買い主からの値下げ要求にどう付き合えば良いの?価格交渉の基本戦略
2024.11.19
できるだけ不動産を高く売りたい売り主と、少しでも不動産を安く買いたい買い主、お互いの利害が対立している以上、不動産売却では買い主との価格交渉を避けては通れません。
そして、価格交渉を有利に進めるためには、売り主としての心構えや戦略が必要不可欠です。
今回は、買い主の値下げ要求に対応する、価格交渉の基本戦略や、交渉を有利に進めるためのポイント、交渉時の注意点をお伝えします。
値下げ要求に対する売り主の基本戦略
●「早く売りたい」という素振りを見せない
不動産売却時の値下げ交渉をする際に、売り主として重要なのが、売り急ぐ気持ちや素振りを見せないことです。
「早く売りたい」という気持ちが買い主に伝わると、「少し押せば値下げ要求が通るのでは」と思われてしまいます。
価格交渉をするときは、できるだけ自分の意図を悟られないよう冷静に振る舞い、押し切られそうな場合は後日返答するという形にして、不本意な値下げや必要以上の値下げを回避しましょう。
●最初から値引きありきで売り出し価格を設定する
返報性の原理といって、人間は自身の要求を認められたり、親切にされたりすると、同等の要求や親切を相手に返したくなるという心理を持っています。
つまり、不動産売却では、絶対に値引きを受けないという姿勢を見せるより、多少の値引きに応じたほうが、「安くしてくれたし、この売り主から物件を買おう」と思わせられるのです。
しかし、値下げをしすぎると売り主が損をします。
最初から相場から少し高い価格設定にしておけば、値下げをしても損をしません。
●購入意欲の高い相手とだけ交渉する
値下げ交渉については、購入意欲の高い買い主のみ相手にすることも大切です。
本気で購入を検討していない相手の値下げ要求を受けても、成約につながる可能性は低いですし、購入意欲の低い方ほど無茶な値引きを持ちかけてきます。
基本的には、内覧の段階から物件を気に入った様子を見せていたり、買付証明書の提出と共に価格交渉をしてきたりする相手とやり取りしましょう。
交渉を有利に進めるためのポイント
●相場を把握して根拠のない値下げを断る
不動産は、多くの場合、地域の相場で売買されます。
また、不動産市場では、値下げをするとしても売却価格の5~10%程度に留めるのが一般的です。
相場を把握しておけば、根拠のない値下げや極端な値下げを要求されても、「相場だから値下げしなくても売れる」「値下げ後に相場を下回るため、交渉を受けるメリットが薄い」と冷静に判断し、要求を断れるようになります。
●値下げできる限界のラインを決めておく
値下げしても良いと考えている場合は、買い主との交渉に臨む前に、どこまで値下げできるのか考えておきましょう。
「これ以上安くなるなら売れない」「これ以上安くすると自分が損をする」という限界のラインがわかっていると、押しの強い買い主相手の交渉でも、毅然とした態度で値下げを断れます。
値下げするかどうか、悩む時間を減らすことも重要です。
●買い主側の予算を見極める
基本的に、買い主が提示してくる値引き額は、買い主の予算上限よりも余裕があります。
たとえば、3,000万円の物件を300万円安くしてくれと言われた場合、2,800万円前後は出せる可能性が高いのです。
交渉を通して買い主側の予算を見極められれば、「300万円は難しいが、150万円の値下げならどうですか」といった提案ができます。
単に「300万円の値引きは無理」と断るよりも、お互いに妥協できる金額を提示するほうが、成約する可能性が高くなってお得です。
●売却開始直後や問い合わせが多い場合は交渉に応じない
もし、不動産の売却開始直後や、他にも内覧の申し込みや物件に関する問い合わせが届いている状況なら、無理な価格交渉は打ち切りましょう。
不動産の需要が高ければ、わざわざ値引きしなくても売れる可能性が高いです。
価格交渉にどう応じるかを考えたり、要求を拒否したりすること自体、売り主の負担になるので、条件の良い買い主への対応を優先しましょう。
不動産売却で価格交渉をする際の注意点
不動産売却の価格交渉は、その時々の状況や要望に応じて、対応を変えることが大切です。
たとえば、売却開始直後、なおかつ不動産を相場で売り出している場合、値引きに応じる必要はありません。
しかし、売却開始から半年経っても買い主が見つからず、できれば数ヵ月以内に売りたいといった場合なら、値引きを受けてでも成約した方が、売り主のメリットは大きくなります。
問い合わせの数や頻度によっても、いつ価格交渉を受けた方が良いかは変わってくるため、定期的に不動産業者と相談し、売却プランを修正しましょう。
まとめ
不動産売却では、本気で購入を検討して値下げを求めてくる方もいれば、安くなれば儲けもの程度の考えで、とりあえず値下げを求めてくる方もいます。
売り主の時間や体力は有限です。
全ての交渉に真正面から応じていると、売り主も疲れてしまうため、不動産を売る際はそもそも値下げに応じるのか、いくらまで値下げしても大丈夫なのかを考えた上で、購入意欲の高い買い主とだけ交渉するよう心がけましょう。