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長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税率・計算方法などを紹介

2022.10.17

長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや税率・計算方法などを紹介

不動産を売る場合、所有期間が5年を越えてから売ると、税金が安くなってお得です。

ただし、譲渡所得のルールでは、所有期間の数え方が違います。
売却のタイミングによっては高い税率で不動産を手放すことになってしまうので、譲渡所得や譲渡所得税の計算方法について知っておく必要があります。

今回は、長期譲渡所得と短期譲渡所得の様々な違いや、税の計算方法、不動産を売るときに知っておきたいお得な特別控除についてご紹介します。

譲渡所得とは

●長期譲渡所得とは?

長期譲渡所得とは、「不動産を売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を越えている」時に適用される譲渡所得のことです。
もう一つの譲渡所得である短期譲渡所得よりも税率が低く、納税額を大幅に抑えられるというメリットを持っています。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率を比べた場合、長期譲渡所得なら納税額は約半分になるので、不動産を売る時は、長期譲渡所得になるよう売却時期をコントロールすると良いでしょう。

●短期譲渡所得とは?

短期譲渡所得は、長期譲渡所得の対象にならない場合、具体的には不動産の所有期間5年以下で売ったときに適用される譲渡所得です。
長期譲渡所得に比べると税率が高いため、お得感はありません。
ただ、不動産によっては、長期譲渡所得の対象になるまで待つよりも、短期譲渡所得で早く売った方が、売却代金が高くなって得をする場合もあります。

自分にとって、長期譲渡所得・短期譲渡所得のどちらがお得なのかを判断できるように、長期・短期譲渡所得の違いを理解しておきましょう。

長期・短期譲渡所得それぞれの違い

長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いは、不動産の所有期間と税率です。
不動産を売った時、長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちらになるかは、不動産の所有期間で決まります。
不動産を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を越えていれば長期譲渡所得ですし、5年以下であれば短期譲渡所得になるというルールです。

ただ、所有期間5年超のルールはあまり分かりやすいものではないので、具体例で確認しておきましょう。
たとえば、2020年の2月1日に購入した不動産を、2025年の2月2日に売却した場合、不動産の所有期間は5年と1日です。
所有期間が5年を越えているため、一見すると長期譲渡所得の対象に見えます。

しかし、長期譲渡所得の条件は、「不動産を売った年の1月1日時点」で、所有期間が5年を越えていること。
2025年の1月1日を基準にすると、不動産の所有期間は4年と11ヶ月なので、この場合は短期譲渡所得になってしまうのです。
上記の物件を長期譲渡所得で売りたい場合、1月1日時点での所有期間が5年を越えるタイミング、つまり2026年1月1日以降に不動産を売る必要があります。

長期・短期譲渡所得それぞれの税率

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は、以下の通りです。

  • 長期譲渡所得:所得税15%・住民税5%=20%
  • 短期譲渡税率:所得税30%・住民税9%=39%

ただし、所得税の課税時は、所得税の2.1%に相当する復興特別所得税を加える必要があります。
復興特別所得税の計算式は、所得税×2.1%です。
そのため、実際の税率は以下のようになります。

  • 長期譲渡所得:15%+15%×2.1%+5%=20.315%
  • 短期譲渡所得:30%+30%×2.1%+9%=39.63%

長期譲渡所得になるか短期譲渡所得になるかで、最終的な税率が倍近く変わってしまうのが譲渡所得税の特徴です。

長期譲渡所得の税額を計算する方法

●譲渡所得を求める

長期譲渡所得の税額を計算する場合、まずは譲渡所得を求める必要があります。
譲渡所得の計算式は、「不動産の売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」です。
所得は売上そのものではなく、売上から経費と控除を引いたものなので、不動産を買った時に使った経費である「取得費」と、不動産を売るときにかかった経費の「譲渡費用」を売却価格から差し引きます。

●取得費と譲渡費用を計算する

取得費として経費にできるのは、不動産の購入代金・不動産業者に支払った仲介手数料・売買契約書を作る際に必要な収入印紙代・登記の手数料などです。
不動産を買った当時の支払い書類が残っていれば、不動産の売却額から差し引きできます。
ただし、建物は物理的に劣化するので、不動産購入費用の内、取得費にできるのは減価償却費を抜いた金額です。

なお、相続等で手に入れており取得費が分からなかったり、支払い書類を紛失していたりする場合、「不動産の購入金額×5%」をおおよその取得費にできます。

一方、譲渡費用にできるのは、不動産売却時に支払った仲介手数料・収入印紙の代金・登記の手数料・立ち退き料や建物の解体費用などです。

そのほか、マイホームを売った、公共事業の立ち退きのために不動産を売ったなど、特定の条件を満たしていると特別控除を受けられます。

●譲渡所得に税率をかける

たとえば、不動産の売却価格が3,000万円、取得費1,200万円・譲渡費用300万円だとしたら、譲渡所得は3,000万円-(1,200万円+300万円)=1,500万円です。
譲渡所得から差し引きできる特別控除がなかった場合、

  • 長期譲渡所得税額:1,500万円×20.315%=304.725万円
  • 短期譲渡所得税額:1,500万円×39.63%=594.45万円

を納税することになります。

ただ、マイホームの売却だと3,000万円の特別控除を使えるので、実際には、譲渡所得が3,000万円を越えない限り譲渡所得税はかかりません。

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特定とは、所有期間が10年を越えているマイホームを売却する場合に使える譲渡所得税の特別控除です。

  • 不動産を売った年の1月1日時点で所有期間が10年超
  • 売却する不動産が国内のマイホームであること(投資物件や土地のみの売却はNG)
  • 過去2年間で10年超所有軽減税率を利用していないこと
  • マイホームの売却時に使える3,000万円控除以外の税の特例を受けていないこと
  • 売却相手が親子・親族・身内の会社といった親しい間柄ではないこと

譲渡所得6,000万円以下の部分に限られますが、上記5つすべての条件を満たしていると、所得税15%が10%に、住民税は5%から4%に下がります。
譲渡所得額が6,000万円を越えた部分に関しては、通常の長期譲渡所得と同じ税率ですが、ただでさえ低い税率がさらに低くなるので、大きな節税効果を狙える特例です。

なお、住宅ローン控除は使えなくなるものの、10年超所有軽減税率の特例は、マイホーム売却時の3,000万円特別控除と併用できます。

特定居住用財産の買換え特例

特定居住用財産の買換え特例は、マイホームの買い換えで利益が出た場合、本来翌年に行うべき所得税と住民税の計算を、買い替えた不動産を売る時まで待ってもらえるという制度です。
課税を繰り延べているだけなので、税金が安くなるわけではありませんが、本来なら納税に使うはずのお金を新居や新生活に投資できるというメリットがあります。

ただ、特定居住用財産の買換え特例を使うと、10年超所有軽減税率の特例や、3,000万円の特別控除は使えません。
10年超の特例と3,000万円の特別控除を組み合わせた方が節税効果は大きくなるので、活用できる機会は少ないです。

まとめ

不動産は、購入後に正月を6回以上迎えてから売却すると、長期譲渡所得の税率が適用され、納税額が約半額になります。

所有期間が10年超だとさらに税率が安くなるので、不動産はすぐに売るよりある程度、待ってから売却した方がお得です。

ただ、不動産によって売却のタイミングも事情も異なります。
不動産を売る時は、その時に使える一番お得な売り方や税の特例を調べて、賢く節税しましょう。

 

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