不動産売却後の税金を節約できる!売却時に役立つ税の特例を紹介
2023.07.27不動産を売却すると、売却益に対する所得税や住民税が課税されます。
ただし、日本の税制は自己申告制。
課税額や納税額を自分で計算し、自分で納税するという負担を国民に与える代わりに、申請すれば税金が安くなる特例も用意されているのです。
今回は、不動産売却後に発生する税金を、安くできる税の特例をご紹介していきます。
不動産を売ると売却益に応じた税金がかかる
日本では、不動産売却を含む何らかの手段でお金を儲けた場合、納税が必要です。
ただし、課税されるのは、手に入れた金額(収入や売上)から、経費と控除を差し引いた所得の部分。
不動産売却に関しては、一般人がマイホームを売ったり住み替えたりする際に損をしすぎないように、売上から引き算できるさまざまな控除が用意されています。
税の特例で控除を受ければ納税額を抑えられるので、どのような特例があるのか知っておきましょう。
不動産の売却時に使える税の特例
●3,000万円の特別控除
マイホームを売却した場合、不動産の売却代金から、最大で3,000万円控除できる特例です。
不動産の売却代金が3,000万円以下なら、不動産を売った売却益に対する所得税はかかりません。
ただし、不動産を売った年の過去2年以内に、その他税の特例を受けていないこと、売却相手は親族等ではなく、特別な関係のない第三者であることなどが要件となっています。
●10年超所有するマイホームを売った場合の軽減税率
10年以上所有しているマイホームを売った場合、譲渡所得税の税率が大幅に安くなるという特例です。
- 家を売った年の1月1日時点で所有期間が10年を越えていること
- 売却の前年・前々年に他の特例を利用していないこと
- 売却する相手が親族等特別な関係以外であること
といった条件があるものの、特例を適用すると、譲渡所得税の税率が6,000万円以下は10%に、6,000万円超は15%+600万円になります。
譲渡所得税の税率は、所有期間5年未満で30.63%、所有期間5年超で15.315%なので、節税効果は大きいです。
また、3,000万円の特別控除と併用できます。
●持ち家を買い換えたときの特例
元の住まいを売って新しい家を買った場合、「元の住まいを売って得た売却益」に対する税の納税が必要です。
しかし、「特定の居住用財産の買換えの特例」を利用すると、旧居に対する課税を将来に持ち越せます。
税金がなくなるわけではありませんが、将来新居を売却する際に、課税計算をまとめて行えるため、「旧居の売却で発生する税の負担で、新居に使える予算が減ってしまう」という状況を回避できるのがポイントです。
●住宅ローン残債を下回る額で持ち家を売ったときの特例
5年以上所有していて、住宅ローンの返済期間が10年以上残っているマイホームを売却し、不動産の売却代金でローンを完済できなかった場合、損した金額を最長3年間所得から控除できます。
たとえば、ローン残債1,500万円の家を1,200万円で売ると、300万円の借金が残る代わりに、3年間毎年100万円ずつ所得が減り、税金が安くなるわけです。
●マイホームを買い換えて損したときの特例
マイホームの買い換えにおいて、旧居の売却で損をした場合、損失分を最長3年間所得から控除できるという特例です。
特例の適用を受けることで、住宅ローンの返済期間が短く残債が多く残っている、家を買った後に地価が下がってしまったなど、家を売ると損する状況でもマイホームの買い換えを進められます。
ただし、その他の税の特例を受けている場合や、売却相手が親族など親しい間柄だった場合、不動産の所有期間が5年以下だった場合などは、特例を利用できません。
節税効果の高い税の特例を利用するために必要なこと
●使えそうな特例を見つけて要件を満たす
不動産の売却時に使える税の特例には、さまざまな種類があります。
特例によって利用条件やほかの特例と併用できるかどうか等が違うため、節税の特例を利用するときは、「自分に合った特例があるか」「特例の利用条件を満たせるか」を必ず事前に調べましょう。
場合によっては、特例の要件を満たすために不動産売却を遅らせた方がお得、といったケースも出てきます。
●確定申告を行う
特例を受けるためには、確定申告という手続きが必要です。
原則として、確定申告書を作成し、特例の申請に必要な書類と一緒に税務署へ提出しないと、税の特例は受けられません。
確定申告そのものが複雑な手続きですし、提出期限も家を売った年の翌年2月16日から3月15日と決まっています。
提出書類にミスがあったり、申告が遅れたりすると節税にならないので、不動産業者や税理士、税務署の職員等に相談して申告書類を用意しましょう。
まとめ
不動産を売って利益が出ると、譲渡所得税や住民税がかかりますが、税の特例を利用すれば納税額を大幅に抑えられます。
ただし、税の特例を利用するためには、各特例の要件確認と、必要書類の準備、そして確定申告が必要不可欠です。
不動産を売ってから、特例の要件を満たしていないことに気付いても、挽回できません。
不動産を売るときは、専門家のアドバイスを受けつつ、納税額を安くする方法を考えましょう。