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【マンションの耐震性の見分け方】地震に強いマンションはどうやって探す?

2018.07.17

【マンションの耐震性の見分け方】地震に強いマンションはどうやって探す?

地震大国とよばれることもある日本において、マンションを購入する際の一つの目安としておきたい要素が「耐震性」です。

一方で、「耐震基準」「耐震等級」「耐震構造」など、マンションの耐震性を示す用語は数多くあり、それぞれが違った意味合いを持っています。そのため、不動産の知識が少ない場合には、マンションの耐震性をどのように評価したら良いのか、わからないケースもあるでしょう。

そこでこの記事では、マンションの耐震性を示す用語を解説しつつ、地震に強いマンションの探し方をご紹介します。

耐震基準は二つある? 「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違い

中古マンションの購入を検討している場合、耐震性を確認する際に必ず見ておきたいのが「耐震基準」の項目です。

耐震基準とは、建築基準法により定められている耐震性に関する基準です。
原則として建築基準法を満たしていない建築は認められません。そのため、耐震基準をクリアして初めてマンションを建てられます。

一方で、国内には耐震基準を満たしていないマンションが少なくありません。
これは、1981年の建築基準法の改正により、耐震基準がより厳しくなったためです。
一般的に、改正前の耐震基準は「旧耐震基準」、改正後の(現行の)耐震基準は「新耐震基準」とよばれます。

「旧耐震基準」と「新耐震基準」の主な違いは、大地震が発生した際に倒壊するかどうか、といった部分に表れています。

具体的には、「旧耐震基準」では「震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証」されているのに対し、「新耐震基準」では「震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加えて、震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証」されています。

1981年の建築基準法改正以前に建てられたマンションのなかには、「旧耐震基準」は満たしていたものの「新耐震基準」を満たしていない物件があります。国土交通省の資料(※)によると、総戸数約5,200万戸のうち、そもそも耐震性がない住宅が約900万戸、旧耐震基準のみ満たしている住宅が約600万戸という状況でした。

日本では、多くのエリアで今後震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高いとされています。こうした状況では、「新耐震基準」を満たしているマンションが望ましいといえるでしょう。

(※)国土交通省 住宅の耐震化の進捗状況
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/img/03_04b.jpg

マンションの耐震性を調べるために押さえておくべき用語

上に挙げた耐震基準以外にも、マンションの耐震性を示す用語は複数あります。ここからはそんな用語について、それぞれ解説していきます。

●耐震等級とは

耐震等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律「品格法」に基づく「日本住宅性能表示基準」に沿って定められているもので、等級1~3の三つに分類されています。数字が大きくなるほど耐震性が高い物件となっています。具体的な等級の違いは、次のようなものです。

・耐震等級1(建築法の耐震基準を満たすもの)
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震の力で倒壊、崩壊等しない程度

・耐震等級2
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震の1.25倍の力で倒壊、崩壊等しない程度

・耐震等級3
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震の1.5倍の力で倒壊、崩壊等しない程度

●長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、「長期にわたって良好な状態で使用するための措置が、その構造及び設備に講じられた優良な住宅」のことを指します。
この認定を受けた物件を購入すると、購入者には複数のメリットがあります。具体的には、次のようなものです。

・住宅ローンの金利の引き下げを受けられる
・住宅ローン減税の限度額の引き上げを受けられる
・地震保険労の割引を受けられる

なお、2020年3月末までに入居していた場合には、次のようなメリットもありました。

・登録免許税率の引き下げ
・不動産取得税の控除額の増額
・固定資産税の減税措置適用期間の延長

一方、長期優良住宅の認定を受けるためには、次の四つの措置を講じている必要があります。

・長期に使用するための構造及び設備を有していること
・居住環境等への配慮を行っていること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・維持保全の期間、方法を定めていること

戸建て住宅を建てる場合には、ハウスメーカーや工務店に、これらを踏まえた設計を依頼することで長期優良住宅の認定を受けられます。マンション購入の場合には、その物件が長期優良住宅かどうかを不動産業者に確認してみましょう。

●<地震対策のための構造>耐震構造とは?

外観上は同じように見えるマンションでも、その構造は物件によってさまざまで、地震対策にも違いがあります。ここでは「耐震構造」「制振構造」「免震構造」という三つの代表的な構造の特徴について解説していきます。

耐震構造とは、壁や柱を強く・太くしたり補強材を採用したりすることで、建物の強度を上げ、揺れによる倒壊や損傷を防ぐ構造を指します。

比較的コストがかからないことがメリットですが、実際に地震が起きた際には、家のなかで感じる揺れは大きく、家具・家電などにダメージが生じる可能性もあります。

●<地震対策のための構造>制振構造とは?

建物の強度を上げる耐震構造に対して、建物に衝撃を吸収する仕組みを取り付けることで揺れを和らげる構造を制振構造といいます。耐震構造と比較して同じ揺れでも家のなかで感じる揺れが小さいことが特徴です。

一般的には、地震のエネルギーを吸収するために「ダンパー」とよばれる装置を組み込むことで、建物を制振化していきます。そのため、耐震構造と比べると設計時に間取りの自由度が少なくなってしまう可能性があります。また、コストもより高額となります。

●<地震対策のための構造>免震構造とは?

ダンパーによって衝撃を吸収する制振構造に対し、ダンパーに加えて「アイソレーター」とよばれる装置を建物の下に設置することで、地面の揺れを建物に伝わりやすくする構造を免震構造といいます。

揺れそのものを軽減するという考え方から、耐震構造や制振構造と比較して、地震の際にも家のなかの衝撃や揺れが少ないことが特徴です。そのため、ケガや家具・家電へのダメージを減らすことにもつながります。

一方で、耐震構造や制振構造と比べて、装置の採用によりコストが高くなる、もともと強度がない地盤などには適さないなどのデメリットもあります。また、地震による揺れはないものの、台風などの横風によって家のなかが揺れるケースがあります。

マンションの耐震チェックポイント

ここまで、マンションを購入する際に知ってきたい、耐震性に関する用語について解説してきました。
ここからは、実際にマンションを選ぶときのチェックポイントをご紹介します。

●築年数

建築基準法改正により、新耐震基準へと切り替わったのが1981年ということで、これ以降に建てられたマンションであれば新耐震基準を満たしている、つまり「震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加えて、震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しない」物件といえます。

一方、1981年の以前に建てられたマンションすべてが耐震性に乏しいのかというと、そうとは限りません。なかにはもともと新耐震基準を満たしているものや、耐震改修によって新耐震基準を満たしたものもあります。

そのため、築年数はあくまでも目安として考え、実際には次項で紹介する通り、新耐震基準を満たしているかどうかを確認しましょう。

●新耐震基準

マンションの耐震性を簡単に確認するための、最も有効な方法が耐震基準です。

とはいえ、新築マンションであれば新耐震基準を満たしていることが間違いないため、特に気にする必要はありません。一方で、特に古いマンションを購入してリフォームしたいと考えているような場合には、まず耐震基準の新旧を確認しておくことが大切です。

前述した通り、平成25年時点の調査では、国内の総戸数約5,200万戸のうち、新耐震基準も旧耐震基準も満たしていない「耐震性がない」と考えられる住宅が約900万戸ありました。中古マンションの場合には、こうした物件があるということも頭に入れておきましょう。

●耐震構造(耐震・制振・免震)

マンションの構造における耐震・制振・免震にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、一概に「この構造が優れている」ということはできません。ただ、マンションを購入する際に、その物件が「どのような構造をしているのか」を把握しておくことは、購入費用対コストを考えるうえでも重要な要素となるはずです。

たとえば、同じ金額・条件で耐震構造のマンションと免震構造のマンションを比較した場合、ダンパーやアイソレーターなどの採用にかかるコストを考えると、免震構造のマンションの方がお得と考えられます。

このように、マンションを選ぶ際には構造も踏まえた上で、総合的に物件を評価しつつ判断しましょう。

●マンションの形状

マンションにはさまざまな形状があり、それが個性ともなっています。なかには「外観が好みだから」という理由が決め手となって購入したという方もいらっしゃいます。

一方、地震対策の面から見ると、マンションの形状によっても耐震性に違いがあります。たとえば、スクエアな形状と比較して、L字型・コの字型など複雑な形状は不利です。

ただし、L字型・コの字型のマンションの耐震性が弱いかというとそうではなく、それを補うための補強などがなされていることが一般的です。そのため、複雑な形状をしている場合には、「どのように耐震性を担保しているのか」を不動産業者などに確認し、納得できれば問題ないといえるでしょう。

●耐震等級

耐震等級が上がるほど耐震性はアップする一方で、構造上はさまざまな制約を受けることになります。結果として、「壁を強化した結果、床面積が少なくなってしまった」というように、間取りなどに影響が出てしまうケースもあります。

そのため、マンションではあえて「耐震等級1」としている物件が少なくありません。一方で、耐震等級2や3は学校や病院、消防、警察といった施設で採用されていることが多いです。

もちろん、なかには耐震等級2以上で耐震性を訴求する物件もありますので、そうしたマンションを購入するという選択肢もあります。ただ、数は限られているので、ある程度の割り切りも必要です。

●地盤の強さ

地震に強いかどうかは、建物そのものはもちろん、その建物が立つ土地の地盤によるところも大きいです。

地盤の強さを調べる方法としては、各自治体がWebサイトで公開している「揺れやすさマップ」などを確認するほか、オンラインで地盤情報を提供しているサービスを活用してすることもできます。

一方で、そうした情報は当然ながら建築段階では調査されているため、売主に対して地盤の強弱について質問した上で、弱い場合には「具体的にどのような対策が施されているか」を確認してみると良いでしょう。

●管理の丁寧さ

中古マンションを検討している場合には、マンションの構造や地盤のほか、これまでの管理状態について確認することも重要です。どれだけ耐震性の高いマンションだったとしても、適切に管理されていない場合には、その性能が落ちてしまう可能性があります。

修繕履歴や今後の管理計画は、マンションの管理組合に問い合わせることで確認できます。購入者が直接連絡することは難しいので、不動産業者に依頼して確認しましょう。

また、上記のような確認方法に加え、マンションの外観や共用部をチェックしてみることも重要です。こうした部分の管理が行き届いていない場合、建物全体もずさんに管理されていると考えられます。

まとめ

この記事では、マンションの耐震性を示す用語と、実際のチェックポイントについて解説してきました。特に中古マンションを購入する場合には、上に挙げたポイントを踏まえ、じっくりと検討するようにしてください。

また、「マンションの耐震性について、より詳しく聞きたい」という場合には、ぜひ一度、当社までご相談ください。

 

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