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家を買うなら知っておこう!建ぺい率と容積率

2021.04.07

家を買うなら知っておこう!建ぺい率と容積率

「そろそろマイホームを建てようと思っている」
「中古の家を買ってリフォームしたい」

といった計画を実現するためには、「建ぺい率」と「容積率」という不動産のルールを理解しておく必要があります。
ただ、不動産業界の用語は専門的でわかりづらいものです。
そこで今回は、建ぺい率と容積率とは一体何なのかについて解説します。

建ぺい率と容積率ってなんのこと?

●建ぺい率とは

建ぺい率とは、「土地の広さに対して、建物の面積が何%あるのか」を示す数値のことです。
たとえば、50平方メートルの土地に建坪30平方メートルの家を建てた場合、建ぺい率は60%となります。
日本では土地ごとに建ぺい率の上限が定められており、家を建てたり増改築をしたりするときは、定められた建ぺい率を越えてはいけません。
土地の広さが制限されており、計画的に土地を使う必要性の高い日本だからこそ、家の広さを抑えるための建ぺい率が重要なのです。

なお、建ぺい率を計算するときは、「家や土地を真上から見た図」を考えます。
2階建てや3階建てといった高さのある建物だと、「真上から見て一番広い部分」を対象にするため、覚えておきましょう。

●容積率とは

容積率は、「土地に対する延床面積のパーセンテージ」です。
「一番広い階(多くの場合1階)の建坪」を見る建ぺい率とは違って、容積率では住宅全ての階の床面積を計算に入れます。
たとえば、50平方メートルの土地に1階の面積が30平方メートル、2階の面積が30平方メートルの家を建てた場合、容積率は120%です。
容積率がないと、「ひたすら背の高い家を作って居住空間を広げる」といった建物が増えてしまう可能性があります。
背の高すぎる住まいは、周辺の住宅や建築物を日陰にしてしまうので、建物の高さを抑えるために容積率というルールが利用されているわけです。

用途地域で建ぺい率と容積率は決まっている

●用途地域とは

土地の建ぺい率と容積率は、「用途地域」という行政による土地の利用区分によって決められています。
用途地域は、例えば住宅街と工場エリアが隣接しないようにするための配慮であり、計画的に効率よく土地を利用するための指針です。
「都市計画法」という法律に則って、都道府県知事が土地の使い方を考えています。

そんな用途地域の区分は、全部で以下の13種類。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 田園住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

一覧だと見分けられないと思いますが、大雑把にいうと「人が住む場所(農地を含む)」「駅等の商業エリア」「工業エリア」という3分類となっています。
後は、同様のエリアの中でも「一定以上の大きさの建物は建築禁止」といった細かい違いがあるだけです。
用途地域自体は5年に一度見直されており、場合によっては新しく追加されたり減ったりすることもあるため、厳密に理解する必要はありません。

●用途地域ごとの建ぺい率と容積率を紹介

用途地域ごとの建ぺい率と容積率は、以下の通りです。

用途地域 建ぺい率 容積率
第一種低層住居専用地域 30~60% 50~200%
第二種低層住居専用地域 30~60% 50~200%
第一種中高層住居専用地域 30~60% 100~300%
第二種中高層住居専用地域 30~60% 100~300%
第一種住居地域 60% 200~400%
第二種住居地域 60% 200~400%
田園住居地域 30~60% 50~200%
準住居地域 60% 200~400%
近隣商業地域 80% 200~400%
商業地域 80% 200~1,000%
準工業地域 60% 200~400%
工業地域 60% 200~400%
工業専用地域 30~60% 200~400%

とはいえ、土地の広さ等によって細かいパーセンテージは異なります。
正確な建ぺい率や容積率を知りたい場合は、最寄りの役所に問い合わせて、「都市計画図」を確認しましょう。

建ぺい率・容積率の計算方法

建ぺい率の計算方法は、

・建ぺい率(%)=建物の面積÷敷地全体の面積×100

で求められます。
冒頭で紹介した事例でいうと、

・30平方メートル÷50平方メートル×100=60

という結果で60%という数値が出てくるわけです。
容積率も、同じ方法で計算します。

・容積率(%)=建物の延床面積÷敷地全体の面積×100

同様に、冒頭の事例を使って実際に計算してみると、

・(1階30平方メートル+2階30平方メートル)÷50平方メートル×100=120

となり、120%という数値になるのです。
計算上の建ぺい率や容積率が用途地域の制限をオーバーしている場合、住宅の建築許可を出してもらえません。

建ぺい率と容積率以外にも存在する建築制限

建物のサイズや形状を制限するルールには、建ぺい率と容積率以外にもさまざまなものがあります。
たとえば、2項道路といって、敷地の出入り口に面した道路の幅が4メートル未満の場合、土地を後退して道路幅を4メートル以上確保する作業が必要です。
セットバックとよばれる土地の後退に使う部分は、あくまでも道路という扱いになるため、その部分には建築できません。
そのほか、日当たりを遮らないように建物の高さや屋根の勾配を制限される道路斜線制限、北側の日当たりを守るために設定されている北側斜線制限などもあります。
エリアによっては、高さや建物の面積が制限される場合もあるので、建築制限は土地ごとに考えることが重要です。
「周辺の相場よりも明らかに安く、問題が見当たらない土地」などは、建築制限などがかかっている可能性を考慮に入れておきましょう。
とはいえ、事前に建築制限についての知識があれば、リスクの高い土地を回避可能です。

建ぺい率・容積率に関する注意点

●建ぺい率・容積率をオーバーすると違法建築になってしまう

建ぺい率や容積率は、法律で定められた建築基準のひとつなので、わずかでも規定の割合をオーバーしていると違法建築になってしまいます。
不動産の新築や大幅な増改築を行う場合、実際に着工できるのは「知事から建築許可をもらった後」なので、そもそも建ぺい率や容積率がオーバーしていると建築工事すらできないのです。

また、中古住宅を購入して小規模な増改築を行い、建ぺい率や容積率をオーバーしてしまうという事例にも要注意。
違法建築物件は、「法律を守って設計・施工されている」という保証がないため、中古で売却しづらいというデメリットがあります。

●建ぺい率や容積率を守っていない物件はローンの利用が難しい

建ぺい率や容積率が基準値をオーバーしている場合、住宅ローンの利用が困難です。
不動産購入資金を用立てる方法として、金融機関の住宅ローン商品ほど低金利・長期間お金を借りられる方法はありません。
ノンバンク系の金融機関であれば融資を受けられる場合もありますが、ノンバンクのローンは住宅ローンよりも金利が高いです。
気になっている中古物件が建ぺい率などを守れていない場合は、住宅ローンなしでも購入できるかをよく考えましょう。

建ぺい率・容積率を守って広い家を建てるには?

●防火地域・準防火地域に耐火建築か準耐火建築を建てる

防火地域・準防火地域とは、火事が起きたときに大きな被害が出てしまうエリアのことです。
これらのエリアに耐火性能の高い物件、耐火建築物や準耐火建築物を建てた場合、建ぺい率が10%緩和されます。
耐火建築や準耐火建築は、通常の住宅よりも高価ですが、その分、広い家を建てられるというメリットがあるため、気になる土地が防火地域・準防火地域にあるなら一度、検討してみても良いでしょう。

●角地を選ぶ

敷地の二面が道路に接している角地も、建ぺい率10%緩和の対象です。
ただ、無条件に角地なら10%広い家を建てられるというわけではなく

  • 角地の角度が120度未満
  • 道路と接している部分の長さが敷地全体の長さに対して3分の1以上ある

場合にのみ適用されます。
また、敷地に接する道路がセットバックの必要な2項道路だった場合は、セットバックの実施と角地の隅切りすることも10%緩和の条件です。

●地下室やロフトを作る

実は、土地の条件だけでなく、新居の設計によっても容積率の緩和を受けられます。

具体的にいうと、

  • 地下室:延床面積の3分の1
  • ロフト:ロフト面積の2分の1
  • 住宅1階部分の車庫・ガレージ:車庫の5分の1

は、容積率の計算にカウントされません。
つまり、地下室・ロフト・ガレージ等を自宅に作れば、容積率の上限を越えた広い家を建てられるのです。

●ベランダやバルコニーを作る

横幅が2メートル以下のベランダやバルコニーといった家の外の部分に関しては、延床面積としてカウントする必要がありません。
もちろん、ベランダやバルコニーを広げすぎると建ぺい率の制限を気にする必要が出てきますが、「2階リビングでバルコニーを広めに作る」といった設計を取り入れれば、容積率を抑えつつ広々とした新居を建築可能です。

●吹き抜けを作る

吹き抜けがあると、2階の床面積は小さくなります。
当然、吹き抜けの何もない部分は延床面積のカウントに影響されないため、その分、別のスペースを拡張可能です。
吹き抜けは、空間を縦に広げることで開放感を演出しつつ採光を確保できるアイデアなので、1階部分の日当たりに悩んでいるなら利用してみると良いでしょう。

なお、吹き抜けと地下室を組み合わせると、地下室の難点である暗さを軽減できます。
土地選びや設計面の工夫を使いこなして、建ぺい率・容積率以上に広い家を建てましょう。

まとめ

日本では、都市計画法や建築基準法等の関係で、土地ごとに「家を建てて良い面積」や「土地に対する延床面積」が決められています。
建ぺい率や容積率といった上記の制限を守っていない物件や設計図は、建築許可を得たり実際に施工したりできないので、特に新築を考えている場合は必要不可欠な知識です。
ただ、建ぺい率や容積率、そしてそれらを緩和する工夫を知っていれば、本来の建ぺい率や容積率よりも広い家を建てられます。
不動産は、知識の有無が満足度の差に直結してくることも多いので、気になる土地や物件を見つけたら、まずは建ぺい率と容積率を調べるところから始めましょう。

 

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