両親と同居がきまり空き家を売却
両親と同居が決まり、実家が空き家となってしまう・・・。このようなとき、思い入れのある実家を売却してしまうのはためらわれてしまうもの。しかし、使わない実家をそのままにしておくとお手入れや維持費の問題が発生します。今回は、空き家となった実家を売却する場合の問題点や注意すべきことについてお伝えします。
実家売却時の問題は?
実家売却の時、気を付けておくべき問題点は大きく分けて3つあります。
<相続と贈与の問題>
1つは相続と贈与の問題。相続というと遠い未来のことのように感じてしまうかもしれませんが、特に相続人となるご兄弟がいる場合には早めに対策しておくと良いでしょう。
例えば、ご両親に実家以外にまとまった現金や保険金がある場合にはご兄弟の1人に現金や保険金を、残りの1人に実家を相続(贈与)する、という選択をすることもできますし、生前に実家を売却して、売却で得た資金をご兄弟で分けるという選択をすることもできます。
これが、もし実家を空き家にしたまま、不慮の事故で相続手続きをしなければならない事態に陥った場合、1人に現金、1人に実家ときれいに話がまとまれば良いですが、不動産は実際に売却しなければいくらになるか分からず、どちらかが不公平感を抱き、最悪の場合相続争いになってしまう可能性もあるでしょう。
また、もう1つ考慮しなければならないのが、不動産を相続した場合でも、その評価額に応じて相続税を、基本的には現金で払わなければならないということです。相続税は2015年に税率の改正が行われ、以前であれば相続税を支払う必要のなかった一般的な家庭でも、相続税を支払う必要のある可能性が出てきています。
こうした事も考慮して、実家が空き家となるタイミングで将来の相続や贈与のこと、実家を売却する場合にはその売却益をどのように配分するかを話し合うと良いでしょう。
<家屋内の家財道具>
実家を売却する時の問題の2つめが、家屋内の家財道具の問題です。永年住んだ実家のため、思い入れのあるものもたくさんあるでしょう。売却が決まるまでの間、家財道具を実家に残しておくという方もいらっしゃいますが、基本的にはこうした家財道具は、売却を決めた段階で新居に移すか、処分するようにした方が良いです。家財道具が残ったままの空き家で、特に年季のあった家財道具が残っていると、購入を検討している見学者も良いイメージを持たないものです。
<物件の詳細をどう伝えるか>
実家を売却する時の問題の3つめが、物件の詳細をどう伝えるか、という問題です。古くから存在する実家の場合、例えば井戸があるなど昔ながらの設備が残っている事が有ります。井戸があると湿気や不同沈下といった問題もありますが、気持ちの問題も大きなもの。その井戸がどのような経緯でできたものなのか等、購入者が安心できる説明を用意しておくと良いでしょう。
売却理由を考えよう
先に説明した問題点と重複する部分もありますが、空き家となった実家を売却する場合にはその売却理由を不動産会社に詳細に伝えると良いです。
家を購入する立場としたら、やはりその空き家がどのような経緯で売却されるのか気になるものです。
<納得できる売却理由と悪影響のある売却理由>
例えば、購入者が納得できる売却理由としては以下のようなものがあります。
- 転勤や引越し
- 子供の進学、独立
- 高齢になり子供たちと同居するためや、相続による場合
- 離婚
- 住宅ローンの返済が厳しくなった
上記のように一般的な内容であれば購入者は納得して購入することができるでしょう。しかし、離婚による売却など、恥ずかしくて伝えたくない内容もあるでしょう。伝えてしまえば特に問題はないのですが、隠してしまうと、勘ぐられてしまうことも。
伝えにくい場合には不動産会社の担当者に事前に相談をして、どのように伝えるかを決めておくと良いでしょう。
一方、悪い印象を与えてしまう売却理由には以下のようなものがあります。
- 住居や土地に欠陥がある
- 近隣トラブルや騒音問題
- 事故や事件
- 学校や買い物施設への距離等、生活環境が悪い
このうち事故や事件、欠陥問題に関しては告知する義務がありますが、近隣トラブルや騒音問題、生活環境に関しては必ずしも伝えないといけないことではありません。とはいえ、後でクレームになるようでは困りますよね。この辺りの伝え方については事前に不動産会社の担当者としっかり打ち合わせをしておくと良いでしょう。
<事前に売却理由を考えておこう>
実際に不動産を売却するとなった場合、多くの人が、「どうしてこの物件を売却することになったのか」が気になるものです。
もちろん、「両親と同居することになり、空き家となる実家を売却する」ことを伝えれば良いのですが、その経緯の中で、例えば近隣トラブルや離婚問題を抱えている場合等、うまく伝えられずに怪しまれてしまってはもったいないです。
また、売却理由を伝えるのと併せて、永年住んで心得ている近隣状況や、その場所に居を構えることになった理由等も伝えられると良いでしょう。この辺りのことは、担当の営業マンに伝えておき、担当の営業マンの口から伝えてもらうようにすると良いです。
<空き家売却前に伝えておくと良い情報>
●井戸など昔からある古い設備に関しては設置の経緯や安全を証明できる資料。
井戸など古い設備がある場合にはその設置の経緯や、必要であれば安全を証明できる資料があると良いでしょう。その設置の経緯としては、かなり昔からあるものなのか、住んでいる内に必要なことがあって設置したものなのかによってだいぶ印象は変わります。
●隣地との間に境界ブロックがあり、境界が真ん中を通っている場合等で、隣人との話し合いの経緯や隣人の人となり。
昔の家は隣地との境界ブロックを、ブロックの真ん中に境界がくるように設置しているケースが良くあります。実際に契約となった場合には境界の確認を行いますが、売却の段階で隣人の人となりや、境界ブロックに関しての話し合いの経緯などをお伝えできると良いでしょう。
●崖や山を造成してつくった土地の場合には、そのいきさつや住んでみての安心感。
崖や山を造成した土地の上に建てた住宅の場合には、そのいきさつや、住んでみて特に問題がなかったといった話をしてあげると安心感は増すでしょう。
まとめ
空き家となった実家を売却する場合、永年住んだ住宅の住み心地や利便性など買主に伝えられると効果的な内容は多いもの。どの内容を伝えどの内容を伝えないのかは不動産会社の担当者と事前に打ち合わせておくと良いです。