離婚するとき夫婦の家は売却すべき?財産分与の基礎知識
2023.07.27
離婚するときは、結婚後に築いた財産を分与する必要があります。
そして、結婚してから買った家は、財産分与の対象です。
ただ、離婚に至った経緯やお互いの意思、資産の状況等によって、お互いが納得できる財産分与の仕方は変わってきます。
ここでは、離婚をするとき夫婦の家を売却した方が良いのか判断できるように、財産分与の基礎をご紹介します。
夫婦が離婚する場合「財産分与」という手続きが必要
●財産分与とは
財産分与とは、離婚をする際、夫婦の共有財産を公平に分ける手続きのことです。
原則として、「結婚してからお互いが手に入れたお金や資産」を「半分ずつ」分けるというルールになっています。
結婚後に家を買ったり建てたりしている場合、当然ながらマイホームも財産分与の対象です。
ただ、不動産は、現金と違ってそう簡単に2分割できません。
不動産をどのように分ければ良いのかという判断は、状況によって変わってくるため、離婚をする場合は財産分与についてお互いに知っておく必要があります。
●独身時代・相続で手に入れた不動産は財産分与の対象外
結婚前から所持している財産、また結婚後に相続で手に入れた財産は、財産分与の対象外です。
なぜなら、これらのお金や不動産は、「夫婦の協力」で手に入れたものではないから。
独身時代の預貯金、親から相続したマンションなどは財産分与の対象にならないため、「相手とどう分けるか」を考える必要はありません。
財産分与の対象になる財産とそうでない財産の区別ができないと、分ける必要のない財産を請求されたときに対応できないので、両者の違いを押さえておきましょう。
持ち家を財産分与する方法
●パターン1:家を売ってお金を分ける
離婚時の不動産財産分与として、最もオーソドックスな方法は、家を売り、そのお金を半分ずつ分けるというものです。
不動産の売却準備や買い主探しなどで時間と労力を使いますが、不動産を現金化してしまえば、1円単位で公平に財産を分与できます。
高額な資産である不動産をどちらかが受け取ると、一方が金銭的・資産的に得するかたちになり、揉め事になりやすいので、基本的にはマイホームは売却するのがおすすめです。
●パターン2:家をどちらかひとりのものにする
家を受け取る側がお金を払って、土地・建物の名義を自分のものにするという方法もあります。
たとえば、夫名義で買った2,000万円のマイホームに対して、妻が1,000万円支払って名義を買い取れば、不動産を妻個人の所有物にできるのです。
お金を払わず、一方に財産を放棄してもらう場合もありますが、「夫名義でローンを組んだ家に妻と子が住み、その後夫が返済を滞納した」といったトラブルになるリスクを考えると、あまりおすすめできません。
●パターン3:共有名義にする
不動産の名義を50%ずつ所有することで、現金をやり取りせずに不動産を維持するやり方です。
引っ越したくない側に十分なお金がなくても不動産を維持できますが、その代わり一つの不動産を2人で所有することになるため、権利関係が複雑になります。
本人が亡くなったり、再婚後に子どもができたりした場合、不動産の扱いで揉める可能性が高いです。
離婚時に持ち家の売却をおすすめする理由
離婚時に持ち家の売却をおすすめする理由は、「不動産を売却して現金を分ける」以外の方法を選ぶと、後々トラブルになってしまうリスクがあるからです。
不動産の名義を放棄してもらうと相手が損をすることになりますし、名義を共有すると不動産の売却や建て替えをする際にも相手の同意を取る必要があります。
「相手に相応のお金を払って不動産を自分のものにする」方法なら、権利関係はクリアできますが、まとまった額の現金がないと、この選択肢は選べません。
現実的に考えると、離婚時は多少損をしても不動産を現金に変え、お金を分けた方が楽なのです。
離婚時の不動産売却手順
離婚時の不動産売却は、以下のような手順で進めていきます。
- 不動産を含めた財産分与のルールを夫婦で決める
- 離婚届を出す
- 不動産業者を探して査定を受ける
- 不動産業者と契約
- 広告を出し内覧を受けて買い主を見つける
- 買い主と売買契約を締結
- ローンの審査等に問題がなければ物件の引き渡し・代金の決済
- 不動産の売却代金を話し合いの結果に沿って分ける
ポイントは、不動産の売却代金を分ける前に離婚届を出すことです。
お金の分与を離婚後に行うと、不動産の名義人でない側が贈与税を納めることになります。
また、婚姻期間中に家を売れば、不動産を売って得したときに発生する税金、譲渡所得税を節税する特例を使えます。
まとめ
持ち家に住む夫婦が離婚をする際、最も揉め事になりやすいのが不動産の扱いです。
原則としては、結婚後に得た財産は夫婦で2分割しますが、不動産の場合資産価値が高いので、「一方がもう一方にお金を払って不動産を取得する」という方法をなかなか利用できません。
名義をそのままにして相手を住まわせたり、名義を共有したりするのは高リスクですし、離婚後も相手と定期的に連絡を取ることになるので、離婚するときは不動産を売却し、そのお金を分け合いましょう。