必要な費用と税金

売却にかかる費用とは?

不動産売却には、さまざまな経費がかかるため、そのまま手取り額になるわけではありません。また、自動車などの売却と違い諸費用込みということもほとんどないので、売却を考える際は経費を引いた手取り金額がいくらになるかを事前に知っておく必要があります。売却にかかる経費としては「仲介手数料」、「譲渡税」、「登記」、「印紙代」、「引越し代」などになります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

  1. 不動産会社に支払う仲介手数料
  2. 譲渡税:売却によって売却益が出た場合は、所得税・住民税がかかります
  3. 登記費用:ローンが残っている時などの抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬
  4. 売買契約書に貼付する印紙代
  5. 引越し費用

どんな費用?

仲介手数料

仲介手数料とは、売買契約の仲介に関与した不動産会社などに支払う手数料です。仲介手数料の支払い時期は、会社によって異なりますので契約時にあらかじめ確認しておきましょう。 宅地建物取引業法により、仲介手数料の計算方法は定められています。通常、売却代金の3.24%+64,800円(消費税込)がかかります。例えば、売却価格が4,000万円の場合、仲介手数料は136万800円(消費税込)となります。 成功報酬なので、売買契約が成立した際に必要となります。経費としてはこの仲介手数料が最も大きいものとなります。

【仲介手数料の上限額】

不動産会社に支払う仲介手数料は、以下の通り売買代金の金額区分ごとに上限が定められています。

依頼者の一方から受領できる報酬額
取引額 報酬額(税抜)
取引額200万円以下の金額 取引額の5%以内
取引額200万円を超え400万円以下の金額 取引額の4%以内
取引額400万円を超える金額 取引額の3%以内

※仲介手数料は消費税の課税対象なので、別途消費税がかかります。

譲渡税について

売った利益が出た場合、譲渡所得として「所得税」、「住民税」といった税金がかかります。 譲渡所得は、譲渡収入から「購入代金(減価償却要)」と「購入にかかった経費」と「売却にかかった経費」を引いたもの、つまり、土地や建物を売却して得た収入から購入代金や諸経費、売却代を差し引いた金額となります。 なお、減税措置として一定の条件を満たした居住用住宅の場合は譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。条件としては、所有者が自ら住んでいた居住地であること、譲渡する相手が親族などの関係者ではないことなど他にも様々な条件がありますので確認しましょう。また、譲渡所得が3,000万円を超えた場合は買い替え特例を利用することができます。これにも居住が10年以上であることや新しく購入した敷地の面積などの条件があります。特別控除と買い替え特例はどちらかしか利用できないので、よく検討する必要があります。 譲渡所得は、土地・建物の所有期間によって違いがあり、5年以上なら「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」となり、長期間保有した場合の方が税率は低くなります。具体的には短期の場合「39.63%(所得税30.63%、住民税9%)」となり、長期は「20.315%(所得税15.315%、住民税5%)」となります。

譲渡税について

登記

所有権移転に伴い「住所変更登記」や「抵当権抹消登記」などの経費が発生します。登記には登録免許税や司法書士への報酬などが必要となります。この経費は、固定資産課税台帳に登録された価格によって異なります。 抵当権抹消費用とは、金融機関に設定されている抵当権を抹消するために必要な手続きに関する費用です。抵当権は金融機関に住宅ローンを組むときに設定されており、そのままでは物件の売却がおこなえないため抵当権を抹消する必要があるのです。一般的な金額は1万円~2万円程度です。

印紙代

売買契約書には、収入印紙を貼ることが定められています。印紙税の額は契約書に記載されている金額によって異なり、1万円から5万円程度となっています。

・不動産売買契約、住宅ローン金銭貸借契約書の印紙税額一覧表

契約書の記載金額 不動産売買契約書 住宅ローンの契約書
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円以上50万円以下 400円 400円
50万円以上100万円以下 1000円 1000円
100万円以上500万円以下 2000円 2000円
500万円以上1000万円以下 10000円 10000円
1000万円以上5000万円以下 15000円 20000円
5000万円以上1億円以下 45000円 60000円
金額の記載のないもの 200円 200円

引越し代

売却物件に住んでいる場合は引越し代が必要となります。また、買い替えの時期などによりすぐに新居に移れない場合などは仮住まい代が必要となります。

その他

売却物件に土地が含まれていて、境界が確定できない場合や、売買条件によりあらためて実測が必要な場合には「測量費」が発生します。また、引き渡し条件によっては「解体費」、「リフォーム費」、「ハウスクリーニング費」などが必要となります。 不動産売却には想定外の経費がかかる場合があります。必ず確認しておきましょう。