仕事の関係上、自己破産が出来ないので任意売却でローンを圧縮しました。
2016.01.14Oさんは、旅行会社に勤めており責任のある旅行業務管理者となっています。給与はそれほど高いわけではありませんが、持ち家のローンとクレジットカードでのキャッシングを支払い位であれば返済は継続できました。
しかし、子供の教育にお金が必要となり借り入れできる銀行もなく消費者金融からお金を借りてしまいました。返済の為に借り入れを増やしてしまい、Oさんは多重債務者となり自己破産をしなければいけない状況となりました。
任意売却までの流れ
Oさんは、消費者金融から借り入れをするときに「どうしても払えなくなれば自己破産しよう」という甘い考えを持っていました。そして、いざ支払いが出来なくなると予定通り自己破産の手続きに入ろうとしましたが、重大な事に気づいたそうです。それは、旅行業務管理者という職業上破産をしてしまうと仕事を継続できないという問題でした。
そこで、弁護士を通じて消費者金融に債務整理を依頼しました。消費者金融からすると破産されるよりは少しでも多く返済してもらう方がメリットは大きいですので、月々の支払いが減額されました。
しかし、消費者金融に支払う金額と住宅ローンの支払い金額を合わせればOさんの給与では支払い自体は出来ても生活が成り立つお金が手元には残らないという問題が残りました。
そこで、「任意売却をして住宅ローンを圧縮する。」という方法を取るようにしたそうです。そうする事により、それまで月々15万円払っていた支払いが、売却によりローンが圧縮されて大幅な減額となり月々2万円の3年間払いになるというものでした。
自己破産できない職業とは
一般的には、借り入れなどが多額になれば「自己破産」をして支払い義務を逃れればよいと考えられています。しかし、自己破産することによって一定期間仕事を行えない職業があります。例としては、本事例の旅行業務管理者、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、貸金業者、警備員、NPOの役員など多くの職種に制限があります。
先ほど、一定期間仕事を行えないとお伝えしましたがその点を詳しくお話しします。
自己破産手続きは裁判所に対して行います。2種類の手続きがあり、「同時廃止」と「少額管財」があります。
「同時廃止」は20万円を超える財産がなく、破産管財人が調査をしません。破産手続開始決定と同時に破産手続きが終了して免責をします。申し立てから約3~4ヶ月で免責がされるでしょう。
「少額管財」は20万円を超える財産がある場合や破産管財人が調査をします。約6ヶ月程度の期間を必要としています。
そして、免責が許可されるまでの期間は先ほどの職業には就けませんが、ほとんどの場合は免責が下りますので将来的に復帰はできます。
しかし、Oさんの場合はサラリーマンです。破産開始手続きから免責までの期間を資格者から外れるという話を認めてもらえるはずがありませんので、自己破産を避ける方法を行ったことは正解でしょう。
また、現実的には破産をすれば再雇用や新たな就職先を探すのも難しいということも認識しておくべきです。
まとめ
Oさんの場合は、希望の任意売却価格で売ることができました。引っ越し費用も買い主の方に出してもらえ、家族3人では少し狭いですが月額家賃5万円の家に引っ越しました。
消費者金融への支払い、圧縮した住宅ローンの残債務も問題なく継続できそうとの事です。
自己破産せずに仕事も継続できることになり、Oさんは「早期の任意売却が上手くいったことが、ピンチを切り抜けるきっかけになった。」と感謝しているそうです。