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相続した家を売ると税金が安くなる!空き家特例の概要や使い方を解説

2024.05.13

相続した家を売ると税金が安くなる!空き家特例の概要や使い方を解説

親から相続した空き家や土地を売却する場合、「空き家特例」を利用すると税金が安くなります。

ただし、空き家特例のような減税の特例を使いこなすためには、制度に関する理解が必要不可欠です。

今回は、空き家特例の概要から、特例の利用条件、空き家特例を受ける際に提出する書類、特例を利用する際の注意点まで、空き家特例を使う上で知っていると役に立つ情報を解説します。

空き家特例って何?

空き家特例とは、生前親が住んでいた家を相続や遺贈によって手に入れ、売却する場合、特定の条件を満たしていると、譲渡所得から3,000万円(相続人が3人以上だと2,000万円)控除できるという制度です。

通常、不動産を売って利益が出た場合、売却価格から必要経費(取得費・譲渡費用)を差し引いた儲けである譲渡所得に応じた、「譲渡所得税」がかかります。
たとえば、相続した家を4,000万円で売却し、取得費が200万円、譲渡費用が150万円なら、差額の3,650万円に対して課税されるわけです。
譲渡所得税は、不動産を手に入れてから、つまり相続をしてから5年以内に売却すると税率が高くなります。
しかし、空き家特例を利用すると、3,000万円の特別控除を利用可能。
3,350万円から3,000万円控除した場合、譲渡所得350万円に対する税金だけで、不動産を処分できます。

このように、相続した不動産を売却するときの税負担を軽減することで、中古不動産の売却を促し、空き家が増えないようにするために作られたのが、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」なのです。

空き家特例の利用条件

空き家特例を利用するためには、以下の条件をクリアしている必要があります。
・相続の直前まで故人が住んでいた家であること(老人ホームなどへの入所で家を空けていた場合もOK)
・1981年5月31日以前に建築された住まいであること
・上記の不動産を相続または遺贈で手に入れていること
・相続後3年以内に売却すること
・相続から売却まで自分で住んだり誰かに貸したりしておらず、空き家または更地の状態で売っていること
・売却の翌年に確定申告をすること

親から相続したものであっても、投資用の賃貸物件であったり、相続後に自分が住んだりしていると、特例を利用できません。

空き家特例の必要書類

空き家特例を受けるときは、確定申告で以下の書類を提出する必要があります。
・譲渡所得の内訳書
・登記事項証明書(譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書を提出すれば省略可能)
・被相続人居住用家屋等確認書
・耐震基準適合証明書か建設住宅性能評価書の写し
・売買契約書の写し

書類に不備があると特例を受けられないので、良くわからない場合は売却時に頼った不動産業者に税理士を紹介してもらい、確定申告と特例の利用申請を進めましょう。

空き家特例の使い方と注意点

空き家特例利用時の流れは、以下の通りです。
・不動産を相続する
・相続した不動産が特例の要件を満たしているか確認する
・相続後3年以内に不動産を売却
・売却を行った翌年に確定申告を行う
・特別控除を受けた上で譲渡所得税を納税する

空き家特例は、不動産を親族や内縁関係にある相手、親族が経営する法人などに売った場合利用できません。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例など、相続不動産に使える別の特例を受けている場合も同様です。
また、売却価格が1億円を超える場合、特例を利用できない点も押さえておきましょう。

空き家特例に関するQ&A

Q.被相続人居住用家屋等確認書を取りたいのだが、親が住んでいたことや介護施設に入っていたことを住民票で証明できない場合、どうすれば良いですか?
A.居住の実態がわかる書類、戸籍の附票の写しや、老人ホームの契約書、介護保険証などがあれば、確認書を取得して特例の利用手続きを進められます。

Q.「売却後に買い主が家を取り壊すこと」という特約を付けて売却する場合、特例は受けられますか?
A.従来は利用できませんでした。
しかし、制度の改正によって、2024年1月1日以降に売却する場合、売却した翌年の2月15日までに解体工事を行えば、空き家特例を利用できるようになっています。

Q.建物を取り壊してから売却したが、解体したことを証明する書類がない場合、どうすれば良いですか?
A.法務局で閉鎖事項証明書を発行できない場合も、解体工事の契約書のコピー等があれば特例を受けられます。

Q.介護施設などではなく、親族や子どもの家に引っ越してから親が亡くなっている場合、特例は利用できますか?
A.利用できません。
介護施設などではなく、生前に親族の家や賃貸物件など、別の居住用住宅へ引っ越している場合は、特例の対象外です。

まとめ

空き家特例を利用することで、相続した家を売るときに発生する譲渡所得税を、大幅に節税できます。

ただし、空き家特例は、利用要件が厳しく、通常の不動産売却では使わない書類の取得も必要です。
また、空き家特例は、制度が出来てから何度か改正されています。

特例を利用するときは、必ず最新の情報をチェックし、相続した家が条件を満たしているのか確かめた上で、手続きを進めましょう。

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