column 635. 暮らす

お彼岸は日本ならではの風習

2019.09.04

お彼岸は日本ならではの風習

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、お彼岸の季節がやってまいりました。
ということで、今回は「お彼岸」についてお話したいと思います。

彼岸とは

「彼岸」は「春分の日」と「秋分の日」の「前3日」と「後3日」の間の「7日間(春・秋分も含みます)」のことを指します。
暦の上では「雑節」という季節の中に入ります。

「春分・秋分」の3日前の日を「彼岸の入り」と言い、3日後を「彼岸の明け」と言います。
「春分・秋分は、その中間に位置しますので、「彼岸の中日」と呼ばれています。
 

彼岸があるのは日本だけ

この「彼岸」、実は「日本独自の行事」なんです。もちろん仏教行事であることに間違いはないのですが、他の仏教国には「彼岸」という概念はないのだそうです。

ちなみにですが、「彼岸」とだけ言った場合は「春の彼岸」を指します。秋の彼岸は「秋彼岸」または「後の彼岸」と言うのが正しい言い方だそうですよ。

昔から「彼岸」には先祖の霊を敬い、お墓参りをする風習があります。

地方によって若干の違いはありますが、「牡丹餅」や「おはぎ」、「団子」に「海苔巻き」、「いなり寿司」など、様々なモノをお墓や仏壇にお供えします。

このよき風習は「昭和」、「平成」、「令和」と時代が移り変わっていっても変わらずいつまでも残っていくことでしょう。

そんな「彼岸」の時期は気候的にも過ごしやすい季節とされ、「お墓参りついでにレジャーを楽しんじゃおう」と言った娯楽としての側面もあったのではないかと考えられています。

親族が集まってご先祖さまに挨拶したら、そのまま遊びに行こうみたいな感覚でしょうか。

ちなみに、「彼岸」の時に食べる「牡丹餅」と「おはぎ」にもちゃんとした意味があります。

「牡丹の花」は「春」に咲くから「春」は「牡丹餅」。「萩の花」の咲く「秋」は「御萩餅(あるいは、萩の餅)」なんです。  

「彼岸」にはお線香が欠かせない

そんな「彼岸」の「お墓参り」に欠かせないのが「お線香」。

この「お線香」が日本に初めてもたらされたのは飛鳥時代と考えられています。様々な仏像、経典などの仏教儀礼とともに海を渡ってきました。

「日本書紀」には「大きな沈水香木が淡路島に漂着し、島人がそれと知らずかまどに入れて薪とともに燃やしたところ、その煙が遠くまで薫り、これを不思議なこととして、この木を朝廷に献上した」とも記されています。

最初に「暑さ寒さも彼岸まで」と述べたように、「彼岸」は四季を持つ日本にとって、穏やかで過ごしやすい季節の訪れを感じさせてくれます。

穏やかな心とさわやかに香る「お線香」を持って、ご先祖さまのお墓を訪れて欲しいと思います。

そしてお墓参りの後は、ご親族揃ってレジャーを満喫してくださいね。
 

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