返済を進めれば、高く売れない物件も売却できるでしょう。
●住み替えローンなどを使うという手も
不動産の売却代金でローンを完済できず、自己資金にも余裕がない場合、住み替えローンを利用するという手もあります。
住み替えローンは、旧居のローン返済資金と新居を買うためのお金、両方をまとめて借りるローンです。
「返済が厳しくて家を売りたい」という場合は、より低金利のローンを探して借り換えても良いでしょう。
借り換えによってローンの返済負担が軽くなれば、家計に余裕ができますし、繰り上げ返済を利用した完済も目指しやすくなります。
住宅ローン残債を完済するときの流れ
住宅ローン残債を完済するときの流れは、以下の通りです。
- ローン残債の確認:いくらあれば完済できるか、金融機関に確認する。
- 不動産の売却:不動産を売って売却代金を手に入れる。
- ローン残債の支払い:売却代金等を使い、住宅ローンの残債を完済する。
- 登記:ローンの完済後、法務局で手続きして抵当権を抹消する。
通常、売却代金の受け取りと抵当権の抹消、不動産の所有者情報である登記の書き換え、物件の引き渡しは同日に行います。
慣れない手続きが多く不安になるかもしれませんが、不動産業者に仲介を頼めば必要書類などを教えてもらえますし、抵当権を始めとした登記手続きは司法書士に委任できるので、心配する必要はありません。
住宅ローン残債を抱えたまま不動産を売却する場合の注意点
●契約内容によっては違約金がかかることも
固定金利の住宅ローンは、繰り上げ返済や一括返済をした場合の違約金を設定している場合があります。
具体的な金額は金融機関によって違いますが、30年ローンを購入後3年の段階で売却するなど、ローンの残期間が長い場合は違約金が高くなることもあるため、注意が必要です。
また、違約金ではありませんが、繰り上げ返済そのものに手数料がかかる金融機関もあります。
●売却を待った方が良いケースもある
ローンを組んで家を買うと、一定期間住宅ローン控除という減税制度を利用可能です。
住宅ローン控除は非常に節税効果が大きいため、売り主によっては住宅ローン控除を最大限に受けてから売却をした方が、金銭的に得することも考えられます。
不動産を今売るべきかどうかも含めて、不動産の売却を考えるときは税務署や不動産業者に相談しましょう。
まとめ
住宅ローン残債のある不動産を売るときは、原則としてローンの完済が必要です。
ただ、誰もが都合良く不動産の売却代金でローンを完済できるとは限りません。
不動産を売るときは、税の控除や中古不動産市場の相場、ローン残債などさまざまな要素を考えて、自分にとってよりお得な選択をする必要があります。
一人で答えを出すのは難しいので、不動産業者を始めとしたプロの手を借りて、満足度の高い不動産売却を実現しましょう。