意外と高い?不動産売却時にかかる諸費用の内訳と節約のポイント
2024.08.26
不動産の売却時にかかる諸費用の相場は、物件価格や売却プランにもよりますが、多くの場合売却価格の5~7%です。
諸費用を見落とすと、必要なタイミングで必要な支払いができなかったり、新居や新生活の予算が足りなくなったりする可能性があるため、不動産を売るなら、諸費用について知っておきましょう。
今回は、不動産売却時に支払う諸費用の内訳と、各種費用を節約するためのポイントをご紹介します。
不動産売却時にかかる諸費用の内訳
●仲介手数料
仲介手数料は、買い主を探してもらう不動産業者に支払う成功報酬です。
請求額の上限が法律で決められており、基本的には「売却価格×3%+6万円」に消費税を上乗せした額を支払います。
諸費用の中では最も負担が重く、不動産の売却価格が2,000万円なら66万円(税別)、3,000万円なら96万円(税別)です。
多くの場合、売買契約時と物件の引き渡し時の2回に分けて支払います。
●登記手続きの費用
不動産の売却時に住宅ローンが残っている場合、抵当権の抹消登記が必要です。
抵当権とは、住宅ローンを組むときに設定する差し押さえの権利のことで、抵当権が残ったまま物件を買い主に引き渡すと、買い主は「いつ売り主のミスで家が差し押さえられるか分からない」というリスクを背負うことになります。
当然ながら、ほとんどの買い主が抵当権の残っている家を欲しがらないため、不動産を売るときは、引き渡しまでにローンを完済し、抵当権を解除する必要があるのです。
抵当権抹消登記の手数料は、不動産ひとつ(土地・建物を個別にカウントする)につき1,000円ですが、手続きを司法書士に依頼すると、1万5,000円前後かかります。
●譲渡所得税・住民税
不動産の売却によって得た利益に対して、課税される所得税と住民税です。
普段給与から天引きされている所得税とは税率が違い、
・不動産の所有期間が5年以下:39.63%(譲渡所得税30%×復興特別所得税2.1%+住民税9%)
・不動産の所有期間が5年超:20.315%(譲渡所得税15%×復興特別所得税2.1%+住民税5%)
が適用されます。
不動産を買ったときより高く売った時は、納税の備えが必要です。
●引っ越し費用
家を売って新居に引っ越す際、引っ越し費用もかかります。
具体的な引っ越し費用は、荷物の量・新居までの距離・時期によって変わりますが、数万円から十数万円必要になると考えておきましょう。
引っ越し業者の繁忙期になると、引っ越しの予約を取りづらくなり、暇なシーズンに比べて数万円引っ越し費用も高くなるため、不動産を売るタイミングが重要になってきます。
●住宅ローンの返済手数料
物件の引き渡し日に受け取った売却代金を使って、住宅ローンの残額を一気に返済する場合、金融機関から返済手数料を求められるケースが多いです。
繰り上げ返済手数料は無料でも、一括完済だと、金融機関が今後の返済期間中に受け取るはずだった金利の分だけ損をすることになるため、一括返済に関しては手数料が必要という金融機関は少なくありません。
金額は金融機関によりますが、1~3万円ほど請求されます。
●売却物件のリフォームや修繕等の費用
物件を売りやすくするため、または価値を高めるための工事にお金がかかる場合もあります。
具体的には、内装のリフォームや壊れた住宅設備の修繕、土地の測量にハウスクリーニングなどです。
どの程度の対応をするのかによって、必要な予算は数万円から数百万円まで変動します。
ただし、不動産売却では、売却前の工事等にお金をかけるメリットが薄いので、大規模なリフォームはおすすめできません。
諸費用を節約するためのポイント
●確定申告を行う
不動産売却時の諸費用を節約する上で、最も重要なのは、確定申告を行って税の特例を活用することです。
条件にもよりますが、確定申告を行うと、譲渡所得税を大幅に安くできる「3,000万円の特別控除」を始めとした節税の特例を受けられます。
譲渡所得税や住民税がかかる方も、税の特例を使えば納税額を減らせるため、不動産の売却後は忘れずに確定申告と特例の申請を行いましょう。
●引っ越しの繁忙期を避ける
諸費用の中で、節約しやすいのが引っ越し料金です。
仲介手数料は、安さで選ぶと問題のある業者と契約してしまうリスクがあり、登記費用や住宅ローンの返済手数料は、相場や金額がある程度、決まっているため、なかなか安くなりません。
しかし、引っ越しに関しては、料金が高くなる3月などの繁忙期や週末を避け、スケジュールが空いているシーズンの平日などに依頼することで、節約が可能です。
また、複数の引っ越し業者に見積もりを頼めば、より金額の安い業者や、対応の良い業者を選べます。
まとめ
不動産売却における諸費用の相場は、売却価格の5~7%。
売却代金を全額自由に使えるわけではなく、特に仲介手数料や売却前に行うリフォームなどの費用は、売却代金が入ってくる前に支払いが発生するため、不動産を売る時は余裕のある売却プランを立てましょう。
また、諸費用の額をあらかじめ計算し、節約すれば、手元に残すお金を増やせます。
確定申告を行い、不要なリフォームを避け、引っ越し業者の暇な時期を狙って諸費用を節約するのがおすすめです。