共有名義の不動産を売却したい!手続きを円滑にする交渉のコツを紹介
2024.03.19共有名義の不動産を売却する場合、自分の持分だけを売るよりも、権利者全員の同意を得て、不動産全体を売る方がお得です。
しかし、ほかの権利者が売却に同意してくれるかどうかは、あくまでも相手次第。
同意を得るためには、相手を上手く説得するテクニックが不可欠です。
そこで今回は、他者と共有している不動産の売却方法や、他の権利者を説得するメリット、交渉のコツについてお伝えします。
共有名義の不動産を丸ごと売るためには権利者全員の同意が必要
民法のルール上、複数人で共有している不動産は、権利者の一人が売りたいと思っても、ほか全員の同意がないと売却できません。
そして、不動産の共有者は、多くの場合不動産について詳しくない素人です。
ビジネスパートナーなどであれば、単に「今なら高く売れる」と利益をアピールするだけでもある程度、説得ができますが、相手が素人だと、利益だけでは動かないケースも出てきます。
「何だか気に入らない」「お前の話は怪しい」といった理由で売却を拒否される可能性があるため、共有名義の不動産を丸ごと売る時は、相手の感情面にも配慮した交渉の仕方を知っておく必要があるのです。
共有名義の不動産は名義をまとめた方が売りやすい
複数人で共有している不動産の売却方法は、「自分の持分を売る」か「全員で協力して不動産を丸ごと売る」のどちらかに分かれます。
ただし、たとえば市場価格2,000万円の不動産を2人で50%ずつ共有している場合、自分の持分を売って得られるのは、最大でも1,000万円です。
不動産市場において、共有名義の不動産の持分は、「買い取っても不動産全体を自由に使えない訳あり物件」なので、実際にはさらに売却価格が下がります。
持分の売却だと、買い主が見つからないことも少なくありません。
しかし、不動産の共有名義を持つ権利者全員が、売却に同意すれば、2,000万円の物件として売却できるのです。
持分ではなく、不動産そのものの売却なら、高く売れる上に買い主も見つけやすくなるため、権利者全員の同意を得て売却する方法をおすすめしています。
権利者の持分をスムーズにまとめるための交渉術
●持分を統一すれば高く売れるといったメリットをアピールする
ほかの権利者に売却を認めてもらう方法として、最もシンプルでわかりやすい方法が、「皆で一緒に売却すれば不動産を高く売れる」というメリットを示すことです。
共有者全員が協力することで、各共有者の手元にまとまったお金が入るという言葉は、相手の心を揺さぶるでしょう。
また、共有名義の不動産を手放せば、共有者全員が物件の維持や管理から解放されます。
持分の所有者だが、共有不動産に住んでいない・使っていない権利者にとって、維持費は頭の痛い問題です。
現実的なメリットを提示すれば、売却に興味を持ってもらえるでしょう。
●共有不動産を子どもに残すデメリットやリスクを伝える
共有名義の不動産は、相続の対象なので、いずれ自分の配偶者や子どもへ相続することになります。
家族仲が良好で、「これまで不動産を共有していて問題になったことがない」と考えていても、自分の子や孫がほかの共有者と上手くやっていける保証はありません。
共有不動産は、相続を機に共有者が代替わりしたり、増えたりする度に、トラブルになるリスクは増えていく財産なのです。
また、共有不動産を相続させると、維持費や管理費も子や孫に押し付けることになります。
自分のことなら我慢できても、子どもや孫には迷惑をかけたくないと思う方は多いです。
特に、ご高齢の家族が売却に難色を示している場合は、共有不動産を残すことで起こりうるトラブルやデメリットを丁寧に説明して、売却に同意してもらいましょう。
●不動産業者とのやり取りなど必要な手続きを引き受ける
共有不動産の売却を嫌がる方の中には、手続きが面倒だから、とりあえず売却を拒否している方もいます。
そんなときに有効なのが、自ら率先して売却手続きを引き受けるという提案です。
不動産業者選びや売却に必要な資料の準備、内覧対応に加えて、家の片付けや契約書の確認などを引き受けると交渉すれば、売却に同意してもらいやすくなるでしょう。
ただし、自身が代表者として不動産売却手続きを進める場合、ほかの権利者から「一人だけ得しようとしているのではないか」と疑われないように注意する必要があります。
不動産売却には数ヵ月単位の時間がかかるので、小まめに途中経過を連絡したり、不動産業者を選ぶ際に意見を聞いたりして、手続きを公平に進めていることをアピールしましょう。
まとめ
共有名義の不動産は、権利者全員の同意を得て丸ごと売却するのが、一番お得です。
ただし、各権利者に売却を決断してもらうためには、丁寧に時間をかけて交渉する必要があります。
勢いで売却を進めようとした結果、相手の気分を害してしまえば、損をするのは自分です。
共有不動産を売却するメリットを伝えたり、自分の子ども・孫に共有不動産を残すリスクを理解してもらったり、面倒な売却手続きを引き受けたりして、売却に同意してもらいましょう。