column 762. 買う&売る

【年収別】自分の年収でいくらのマンションを買える?

2021.09.22

【年収別】自分の年収でいくらのマンションを買える?

長期的な不景気が続く現代日本は、住宅ローンの金利が大幅に下がっているためローンを組みやすい状況です。
ただし、いくらローンで家を建てやすい状況とはいっても、毎月ローンの返済に追われたり、ローンの負担で破産したりしてしまっては意味がありません。そこで重要なのが、「自分の年収でいくらのマンションを購入できるのか」を事前に知っておくことです。

今回は、マンション購入予算の計算方法や、年収別に見たマンション価格の目安、ローンの支払い額等をご紹介していきます。

マンション購入予算の計算方法

●大まかな目安は年収の5~7倍

マンション購入予算の計算方法として、大まかな目安を知りたい場合に役立つのが「年収の5倍から7倍のローンを組む」という基準です。詳しい内容は後で解説しますが、一般的に住宅ローンを無理なく返済できるラインは年収の5倍前後だとされています。たとえ年収の10倍のローンを組めたとしても、限界に近い倍率のローンは組むべきではありません。なぜなら、ローンの借り入れ額が増えれば増えるほど返済の負担も大きくなってしまうからです。

住宅ローンは、元金だけでなく利子を上乗せして返済する必要があります。もちろん、一般的な消費者金融やマイカーローン等に比べると、住宅ローンの金利は圧倒的に低く抑えられていますが、住宅ローンは借り入れ額も桁違い。1,000万円、2,000万円を約30年かけて返済していく期間中、ずっと金利がかかることを考えると、たとえ1%未満の金利でもその負担は小さいとはいえません。

年収に対して倍率の高いローンを組んでしまうと、月々のローン返済額だけでなく、完済までに支払うローンの利子まで大きく膨らんでしまいます。仮に年収の10倍近いローンを組んだとしたら、ちょっとした出費が発生しただけで家計は赤字になってしまうでしょう。住宅購入の世界において、「借りられる」金額と「無理なく返せる」金額には大きな差があります。マンション購入では、「借りられるだけ借りる」という選択肢を選ぶと高確率で後悔するので、借りすぎにはくれぐれも気をつけましょう。

●頭金と借入可能額を足した額がマンションの購入予算になる

マンションの購入予算を考える場合、住宅ローンでいくら借りられるかだけでなく、頭金も考慮する必要があります。頭金とは、ローンとは別に用意する先払い費用のことです。例えば、3,000万円のマンションを購入する際、頭金が300万円あると、ローンの借り入れ額を2,700万円に圧縮できます。逆に、3,000万円のローンを組んで300万円の頭金を足せば、マンションの購入予算を3,300万円まで拡張できるわけです。

基本的に、マンション価格に対して用意する頭金の額が多ければ多いほど借り入れ額を減らせるため、月々の返済が楽になっていきます。ただし、頭金の出どころは、多くの場合買い主の貯金や親からの援助金。ご家庭によって頭金をいくら用意できるかはそれぞれの事情によるため、マンションを買うときは、あらかじめ頭金の額を確定させてから予算の上限を決めましょう。頭金を当てにして無理をした結果、必要な頭金を用意できずにローン返済に追われるという事態は避けるべきです。頭金や借入可能額を決めておけば、手の届かない物件を購入してしまうこともありません。

なお、年間110万円以上の贈与を受けた場合、たとえ親からもらったお金であっても本来なら贈与税の納税が必要です。しかし、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という制度を利用すれば、住宅の性能によって最大1,000~1,500万円まで親から非課税で援助を受けられます。親から子への住宅資金援助は相続対策にもなるため、マンションを買うときは家族で話し合う場を持ち、

  • 援助を受けられるのか
  • 援助してもらえるとして金額はいくらなのか
  • きょうだいがいる場合援助の比率や今後の相続をどう考えているのか

などを話し合っておきましょう。兄弟姉妹がいて住宅資金の援助金に差があると、将来相続の際にもめる可能性も出てきます。お金の話は非常にデリケートなので、必要に応じて相続まで視野に入れて話し合うことが大切です。

●無理なく返済できる額は「返済比率」で考えよう

頭金に年収の5~7倍の住宅ローンを足すと、「マンション購入予算の限度額」が見えてきます。ただ、毎月いくらまで返済に回せるのかはご家庭次第です。そのため、具体的なローン返済額を、「返済比率(返済負担率)」という基準で計算します。

返済比率とは、「年収に対するローンの割合」のことです。簡単にいえば、年収の何%を年間のローン返済に回しているのかを示しています。では、返済負担率が何%までなら無理なく返済できるのでしょうか。

今回ご紹介する基準は二つです。一つは、長期固定金利で人気のあるフラット35の審査基準。返済比率は住宅ローンを提供する金融機関でも審査基準の一つに数えられており、フラット35の場合は「年収400万円未満は返済比率30%以下」「年収400万円以上は返済比率35%以下」と決められています。この基準で考えた場合、マンション購入時の返済比率は高くても年収の35%以下にすれば良いと判断できるわけです。

もう一つは、国土交通省によって調査・公表されている「住宅市場動向調査」の返済比率を参考にすること。調査結果によれば、分譲マンションの返済負担率は平均17.4%、中古マンションの返済負担率は14.8%です。※1
上限が35%であったとしても、実際にマンションを購入した人の大半は返済比率が20%を下回るように予算を調整しています。※1

年収300万円なら年間のローン返済額が60万円以下になるように、年収400万円なら年間のローン返済額が80万円以下になるように住宅ローンを組むと、生活しながら無理なく返済できる可能性が高いです。

※1 国土交通省:令和2年度 住宅市場動向調査報告書
https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf

【年収別】マンション価格とローン支払いはどれくらい?

ここまで、マンション購入予算の計算方法や基本的な考え方を紹介してきました。ただ、「住宅ローンは年収の5~7倍」「返済比率20%」といった用語だけではいくらのマンションを買えるのか、月々いくらずつ返済していけば良いのかイメージできないという場合もあるでしょう。

そこで、

  • 35年固定金利
  • 金利1.54%

というローンを組んだ場合に買えるマンションの価格と、月々のローン返済額を年収別で表にまとめました。

年収 マンション価格(年収の5~7倍) 月々のローン返済額 返済総額
300万円 1,500〜2,100万円 4.7~6.5万円 1,942~2,718万円
400万円 2,000〜2,800万円 6.2~8.7万円 2,589~3,624万円
500万円 2,500〜3,500万円 7.8~10.8万円 3,236~4,530万円
600万円 3,000〜4,200万円 9.3~13万円 3,883~5,436万円
700万円 3,500〜4,900万円 10.8~15.1万円 4,530~6,342万円
800万円 4,000〜5,600万円 12.4~17.3万円 5,177~7,248万円
900万円 4,500〜6,300万円 13.9~19.5万円 5,824~8,154万円
1,000万円 5,000万〜7,000万円 15.5~21.6万円 6,472~9,060万円

一ヵ月あたりのローン返済額を12倍して年収で割ってみると、返済比率は18.6~26%です。気になるマンションを見つけたとき、年収倍率や返済比率を知っていれば、「どちらの計算でも無理なく返済できそうだ」という判断を下せるようになります。

「大丈夫だろう」と安易にローンを組んだ結果、万が一、住宅ローンを滞納してしまえば、待っているのはマイホームの差し押さえと競売です。「どうしてもあの家で暮らしたい」という気持ちがあっても、無理のあるローンを組むと返済に追われることになってしまいます。長い人生の中で、お子さんが生まれたり家族やペットが病気になったり、冠婚葬祭が続いたりと出費が増えるケースも少なくありません。新居で数十年無理なく楽しく暮らしていけように、マンション購入時はローンを払った後も家計に余裕を持てる予算を立てましょう。

マンション購入者の年収はいくら?年齢は?

●マンション購入者の平均世帯年収

国土交通省の調査によると、2019年4月から2020年3月までの一年間でマンションを購入した層の平均世帯年収は、「879万円」でした。※1
過去の調査と購入マンションの年収倍率を比較した場合、年収倍率やマンション自体の購入価格はほぼ横ばい。※2
多少の変動はあるものの、分譲マンションを求める層は毎年おおむね似たような年収で同じような価格帯の物件を手にしていることが分かります。なお、中古マンションに限れば、平均世帯年収は「687万円」です。※1

マンション購入を検討するときは、夫婦の世帯年収を合算して新築と中古どちらを選ぶか決めると良いでしょう。

●マンション購入者の平均年齢

マンション購入者の平均年齢は、「40.9%」が30代です。※1
第二位の年齢層が「20.1%」の40代なので、住宅購入者の約6割は30代から40代にかけて家を買っていることがわかります。年齢別で見ると、住宅購入者の多い年齢層の第3位は60歳以降。また、注文住宅のデータになりますが、同調査によれば30代の「45.4%」が新築を選んでおり、60歳以降の「63.2%」が建て替えを行っています。30代から40代で最初のマイホームを購入し、60歳以降に建て替えや住み替え等を考えるのが一般的な流れになっているわけです。老後の暮らしを考えると、30代ならローン多め、40代なら頭金多めでマンションを買うと返済が楽になるでしょう。

●マンション購入者の勤続年数

不動産購入者の勤続年数平均は、上位から順に以下のようになっています。

・1位:10~20年(33.1%)
・2位:5~10年(28.5%)
・3位:5年未満(14.8%)
・4位:20~30年(11.7%)
・5位:30年以上(11.1%)
※1

高校・大学卒業後すぐに就職したとして、18~22歳から10~20年少々勤めた段階で初めて家を買うという状況です。住宅ローンの審査基準は公開されていませんが、一般的に勤続年数が短いと継続的に収入を得られる可能性が低いとみなされやすいため、できるだけ勤続年数を安定させてからローンの申し込みをすると良いでしょう。

●マンションの平均購入価格

マンションの平均購入価格は、「4,639万円」でした。※1
年収倍率でいうと、5.28倍の物件を購入しているという結果になっています。過去5年分の調査でも分譲マンションの平均購入価格は4,000万円以上、倍率5.2倍から5.6倍程度なので、購入者の大半が「無理なくローン返済できる物件」を選んでいると考えられます。

一方、中古マンションの平均購入価格と年収倍率は「2,263万円」「3.29倍」です。※1
中古マンションの場合は必要に応じてリフォームを行うケースもあるので、年収倍率を下げて堅実なローンを組む世帯が多くなっていると捉えても良いでしょう。

※2 国土交通省:令和2年度 住宅市場動向調査~調査結果概要(抜粋)~
https://www.mlit.go.jp/common/001401317.pdf

借り入れ前に返済シミュレーションをしてみよう

年収倍率や返済比率といった考え方を知れば、「現実的なマンションの予算」や「無理なく返済できる住宅ローン借り入れ額」を計算可能です。ただし、これらの計算はあくまでもローンだけを考えたもの。実際には食費や教育費など様々な生活費と合わせて無理のない予算を決めていく必要があるため、ローンを組む前に詳細な返済シミュレーションをしておきましょう。月々の返済額等は金融機関のローンシミュレーターで計算したり、不動産業者に相談したりすれば分かります。後は現在の収入と支出をすべて書き出して、家計に余裕を持てるラインを探るのがおすすめです。

マンション購入時の注意点

●新居に求める優先順位を決めておく

マンションを購入するときは、事前に優先順位を決めておきましょう。
たとえば、立地の良さを重視すると決めておけば、価格が同じくらいで駅近の物件と駅から遠い物件を比較する際に悩む時間を減らせます。家族で話し合い、新生活において重要な項目を決めておくことによって、さほど重要でなかった点にお金をかけてしまうといった失敗も避けられるでしょう。

●新築にこだわりすぎない

マンションは新築と中古で必要な予算が大きく変わってきます。中古物件でも基礎が丈夫ならリフォームで新築同然にできますし、古い物件は古い物件で立地の良いものが多いため、予算によっては中古マンションも選択肢に入れましょう。住宅購入資金を抑えれば、ローン審査に通りやすくなるほか、家具や家電にもお金をかけられます。

●転勤の可能性がある場合は高く売れる物件を選ぶ

仕事柄転勤や長期出張の可能性が高かったり、将来的には住み替えや同居を考えていたりする場合、「売りやすいマンション」を購入することが大切です。一般的に、マンションの需要は立地の良さと築年数で決まるため、コストパフォーマンスを考えるなら駅前に建っている築浅マンションをおすすめします。ライフスタイルや世帯人数に合わせて住み替えるのも、快適な暮らし方の一つです。

●マンションの予算に諸費用も含めておく

マンションの購入時には、住宅ローンの保証料や手数料、売買契約書の作成時に必要な収入印紙代などがかかります。諸費用はマンション価格の3%から5%程度です。パーセンテージこそ小さいですが、4,000万円の3~5%は120~200万円なので、決して簡単に用意できる金額ではありません。マンションの予算を考える際は、諸費用も最初から考慮に入れておきましょう。

●返済比率には住宅ローン以外のローンも含まれる

住宅ローン借り入れ額を計算するときに使う返済比率には、住宅ローン以外のローンも含めます。消費者金融やスマホの分割払い、自動車ローンに教育ローン等も含めて年収の20%程度に抑える必要があるため、家を買う前に利用中のローンも洗い出しておきましょう。

また、ローン計算で利用される年収は、税込みの額面年収です。実際には所得税や社会保険料等を引いた手取りが基準になるため、より返済に余裕を持ちたい場合は手取りに対する返済比率を考えることをおすすめします。

●預貯金をある程度残しておこう

マンションの購入後も生活費は必要です。むしろ、引っ越し費用や固定資産税、修繕積立金に管理費等の支払いが必要になることを考えると、用意できる予算を全額マンション購入にあてるのはおすすめできません。預貯金から頭金を出す場合、不測の事態が起きても数ヶ月は貯蓄を切り崩して生活できる程度の金額を手元に残しておきましょう。

●住宅ローンの借り入れ額はできるだけ小さく抑える

マンション購入者のデータを見ると、マンションの予算は年収の5倍少々です。しかし、平均値が年収の5倍だからといって、周りに予算を合わせる必要はありません。ローンの融資額をあえて抑え、新生活そのものにお金を使うという選択肢を取った方が満足できる場合もあります。ローンの金額を抑えることで返済負担も軽くなるので、返済計画には余裕を持たせましょう。

まとめ

年収の5倍から7倍、または返済比率20%前後が無理なく返済できる住宅ローンの利用額であり、マンションの予算です。予算決めの基準や計算方法、マンション選びの注意点を知っていれば、借りすぎによる家計の圧迫を避けられます。

ただ、ご家庭によって余裕を持てるマンションの予算の額は様々です。家を買うときは、事前に返済シミュレーションを行いましょう。

 

永大ハウス工業では、仙台・宮城エリアに特化した戸建て、マンション、土地など様々な不動産を取り扱っております。こだわりの物件はコチラから。

人気のこだわり物件

来店予約・見学予約・訪問査定キャンペーン実施中!お近くの店舗はこちら

今週のおすすめ物件

一覧に戻る