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手付金と頭金の違いは何?不動産売買における両者の違いを解説

2024.11.21

手付金と頭金の違いは何?不動産売買における両者の違いを解説

不動産売却では、手付金・頭金といった用語が良く出てきます。
ただし、言葉は知っていても、両者の違いを正確に把握している方は、決して多くありません。
大した違いがないように見えるかもしれませんが、不動産売買では、手付金の扱い方次第で契約や取引のリスクが高まってしまいます。
不動産売却の予定があるなら、手付金と頭金の違いを押さえておきましょう。

今回は、不動産売却における手付金・頭金の違いと、契約上の注意点について解説します。

手付金とは?頭金って何?両者の違いも解説

●手付金は売買契約締結時に買い主から預かる「預け金」

手付金とは、不動産の売買契約を結ぶ際に、買い主に支払ってもらう預け金のことです。
不動産代金の一部として受け取るわけではなく、契約が成立したことの証明や、売買契約後に契約をキャンセルする際に使うお金として預かります。
売買契約後、売り主都合でキャンセルする場合は、買い主に手付金の倍額を支払い、買い主都合でキャンセルする場合は、手付金を全額売り主が没収するというルールを設定し、安易な契約破棄を避けるのが、手付金の役割です。
言い換えると、お金を払えば売買契約後でも自己都合で取引をキャンセルできる仕組みでもあります。

●手付金には解約手付・違約手付・証約手付の3種類がある

手付金の役割は、解約手付・違約手付・証約手付の3種類です。
解約手付は、売り主・買い主の一方が契約を解除する際、手付金の没収や倍返しをすれば解約できるとするもの。
契約時にどの手付金か設定していない場合、手付金は自動的に解約手付として扱われます。
違約手付は、売り主・買い主の契約違反が起きたときに、ペナルティーとして手付金の没収または倍返しができるというもの。
解約手付と兼任されることも多いです。
証約手付は、売買契約の成立を証明する証拠としての役割を指します。

なお、手付金のルールは、民法や宅建業法で規定されたものです。
法的根拠があるからこそ、売り主は買い主による一方的なキャンセルに対して、手付金の没収といった対抗手段を取れるのです。

●頭金は先払いで受け取る不動産売却代金の一部

頭金は、先払いで受け取る不動産売却代金の一部となっています。
手付金と違って、解約手付や証約手付といった複雑な役割はなく、頭金を出すかどうかも、出す金額も買い主が決めることなので、売り主から買い主に対して「頭金を◯%用意して欲しい」と求めることはありません。
手付金は、安易な契約解除を防ぐ手段として有効ですが、頭金にはそういった機能がないため、不動産を売る時は、頭金ではなく手付金を設定することが重要です。

●契約に問題がなければ手付金を頭金にするのが一般的

不動産の売買契約が順調に進んだからといって、一度、買い主に100万円の手付金を返還し、その100万円を代金の支払いに充ててもらうのは非効率的です。

そのため、突発的なキャンセルや契約破棄がなかった場合、手付金を不動産売却代金の一部として処理するのが一般的になっています。
手付金が、そのまま頭金にスライドするイメージです。

●手付金の相場は不動産売却価格の5~10%

手付金の相場は、不動産売却価格の5~10%程度とされています。
仮に、2,000万円の不動産を売る時は、100~200万円の手付金を求めるのが一般的です。
具体的な金額は、売り主と買い主の交渉次第である程度、自由に決められます。
手付金なしで取引をしても構いませんが、手付金の額が低いと、安易なキャンセルが起こりやすくなるため、おすすめできません。

手付金を減らしたりゼロにしたりするとどうなるの?

売り主が手付金を少額に設定したり、手付金なしで売買契約を結んだりすると、買い主は気軽に契約を破棄できるようになってしまいます。
売買契約の締結後にキャンセルされると、売り主がそれまでにかけてきた時間や労力が無駄になり、買い主探しからやり直さなくてはならないため、手付金を減らしたり、ゼロにしたりするのは避けましょう。

また、不動産売却では、買い主を見つけてきた仲介業者に対して、仲介手数料という費用を支払います。
仲介手数料の支払いが発生するのは、売買契約を結んだ時です。
十分な手付金を設定していないと、買い主から没収する手付金よりも、不動産業者に支払う仲介手数料の方が高くなり、損をしてしまう可能性があります。

まとめ

不動産の売買において、契約成立の証拠や解約時の保証金として預かる手付金と、代金の先払いである頭金は、全く異なる役割を持つお金です。
売り主が手付金と頭金を混同していると、適切な手付金を設定できず、買い主側の安易なキャンセルを招いてしまう可能性があります。

手付金を安くしたり、ゼロにしたりしても、売り主側のリスクが増えるだけです。
売買契約後に買い主からキャンセルされるリスクを抑え、不動産売却をスムーズに終わらせられるように、適切な手付金を設定しましょう。

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