column 489. 暮らす

仙台で秋ならではの声を聞きに行きませんか?

2018.09.27

仙台で秋ならではの声を聞きに行きませんか?

秋の訪れとともに聞こえるあの声。
「行水の 捨て所なし 虫の声」。
江戸時代に活躍した俳人、「上島鬼貫(うえしま おにつら)」が詠んだ一句。
たらいに入った水を捨てたいけど、捨てられません。
キレイな「虫の声」を水の音でかき消すわけにはいきませんから。
といった意味でしょう。
この「虫の声」、なんの「虫」なのかわかりますか?
この時期にキレイな声で鳴く虫と言えば、そうです。「鈴虫」です♪

「鈴虫(スズムシ)」とは

「鈴虫」はコオロギ科スズムシ亜科の一種です。
その名の通り、鈴の音のような「リーン、リーン」と綺麗な声で鳴きます。
ちなみに鳴くのはオスだけで、メスは鳴きません。オスは自分の居場所をメスにアピールする為、羽と羽を擦り合わせて、あの美しい音色を奏でているのだそうです。
いわば求愛のシンフォニーですね♪
「スズムシ」の寿命はわずか約4ヶ月。
そして鳴くのはラスト20日間だけなのだそうです。
命尽きるその時まで、子孫を残す為に必死に鳴いているオスを考えると、水の音で「スズムシの声」をかき消したくなかった「鬼貫(おにつら)」の気持ちもよくわかります。

日本に残したい音風景100選

環境庁が認定した『残したい日本の音風景100選』と言うものがあるのですが、 実はこの「100選」に「宮城県」の「鈴虫」が選ばれているのです。
宮城県内でスズムシの鳴き声が良く聞ける場所は、 宮城県民の森「高森山」と「与兵衛沼公園(枡江の森)」、「鶴ヶ谷中央公園」。いずれも仙台市です。
実は仙台市の「鈴虫」は「七振り鳴く宮城野の鈴虫」と呼ばれ、藩主の伊達家が将軍家に献上するほどに有名だったそうです。
「七振り」と言うのは「リ~ン×7回」鳴くので「七振り」ということ。
普通の地域では平均5回なんだとか。 仙台市の鈴虫はキレイに沢山鳴いてくれるから「100選」に選ばれたのでしょうね。

風情溢れる季節「秋」

「日本に残したい音風景」の一つ「宮城野の鈴虫」。
「鈴虫達のコンサート」を体感できるのは今の時期だけですよ。この時期にしか聞けない「声」。
ぜひ、お近くの森や公園で聞いてみてください。
くれぐれも水浴びなどをして「鈴虫の声」をかきけさないようにお願いいたします。

「日本に残したい音風景100選」にはもう一つ、「仙台市の音」が入っています。
その「もう一つの音」とは「広瀬川のカジカガエルと野鳥」の音。
また機会があればこちらもご紹介したいと思います。

 

 

 

 

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