相続した不動産を売るときのポイントと注意点を紹介
2024.08.26
相続した不動産の売却は、通常の不動産売却とは手続きや注意点が違います。
相続の手続きと不動産売却手続きの両方を進めていくことになり、相続額や売却価格によっては、それぞれ別の税金もかかるため、不動産を相続した、もしくはこれから相続する方は、相続不動産売却の知識を押さえておきましょう。
本記事では、相続時に必要な手続き、相続した不動産を売る際のポイント、相続不動産売却の注意点をお伝えします。
不動産を相続するときはまず何をすれば良い?
●遺言・相続人・財産の確認
不動産の相続時、最初に行うのは遺言の確認です。
故人の財産は、原則として配偶者や子どもなどの親族が相続することになっており、財産の何割を誰が相続するかも法律で決まっていますが、相続では故人の遺言が何よりも優先されます。
自筆の遺言書や、弁護士等に預けていた遺言がある場合、遺言を無視して財産を分けるとほかの相続人とトラブルになってしまうため、必ず遺言の有無を確認しましょう。
また、相続人が何人いるか確かめることも重要です。
現金や不動産を含めた故人の財産を調べ、目録を作り、相続人全員を集めた上で遺言を開封したり、遺産分割協議を進めたりしましょう。
●遺産分割協議と相続した不動産の名義変更
遺産分割協議とは、遺産をどのように分割するかを決める話し合いのことです。
家は誰が相続するのか、現金は誰がいくら受け継ぐのかといった内容を話し合います。
基本的には、遺言があればその内容に従い、遺言がない場合は相続人全員で話し合いましょう。
不動産を相続する場合、遺言または話し合いで、他の相続人から合意をもらうことが大切です。
遺産分割協議の内容を書面にしたら、相続した不動産の名義変更を行います。
なぜなら、不動産の名義が故人のものだと、不動産を売却できないからです。
2024年4月から、相続した不動産の名義変更、相続登記が義務化されているため、早目に手続きを進めましょう。
●相続税の申告と支払い
遺産の金額によっては、相続税の納税が必要です。
相続税は、相続人が自分達で不動産の評価額を調べたり、控除を適用したりして納税額を計算し、故人が亡くなってから10ヵ月以内に税務署へ申告する必要があります。
「不動産を相続したが、現金が足りず納税できないので売却したい」といったケースだと、10ヵ月以内に相続不動産の売却まで終わらせることになるため、注意が必要です。
遺産分割協議が長引いたり、売却準備が遅れたりすると、スケジュールに余裕がなくなるので、必要に応じて弁護士など専門家の力も借りましょう。
相続不動産を売るときのポイント
●物件の査定と評価を適切に行う
相続した不動産を売却する際は、適切な査定が必要不可欠です。
不動産には定価がなく、多くの場合、不動産業者の査定結果を見て売却価格を決定します。
この時、物件の評価が適切に行われていないと、本来の価値よりも高く売り出して売れ残ったり、もっと高く売れるはずだった物件を安く手放したりすることになってしまうのです。
一社の査定結果だけだと、物件の評価が適切か判断するのは難しいため、複数の不動産業者に査定を依頼し、査定結果や査定の根拠、担当者の対応等を比較して、信頼できる不動産業者に売却の仲介を頼みましょう。
●個人の事情に合わせて売却方法を選ぶ
不動産の売却方法は、大きく分けると仲介と買取の2種類です。
不動産業者経由で広告を出し、買い主を探す仲介は、比較的家を高く売れる代わりに、内覧対応が必要で、買い主が決まるまで3ヵ月程度はかかります。
一方、不動産業者が直接、物件を買い取る方法は、早ければ数日で不動産を現金化できますが、買取価格は仲介で売るよりも2~3割安いです。
売却に時間をかける余裕があるのか、それとも一刻も早く相続不動産を売りたいのかによって、売却方法を選びましょう。
相続不動産を売却する際の注意点
相続不動産を売却する際の注意点は、相続税の申告・納税手続きだけでなく、「不動産を売って利益を得た」ことに対する納税手続き、確定申告も必要になることです。
相続税の納税期限は、相続開始から10ヵ月以内ですが、不動産売却後の確定申告は、不動産を売った翌年の2月16日から3月15日に行います。
相続額や不動産の売却額によっては、申告が不要な場合もありますが、申告しないと節税の特例を利用できなくなったり、無申告の罰で延滞税等が発生したりするため、早目に準備を始めましょう。
まとめ
相続した不動産を売却する場合、相続と売却それぞれの手続きが必要です。
遺産分割協議や不動産売却に時間をかけ過ぎると、スムーズに相続税の申告や納税をできなくなる可能性もあるため、相続手続きの流れを理解し、段取り良く売却準備を進めましょう。
また、相続税の申告とは別に、不動産を売ってお金を得たことに対する確定申告もする必要があります。
両者は手続きの時期が違うので、必要に応じて弁護士・税理士・不動産業者といった専門家のサポートを受け、期限内にトラブルなく相続と不動産売却を終わらせましょう。