折り上げ天井って何?メリット・デメリットや導入時のポイントを紹介
ここでは、折り上げ天井の概要から、折り上げ天井のメリット・デメリット、導入時に押さえておきたいポイント等を共有していきます。
2024.11.21
不動産は大切な資産の一種です。サラリーマンの方だと自分のものを「買う」ことはあっても、「売る」という機会はなかなかないかもしれません。しかし、不動産はある程度所有した後で売ることができ、買った時との差額によって、利益を出せる可能性もあります。
不動産を売却するときの売却益は「譲渡所得」といいます。譲渡所得にかかる税金は所有する期間によって違ってくるので、その仕組みや税率、税額の算出方法について知っておきましょう。
不動産を売却する際は、「譲渡所得」もしくは「譲渡損失」が発生します。利益が出た場合は「譲渡所得」、損失が出た場合は「譲渡損失」となるわけです。
譲渡所得は所得の一種なので課税対象となりますが、取得時および売却時の経費等も加味して所得を算出するため、「譲渡所得=売却金額」ではありません。
所得税には原則として、給与所得や不動産所得などを合計した総所得に対して税額を算出する「総合課税方式」が用いられます。しかし不動産の売却に伴う譲渡所得はほかの所得と合算せず、単独で税額を計算する「分離課税方式」が適用されます。
譲渡所得はその不動産を保有していた期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の2種類に分けられ、税率もそれぞれで違ってきます。保有期間が5年以上の譲渡が「長期譲渡所得」、それより短い譲渡が「短期譲渡所得」になります。
保有期間の判定基準は「不動産譲渡のあった年の1月1日時点における保有期間」で、実際の保有期間そのものではありません。
例えば2020年8月に購入した物件を2025年の9月に売却した場合、実際の保有期間は5年と1か月ですが、2025年1月の時点ではまだ5年が経過していませんので、この取引で利益が出ればそれは「短期譲渡所得」と分類されます。
相続による取得に関しては、相続のタイミングではなく、元の所有者である被相続人がその物件を取得したタイミングからの保有期間が受け継がれます。そのため、「自分の所有になってから5年間経たないと」などと気にする必要はありません。
譲渡所得には「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3種類の税金が課税されます。この3種類の税金の税率は、次の通りです。
所得税 |
復興特別所得税 (所得税に対する税率) |
住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 2.1% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得 | 30% | 2.1% | 9% | 39.63% |
さらに自己の居住用として用いてきた物件は、10年以上所有していると次のような「10年超所有軽減税率の特例」が適用されます。
●課税譲渡所得6,000万円以下の部分 合計税率14.21%(所得税10%、復興特別所得税:所得税の2.1%、住民税4%)
●課税譲渡所得6,000万円超の部分 合計税率20.315%(所得税15%、復興特別所得税:所得税の2.1%、住民税5%)
これらの税率を所得額に乗じて税額を算出するわけですが、まず譲渡所得の金額を次のような数式で算出します。
譲渡所得額=譲渡価額‐(取得費+譲渡費用)‐特別控除
譲渡価額は、不動産を売却した代金そのものです。
取得費にはその不動産を購入した時の代金だけでなく、不動産会社に対する仲介手数料、売買契約書に貼付する印紙代、登記時の登録免許税などの購入に要した経費も算入できます。
ただし、建物は所有している間に劣化して価値が減っていくので、減価償却の対象となります。建物部分の減価償却費は、取得費から差し引かなければなりません。土地は古くなったり使用して傷んだりするものではないため、減価償却の対象外となります。
取得した年代が古くて資料が残っていないなど、正確な取得費がわからない場合には「概算法」による取得費の計上も可能です。概算法では「取得費=売却代金×5%」と計算するため、本来の取得費より大幅に安くなってしまうという難点があります。取得費が減ると譲渡所得が増え、税額が増えてしまうためです。
そうした事態を避けるためにも、不動産取引の関連書類は1ヵ所にまとめて大切に保管しておきましょう。相続によって取得した土地で、購入した本人がたとえ亡くなっていても、売買契約書や領収書などが残っていれば取得費として計上が可能です。
譲渡費用は不動産を売却する際にかかった費用です。やはり不動産会社に対する仲介手数料も算入できますし、場合によっては測量の費用や売却時に賃貸物件の借主に支払う立退料、建物の取り壊し費用なども計上できます。
それでは具体的に譲渡所得が生じる場合、長期譲渡所得と短期譲渡所得でどれほど税額に違いが出るのかシミュレーションで確かめてみましょう。例として1,500万円で購入した土地を2,500万円で売却し、売却時の譲渡費用に200万円がかかったとします。
●短期譲渡所得の税額
収入金額2,500万円-(1,500万円+200万円)=800万円
譲渡所得額800万円×39.63%=約317万円
●長期譲渡所得の税額
収入金額2,500万円-(1,500万円+200万円)=800万円
譲渡所得額800万円×20.315%=約162.5万円
まったく同じ金額で売却しているのに、長期譲渡所得の課税額は短期譲渡所得の課税額のおよそ半分になりました。これだけ税額が変わってくることを考えると、売却する際は保有期間も加味して契約のタイミングを判断すべきだということがわかります。
不動産の譲渡所得や譲渡損失に適用される「特別控除」を活用すれば、譲渡所得税をぐっと低く抑えられます。譲渡所得に関する主な特別控除には、次のようなものがあります。これらはいずれも住宅ローン控除との重複適用ができません。そのため、それぞれの制度を活用した際のコストをシミュレーションし、もっともコストメリットの大きくなる方法を選んで使用しましょう。
●居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マイホームなどの居住用財産を売却した場合に利用できる特例です。所有期間に関係なく、譲渡所得から3,000万円を控除できます。譲渡所得が3,000万円に届かない場合は、税金を支払う必要がありません。
●10年超所有軽減税率の特例
10年以上保有したマイホームなどの居住用財産を売却した場合に利用できる特例で、3,000万円の特別控除の特例と併用が可能です。譲渡所得に対する税率が軽減されます(譲渡所得6,000万円以下:14.21%、譲渡所得6,000万円超:20.315%)。
保有期間を判定する基準日が、売却する年の1月1日なので、「あと1ヵ月保有期間足りなくて優遇が受けられなかった!」などということのないよう、実際の保有期間と判定機関にズレがあることに注意しましょう。
●特定居住用財産の買換え特例
令和3年12月末までの譲渡に限り適用される時限措置です。所有期間が通算10年以上になるマイホームなどの居住用財産を売却して別の物件に買換えた場合、買い替えた物件の購入代金の方が売却代金より安ければ、買い替えで超過した部分に対してのみ20.315%の税率で課税されます。
「3,000万円特別控除」「10年超所有軽減税率の特例」との併用はできません。買い替え資産の取得期限、入居期限、免責制限、経過年数制限など、細かい要件が定められているのでそれらも確認しておきましょう。
●居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
●特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
やはり令和3年12月末までの時限措置です。譲渡損失が出た場合にほかの所得と損益通算し、それでも残った損失は3年繰り越して所得から控除します。
前年と前々年において、ほかの特別控除を受けていないことが適用の条件になります。
これらのほかにも、「収用等により土地建物の譲渡した場合(特別控除額5,000万円)」「特定土地区域整理事業等のために土地を譲渡した場合(特別控除額2,000万円)」「特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合(特別控除額1,500万円)」「農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合(特別控除額800万円)」などの特別控除があります。
自分が対象となりそうな制度がある場合は、国税庁のサイトで確認するか、最寄りの税務署に確認してみましょう。
10年超所有軽減税率の特例の適用を受けるためには、次のような要件があります。この制度は、3,000万円の特別控除と併用が可能です。
●マイホームなどの居住用財産を売却すること
●売却した物件に住んでいない場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること
●売却した日ではなく、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
●売却した年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと
●マイホームの買換えや交換の特例など、他の特別控除の適用を受けていないこと
●親子や夫婦など、特別な関係の人に対する売却ではないこと
●確定申告をすること
具体的な手順としては、物件を売却した翌年の2月16日から3月15日(休日の関係で延長することも)までの確定申告期限内に、管轄の税務署で確定申告を行います。
書類の種類 | 概要 | 入手方法 |
---|---|---|
確定申告書 | 所得の申告をする書式です。 | 税務署の窓口や国税庁のサイトにて入手。ダウンロードして手書きするほか、サイト上で入力してプリントアウトすることも可能。 |
分離課税申告書 | 不動産売却の譲渡所得を、他の所得を分けて申告するための書式です。 | |
譲渡所得の内訳書 | 売却した不動産の概要や売却した金額、譲渡費用などを記入します。 | |
売買契約書 | 売却した不動産を購入した時のもの。 | 自分で用意。コピー可。 |
売買契約書 | 売却した不動産を売却した時のもの。 | 自分で用意。コピー可。 |
登記事項証明書 | 売却した不動産のもの。土地、建物がある場合はそれぞれ必要。 | 法務局で請求。 |
領収書 | 仲介手数料など、売却にかかった諸費用のもの。 | 自分で用意。 |
戸籍の附票 | 売却した不動産の所在地と住民票の住所が違う場合。 | 自分で用意。 |
ご紹介したように、不動産を売却する際の譲渡所得は物件の保有期間によって大きく異なってきます。
売却時期を迷っている場合は、見積もりだけでなく譲渡所得という観点からもタイミングを判断しましょう。
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