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不動産売却が難しくなる?心理的瑕疵物件について解説

2023.11.07

不動産売却が難しくなる?心理的瑕疵物件について解説

中古不動産市場において、心理的瑕疵物件は、多くの買い主が購入を避ける住宅です。

ただ、心理的瑕疵物件は、「そこで何があったか」によって、売却時の注意点や売却価格が変わってきます。

トラブルの内容次第で、告知義務の対象になったりならなかったりするため、適切に売却するためには、何が心理的瑕疵に当たるのかを把握しておくことが重要です。

今回は、心理的瑕疵の具体例や、心理的瑕疵物件の売り方などを押さえましょう。

心理的瑕疵って何?

心理的瑕疵とは、建物そのものに問題はないが、「この家には住みたくない」と感じてしまう問題、殺人・火災・周辺住民に嫌悪感や恐怖を与えるような事件・事故などのことです。

物件内で誰かが亡くなったり、過去に火災が起きていたりすると、買い主は心理的に抵抗や不安を覚えます。
そのため、心理的瑕疵物件は、スペック上優良な物件でも、他の不動産より売りづらいです。

心理的瑕疵の具体例

●殺人・自殺・発見されるまで時間のかかった孤独死

心理的瑕疵の具体例として、最も分かりやすいのが「家の中で誰かが亡くなった」というもの。
事件の経緯や現場の状態がどうであれ、家の中やマンションの共用部分、場合によっては他の部屋で殺人事件が起きると、心理的瑕疵物件となります。

なお、自然死の場合、発見が早ければ心理的瑕疵になりませんが、発見されるまで時間がかかると、心理的瑕疵物件です。

●火災

意外かもしれませんが、火災も心理的瑕疵の一種。
日本は木造住宅が多く、火災による被害や恐怖感が大きいため、たとえ一見不動産に問題がなくても、消防車がくる前に消火できたボヤでも、「火災があった」こと自体が縁起の良いことではないため、瑕疵として扱われます。
ボヤだけでなく、もらい火も心理的瑕疵であり、告知義務の対象です。

●重大な事故・事件

近隣住民などに知られるような重大な事故や事件は、心理的瑕疵となります。
例えば、トラックが突っ込んできた、犯罪組織のアジト・事務所として利用されていた、凄惨な事件の現場になったなどです。
いわゆる風評被害のような形にもなってしまいますが、心理的な嫌悪感を拭うのは難しいため、売却方法を工夫する必要があります。

孤独死は告知義務の対象になる?

●自然死・事故死に関しては告知義務の対象外

高齢社会で問題となっている孤独死に関しては、基本的に売却時の告知義務に当たらないとされるのが一般的です。
孤独死だけでなく、自然死(病死や老衰)や家の中で起きた日常生活上の事故死なども、周辺住民の不安や嫌悪感を煽るようなものでなければ、売却時に告知する必要はありません。
なお、自殺に関しては、告知義務の対象となります。

●発見が遅れると告知義務になる場合も

基本的に、自然死・事故死・孤独死は告知義務の対象外ですが、もし家の中で誰かが亡くなってから長期間誰にも発見されず、特殊清掃を行った場合は、告知義務の対象です。
人が亡くなってから発見されるまで時間がかかると、特有の臭い等が内装や基礎に染み付いてしまいます。
賃貸の場合、孤独死による告知義務は3年間ですが、売買だと期限の定めがないため、売却時の告知が必須です。

心理的瑕疵物件の売り方

●瑕疵の内容を明示して売却後のトラブルを避ける

心理的瑕疵物件を売却するときは、瑕疵の内容を明確に説明しましょう。
告知義務の対象にならない事故・事件はともかく、告知義務を伴う心理的瑕疵を隠して売ると、損害賠償請求等の対象になります。
数十年前の心理的瑕疵を伝えなかったことが原因で、裁判になったケースもあるので、「自分が購入する前に起きた心理的瑕疵」であっても、文書化して買い主へ伝えましょう。

●業者に買い取ってもらう

心理的瑕疵物件は、基本的に売りに出してもなかなか売れません。
ある程度周囲の関心が薄まるまで待ってから売るという手もありますが、売却を待てない場合は、心理的瑕疵物件に対応した専門の不動産業者に買い取ってもらいましょう。
売却価格は安いですが、市場で売り出すよりも短い期間で売却できます。
また、事故物件を持っていたこと、売ることについて、知り合いに噂される心配もありません。

●更地にしてから売る

物件自体に良くないイメージが浸透してしまっている場合、一旦建物を解体し、更地にしてから買い主を探すのもおすすめです。
建物を解体しても、心理的瑕疵の告知義務はなくなりませんが、少なくとも建物に付いたイメージはリセットできます。
不動産市場では、建物よりも空き地の方が自由度も高く、より多くのターゲットに売り込めるので、場合によっては解体した方が売却しやすくなるでしょう。

まとめ

殺人・自殺・重大な事件・事故・火災といった心理的瑕疵を抱えた物件は、多くの買い主が購入を避けるため、売却難易度が高いです。
自然死や日常生活上の事故死、発見の早い孤独死なら告知義務はありませんが、基本的に心理的瑕疵物件を売るときは、買い主へ誠実に情報を提供する必要があります。

買取業者を利用したり、更地にしてから売ったりと売却自体にも工夫が必要なので、不動産業者と相談しながら売却方法を考えましょう。

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