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どこまでOK?何がNG?不動産物件広告の表現規制

2024.05.13

どこまでOK?何がNG?不動産物件広告の表現規制

不動産売却において、集客力の高い広告は、売却の成功を引き寄せる強力なツールです。

ただし、不動産の物件広告は、法律や業界団体の自主規制によって、使える表現・使えない表現が厳しく制限されています。
実際に広告を作るのは不動産業者なので、売り主が規制を知らなくても問題になるケースは少ないですが、売り主も広告のルールを知っておくに越したことはありません。

本記事では、不動産物件広告の表現規制について解説します。

不動産物件広告には表現規制がある

●不動産広告について定めた法律と自主規制

不動産の物件広告に適用されるのは、「宅地建物取引業法」と「不動産の表示に関する公正競争規約」の2種類です。
宅地建物取引業法は、不動産売買に関するさまざまなルールを定めた法律で、宅建業法の規制を守らずに物件広告を作ると、罰金刑や懲役等の処分を受けることになります。

もう一方、不動産の表示に関する公正競争規約は、公正取引協議会と呼ばれる不動産業界の自主規制団体が定めたルールです。
不動産の世界では、法律と自主規制という2本柱のガイドラインを使って、物件広告の透明性や正確性を守っています。

●わざわざ法律で表現が規制されているのは何故?

不動産物件広告の表現や広告の仕方を、わざわざ法律を作ってまで規制しているのは、不動産売買が非常に大きな取引であり、一度の取引で生じる被害が大きいからです。
不動産物件広告に関するルールがないと、誇大広告や嘘の広告を使い放題になってしまうので、望んだものとは違う不動産を売りつけられたり、逆に広告を悪用して不動産を買い叩かれたりする被害者が増えてしまいます。
不動産取引の知識がない消費者を、悪知恵の働く悪徳業者から守るために、法律で広告表現が規制されているのです。

●法律による表現規制①誇大広告や虚偽の禁止

法律による表現規制の中でも、主要なものの一つが、誇大広告や虚偽広告の禁止。
不動産を広告する時、実際の物件より良いものであるかのように見せかけたり、事実と異なる情報を記載したりしてはいけないというルールです。
土地や建物に関して、場所や大きさ・面積、交通の便や金額などをごまかすと、宅建業法第32条違反となってしまいます。

●法律による表現規制②広告開始時期の制限

宅建業法の第33条で定められている広告開始時期の制限は、建築基準法などのチェックを受け、確実に広告している物件が建つと約束できる場合以外は、未完成の戸建てやマンションなどを売ってはならないというルールです。
たとえば、「3LDKのマンションができますよ」という広告で分譲マンションを売却し、完成した建物を見たら2LDKしかなかった、といった誤魔化しを避けるために規定されています。

●法律による表現規制③不動産の表示に関する公正競争規約

宅建業法の規制は、主に「不動産物件広告で使ってはいけない表現・してはいけないこと」について定めたものです。
一方、不動産の表示に関する公正競争規約は、「消費者が不動産を売買する際、広告に載せておくべきこと」について規定しています。
たとえば、根拠のない抽象的な表現を避けること、広告には不動産の種類・場所・価格・立地・周辺環境を明記することなどです。

不動産物件広告のNG表現

不動産の広告では、以下のような表現を避けましょう。
・完璧・絶対・安全・万全など根拠のない表現
・一流メーカー・日本一・当社のみなど、他の業者よりも優れていると主張する表現
・特別・特選・厳選・最高など特別良いものであるという表現
・駅まで400メートルなのに徒歩2分と表記すること(不動産業界では分速80メートルで計算する)

法律を守って不動産物件広告を作るためのポイント

●不動産業者に適切な情報提供を行う

法律を守った不動産物件広告を作る上で重要なのは、広告作成を任せる業者に適切な情報提供をすることです。
最寄り駅や周辺施設への距離、物件の強みとしてアピールする特徴など、細かい部分は不動産業者だけで考えるより、売り主として共に検討する方が正確な情報を記載できます。
また、過去の住宅トラブル等を正確に伝えておけば、シロアリ被害があるのにそれを隠して広告し、後日損害賠償等の対象になる、といったトラブルになる心配もありません。

●信頼できる不動産業者に広告作りを任せる

不動産の広告作りを、信頼できる業者に頼むことも重要です。
主に賃貸物件の事例ですが、公正取引協議会では、現代でも問題のある広告が摘発されています。
法律上問題のある広告を作っても、売却後のリスクが増えるだけです。
相見積もりを取ったり、過去の実績や広告を確認したりして、優良な業者に売却の仲介と広告作りを任せましょう。

まとめ

不動産物件広告を作るときは、宅建業法と不動産の表示に関する公正競争規約の両方を守る必要があります。
業者に任せていれば、問題なく広告を作ってもらえると考える方も多いですが、細部まで正確で分かりやすい広告作りには、売り主による積極的な情報提供が必須です。
広告の出来次第で売却期間なども変わってくるため、不動産を売る時は信頼できる不動産業者と契約し、適切な広告を出しましょう。

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