column 817. 買う&売る

借地権って何?借地権の概要とメリット・デメリット

2022.10.17

借地権って何?借地権の概要とメリット・デメリット

借地権を使うと、お金を払って借りた土地に自分の家を建てられます。

ただ、「地主から土地を借りる」という契約の都合上、借地権は更新期間や地代の設定などが複雑で、契約に関する知識がないとトラブルになりやすいです。

そこで今回は、借地権の概要とメリットやデメリット、良くあるトラブルとその対処法について解説しきます。

借地権ってどういう権利なの?

借地権は、家を建てるため、地主にお金を払って土地を借りる権利のことです。
土地の所有者を地主、土地を借りる側を借地人と呼び、借地人から地主に支払う土地のレンタル料金のことを地代と呼びます。
「お金を払って何かを借りる」という意味では、借地権と賃貸物件の契約は似たようなものです。

ただ、借地権は契約期間が数十年単位ですし、契約の中身も借地権の種類によって大きく変わります。
借地権を契約して建てた家を売ったりリフォームしたりする場合、地主の許可が必要など制限も多く、知識がない状態で手を出すとトラブルになりやすいため、注意が必要です。

借地権の種類

●旧借地権

一般的に、木造一戸建ての寿命は、30年程度だとされるケースが多いです。
理由はいくつかあります。
一つは、日本が高温多湿な環境で地震や台風も多く、環境的に建物が劣化しやすいこと。
物理的に家の劣化が進むため、メンテナンスを放棄していると、築30年で快適とはいえない状態になってしまいます。

借地借家法が施行される1992年の8月より前に結ばれた借地権契約のことを、旧借地権と呼びます。
旧借地権の特徴は、建物の種類によってレンタル期間が変わること。
非堅固建物(主に木造)だと、最初の契約期間は30年、その後20年ごとの更新が可能ですが、堅固建物(石造やコンクリート造など)だと最初の契約期間が60年で、更新は30年ごととなっています。

また、旧借地権は、地主に正当な事情がない限り、賃借人からの契約更新を拒否できません。
借賃に建物があり、地代を払っていれば半永久的に土地を借りられるため、基本的に土地を借りる側が有利な契約です。

●普通借地権

普通借地権は、借地借家法制定後に結ばれた借地権契約のことを指します。
基準となる契約期間は30年、その後更新の度に20年、10年と1更新あたりのサイクルが短くなっていくのが特徴です。
普通借地権の場合も、旧借地権と同様にお金を払っていれば、地主に正当な事情がない限り更新を拒否できないので、半永久的に土地を借りられます。

●定期借地権

定期借地権は、借地借家法の施行によって新しく作られた借地権です。
最大の特徴は、基本的に最初に決めた契約期間(最低でも50年以上)が満了したら、借地権を更新しないこと。
定期借地権を結んだら、借地人が引き続き土地を利用したいと思っていても、土地の使用権を地主へ返す必要があります。

なお、定期借地権契約に関しては、一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3種類があり、それぞれ契約期間や細かい条件が違うという点もポイントです。

旧借地法と新借地借家法の違い

●契約期間の決め方が違う

旧借地法では、建物の素材や構造で契約期間と更新年数を決めていました。
非堅固建物は契約時30年で20年ごとの更新、堅固建物なら契約時60年で30年ごとの更新です。

しかし、新借地借家法では、建物の種類に関わらず、借地権の種類で契約期間を決めるというルールになっています。
新法だと、普通借地権は初回30年以上の契約で、その後は20年・10年ごとに更新し、定期借地権なら初回契約50年以上で更新はありません。
新法は契約期間の決め方が簡素化され、わかりやすくなっています。

●定期借地権を作って借地権を解約できるようにした

旧借地法と新借地借家法の大きな違いが、定期借地権の新設です。
旧法では、借地にある建物がボロボロになって到底住めないような状態になるか、「地主が自分で土地を使いたいが、ほかに土地を持っていないので借地を取り戻すしかない」といった正当な理由で契約解除を求めない限り、地主側から借地権契約を解約できませんでした。
しかし、新法の定期借地権だと、契約書で決めた利用期間が終わったら確実に借地が地主の手元に戻ってきます。

●旧法では朽廃による借地権の消滅がある

旧借地法では、朽廃といって、売ろうと思ってもお金にならないくらい建物が老朽化してボロボロになった場合、旧借地権の契約期間が残っていても借地権が消滅するというルールがありました。

しかし、新借地借家法では、建物が朽廃しても、契約期間が満了するまで借地権が残ります。
つまり、ボロボロになった家を地主の許可を取って建て替えれば、当初の契約期間土地を使えるし、契約更新すればその後も同じ土地で暮らせるのです。

なお、火災や台風といった災害で家が壊れた場合は、朽廃ではなく滅失という扱いになります。
旧法でも新法でも、滅失しただけなら借地権はなくなりません。

借地権付き建物のメリットとデメリット

●メリット

借地権契約をして家を新築したり、第三者が売り出した借地権付き建物を中古で買ったりするメリットは、土地を買わずに一戸建てを持てることです。
地価の高いエリアだと、土地を買うより借りた方が圧倒的に安く家を建てられます。

また、土地に対する固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者に課せられる税金です。
借地権付き建物の場合、固定資産税・都市計画税の負担もありません。

●デメリット

借地権付き建物のデメリットは、どれだけ地代を払っても土地が自分のものにならないことです。
借地権の更新を繰り返せば、いずれ支払った賃料総額の方が土地代より高くなるタイミングがやってきます。

また、借地権付き建物は、不動産の売却・建て替え・リフォームをする際に地主の許可が必要です。
土地が他人のものなので、担保としての評価が低く、住宅ローンを組みづらいというデメリットもあります。

借地権割合の調べ方と計算方法

借地権割合とは、「土地の権利のうち、何%を借地人が持っているのか」を示した割合です。
借地権付き建物を相続する際、いくらの資産を相続したのか、どれくらいの相続税がかかるのかを計算するために使われます。

そんな借地権割合は、国税庁のホームページで公開されている「路線価図」で調査可能です。
路線価図で不動産の住所地を調べると、「300C」といった数字とアルファベットが記載されています。
数字の部分は、土地1平方メートルあたりの単価を千円単位で示したもので、アルファベットは借地権割合を示したもの。
借地権割合は、AからGまで、90%から10%ずつ下がっていく7段階評価なので、借地の面積が60平方メートルなら、

・60平方メートル×土地単価30万円(300千円)×借地権割合C70%=1,260万円

となります。

●借地権付き建物の良くあるトラブルと対処法

借地権付き建物の良くあるトラブルは、

  • 地主が急に借地料の値上げを求めてきた
  • 相続で地主が代替わりし立ち退きを求められた
  • 地主が不動産の売却やリフォームを認めてくれない

といったものです。

ただ、基本的に、借地人の権利は法律で強く保護されています。
地代の値上げや立ち退きが認められるのは、あくまでも地主側が正当な理由を示せるときだけなので、地代を払って借地権契約の義務を果たしていれば、一方的に地代を値上げされたり追い出されたりする心配はありません。
トラブルを予防したい場合は、弁護士等に相談し、あらかじめ一方的な値上げなどを禁じる契約書を作っておくのが効果的です。

まとめ

借地権を活用すれば、地価の高いエリアでも安い価格でマイホームを購入できます。

ただし、借地権付き建物は、毎月地代の支払いが必要ですし、売却したりリフォームしたりする際には地主の許可が必須です。

トラブルなく借地権を使うためには、契約書を作り込んだり地主と良好な関係を築く努力をしたりする必要があるので、「安い」と思った不動産が借地権だったときは、不動産業者と相談してメリットとデメリットを比較しましょう。

 

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