column 792. 買う&売る

私道に接した土地を買う際の注意点やメリット・デメリットを解説

2022.06.22

私道に接した土地を買う際の注意点やメリット・デメリットを解説

市場で販売されている土地の中には、「私道負担」と記載されているものがあります。
大抵の場合、私道負担付きの土地は周辺の不動産より価格が安いため、問題がなければ購入したいと考える方も多いでしょう。

ただし、私道に接した土地は公道に接している土地よりも扱いが難しく、知らずに買うとトラブルになりやすいので注意が必要です。

今回は、公道と私道の違いを始め、私道負担付きの土地を選ぶメリットやデメリットについて解説していきます。

「公道」と「私道」の違い

いわゆる公道と私道の違いは、「誰が管理しているか」です。
公道は国や自治体が管理しているため、私有地と違って誰でも自由に通行できます。
一方、私道は文字通り特定の個人や団体が私的に所有・管理している財産です。
あくまでも個人の所有物なので、通行料を取るなど所有者が使い方を自由に決めて構いません。
なお、個人所有の私道でも、公道としての届け出をしていたり、管理を国や自治体に任せていたりする場合は、「公道」として扱われます。

私道負担とは

私道負担とは、土地の一部が私道になっている、または土地の一部を私道にしなければならない状態のことです。
日本では、建築基準法の規定上、「幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している」場合にのみ建築許可が下りるようになっています。
接道義務を果たしていない場合、家を建てる前にお金をかけて私道を整備する必要があるのです。私道は個人の所有物なので、当然維持費も所有者が負担します。
私道負担のある土地は、接道義務をクリアしている土地に比べて費用や手続きの負担が重いです。
そのため、不動産取引では、「私道負担」という用語を付けることで一般的な土地と私道負担付きの土地を区別できるようにしています。

私道が必要になるのはどんなケース?

私道が必要になるケースとして、代表的なのは以下のような状態です。

  • 広い土地を分割したら道路に接していない土地ができてしまった
  • 道路沿いの土地を分割した結果奥側の土地が道路に接していない
  • 公道に接しているが道路幅が狭いため建築許可が下りない

道路に接していない、または道路に接していても接道義務の基準をクリアしていない場合、私道の整備を行います。
特に、「公道に接しているものの、土地に面した道路幅が4メートル未満」であるケースでは、道路に面した私道にして幅4メートルを確保する、セットバックという工事が必要です。

私道負担付きの土地とは

私道負担付きの土地とは、購入後に家を建てる場合、自分のお金で私道を整備したり周囲の権利者が持っている私道を使わせてもらったりする必要がある土地のこと。
不動産の取引では、圧倒的に知識のない一般消費者でも公正な取引ができるよう、不動産に関する詳細を隠すことなく伝えることが義務付けられています。
私道負担がある場合、広告に土地の面積と私道の面積両方を表示する必要があるので、私道負担があることを知らずに買ってしまう心配はありません。

私道負担がある土地ならではのデメリット

●私道の整備や維持費が自己負担

私道負担のある土地を購入する最大のデメリットは、私道を整備したり維持したりするお金がかかることです。
私道がない場合はアスファルトの敷設から始めることになりますし、地面の陥没や水道管の故障も自費で修理する必要があります。
大抵の場合、私道の整備は自治体から補助を受けられますが、それでも多少の自己負担は避けられません。
また、私道部分も私有地なので、私道を持っている限り固定資産税や都市計画税がかかります。

●自分の土地なのに自由に使えない

接道義務をクリアするために整備した私道は、あくまでも誰かが通るための道路です。
日本では、道路に建物を建てたり私物を置いたりしてはいけないと法律で定めているため、私道部分はお金をかけて自分で整備したにも関わらず、持ち主の自由に使えません。
駐車場にする、塀や門扉を設置する、鉢植えを置くといった行為も禁止です。
また、私道でも公共性が高い場合、たとえば不特定多数の人間が通る場合などは、私有地だからといって通行を禁じるようなルールも作れません。

●建てられる家の面積が狭くなる

空き地に建物を建てる場合、土地ごとの建ぺい率と容積率を守る必要があります。
仮に、100平方メートルの面積を持つ土地の建ぺい率が60%、容積率が100%だった場合、建築できるのは1階の床面積が60平方メートル以下で延床面積100平方メートル以下の建物です。
しかし、この土地の30平方メートルを私道にした場合、「70平方メートルに対する建ぺい率60%・容積率100%」が建築面積の上限となります。
同じ広さの土地に比べて建てられる家のサイズが小さくなることも、私道負担のある土地ならではのデメリットです。

●周辺住民とトラブルになる可能性がある/span>

土地の形状によっては、自分が整備した私道を隣地の住民が使ったり、他人が整備した私道を自分が使ったりすることになります。
また、複数の土地の中央部分に私道がある場合、所有権を分割したり共有したりするケースも多いです。
関係者が増えると、修繕費を誰がどの程度負担するのかで揉めたり、住民トラブルから通行を制限されたりする可能性が高くなることも覚えておく必要があります。

●売却しづらい

私道負担付きの不動産は、私道の管理や整備が必要になるほか、周辺住民との人付き合い・交渉も不可欠になってくるため、あまり人気がありません。
特に、一切道路と接していない無道路地は、他人所有の土地を買い取って私道にしたり、通行料を払って私道の利用を認めてもらったりする必要があるので管理も大変です。
将来的に土地や建物を売却する予定が少しでもあるなら、売りやすい不動産を選んだ方が良いでしょう。

私道負担がある土地を買うメリット

私道負担のある土地を選ぶメリットは、相場よりも価格が安いことです。
私道負担がある分一般的な土地よりも制限が多いため、私道負担付きの土地は近隣にある同じ広さの土地よりも安く入手できます。
また、私道なので通行料等もある程度、自由に設定できますし、整備費用を自分で出すので道路のデザインも自由です。
土地自体が奥まった場所にあり、自分達以外に私道を利用する者がいない場合は、ほかの人が通らないように制限しても構いません。

私道負担がある土地を買う際に押さえておきたいポイント

私道負担のある土地を買うときは、

  • 私道の権利関係や修繕費・維持費の負担をどうしているのか
  • どれくらいの広さの建物を建てられるのか

を確認しましょう。
私道の権利関係は、土地によって異なります。
通行料が必要なのか、隣接する土地の所有者全員が均等に修繕費を負担するのかなど、お金や利用権があいまいだと購入後トラブルになりやすいので、事前の確認が重要です。
また、私道部分は建ぺい率や容積率の計算にカウントされないので、十分な広さの家を建てられるかも調べておく必要があります。

まとめ

私道に接した土地は、自費で道路工事を行ったり、隣地の私道所有者に通行料を払ったりして接道義務を果たさないと家を建てられません。
価格が安いため一見お得に見えますが、私道の整備も維持費も基本的には所有者負担ですし、同じ広さの土地に比べて自由に使える面積が狭く、家のサイズも小さくなるなどデメリットも多いです。
一般的な土地よりも扱いが難しいので、私道負担付きの土地を買うときは、土地ごとの状態や権利関係を十分に調べた上で購入するかどうかを考えましょう。

 

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