契約トラブルを回避！不動産の売却前に確認すべきポイントを紹介

column 771.

契約トラブルを回避！不動産の売却前に確認すべきポイントを紹介

2024.08.26

不動産の売却は、多くの方が人生で一度か二度しか経験しない、非常に大きな取引です。
ただし、残念なことに、不動産売却でトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

そこで今回の記事では、不動産売却が契約トラブルになりやすい理由と、トラブルを回避するために押さえておきたい、契約上のポイントについて解説します。

不動産売却はトラブルになりやすい

不動産売却は、日常的な買い物等に比べて非常にトラブルになりやすい取引です。
理由はいくつかあります。

一つは、物件や契約に関する問題の多くが、物件の引き渡し後に発覚すること。
たとえば、物件を不当に安く買い叩かれた場合、契約前なら不動産業者との契約を解除して、別の業者経由で売却するという方法を取れます。
しかし、不動産を売却した後だと、不満を訴えても取り合ってもらえません。
取引額が大きい分、諦めるわけにはいかないため、不動産売却トラブルは法的な争いに発展しやすいのです。

もう一つの理由は、そもそも売買契約書の内容や、売買条件が一般人にとって難しく、すれ違いや誤解が生まれやすいこと。
たとえば、売買契約書を交わす時は、残置物（家に残していく設備やアイテム）についても記載します。
契約書に残置物なしと書いていても、買い主が「内覧中に置いてあったから、エアコンも照明も残しているものだと思った」と主張すれば、トラブルになってしまうのです。
売り主側に非がなくても、トラブルが起きると精神的に疲れますし、時間も取られます。
こうした行き違いを減らすために、不動産を売るときは契約上の注意事項を知っておき、買い主に丁寧な説明をすることが大切なのです。

契約トラブルを避けるために確認すべきポイントとは

●売買条件と物件の詳細

売買契約書を作成するときは、不動産をいくらで売るのか、いつ引き渡すのか、支払い方法をどうするのかといった売買条件を隅々までチェックしましょう。
表現があいまいだったり、決めるべき項目を決めていなかったり、口約束を交わしていても書面に起こしていなかったりすると、後々トラブルになる可能性があります。

また、不動産を売るときは、売り主の責任として物件の詳細や現在の問題点を買い主に伝える必要があるため、物件詳細を漏れなく書面にしておくことも重要です。
引き渡した物件と書面に書いてある物件の状態に違いがある場合、買い主は売り主に対して補修や損害賠償を請求できます。
売り主が住居の問題をわざと隠していても、知らなかったとしても、買い主側は補償を請求する権利を持つため、不動産の売却時は物件の状態を調査し、書面で買い主に伝えましょう。

●手付金や違約金に関する項目

手付金とは、不動産の売却時に、買い主に先払いしてもらう代金の一部です。
民法のルールでは、手付金の支払い後、売り主側が一方的な理由で取引をキャンセルすると、買い主に手付金の倍額を支払う、買い主側が一方的なキャンセルをした場合は、手付金を売り主に預けて諦めると決められています。
ただ、契約書で手付金や契約解除した場合の違約金等について定めていないと、「契約書に書いていないから違約金は払わない」といったトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
手付金・違約金について明確に記載することで、トラブルを予防できますし、万が一、トラブルになったとしても、契約書に書いてある対応で解決できます。

●特約・特記事項

もし、売り主と買い主の間で特約や特記事項の取り決めがある場合、必ず書面に記載しましょう。

・物件の引き渡しまでに壊れた給湯器を修繕する
・エアコンなどを置いていくが、壊れていたとしても売り主は責任を負わない

など、特約や特記事項には幅広い約束事を記載できます。
事前の取り決めを口約束だけですませると、本人たちに悪気がなくても記憶違いなどでトラブルになってしまうため、書面化が重要です。

●仲介業者の対応

不動産の売買では、売り主または買い主を見つけてきた仲介業者に、仲介手数料という成功報酬を支払います。
そのため、本来なら市場で広く買い主を探すべき売り主側の仲介業者が、自分達で買い主を見つけて仲介手数料を両取りするために、他社からの問い合わせをシャットアウトする行為、「囲い込み」をされるケースが少なくありません。
こうしたトラブルを、一般人が見抜くのは非常に困難です。

ただ、複数の業者に査定を頼んで不動産の適正価格を調べ、対応を比較して信頼できる業者と契約すれば、悪質な手法に巻き込まれるリスクを下げられます。