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再建築不可物件ってどんな家?安く買って後悔しないための基礎知識

2024.07.16

再建築不可物件ってどんな家?安く買って後悔しないための基礎知識

再建築不可物件とは、名前の通り建て替えができない物件のことを指します。
同じエリアで売り出されている物件に比べて、価格が大幅に安いため、魅力的に感じる方も多いですが、実は知識のない方が手を出すと後悔しやすい不動産です。

この記事では、再建築不可物件についての基本知識を始め、再建築不可物件のメリット・デメリットや、購入時に確認したいポイントなどを解説します。

再建築不可物件はどんな物件なの?

●法律や条例の規制上建て替えができない不動産のこと

再建築不可物件とは、法律や条例のルール上、建て替えられない不動産のことです。
具体的には、建築基準法の第42条・43条で定められた「接道義務」をクリアしていない物件を指します。
接道義務は、「家を建てるとき、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」というルールです。
たとえば、四方全てを隣地に囲まれている袋地や、細い路地だけで道路につながっている旗竿地などが該当します。
再建築不可物件は、現行法の基準をクリアしていないため、建て替えたいと申請を出しても建築許可が下りません。

●世の中に再建築不可物件がある理由

なぜ、法律で建て替えが制限されている物件が世の中にあるのかというと、そもそも建築基準法と接道義務の制定が1950年だから。
いくら国や自治体でも、個人の財産に対して、「法律や条例を作ったため、今すぐ自分のお金で再建築不可状態をクリアしなさい」とは命令できません。
再建築不可を解除するためには、かなりのお金や手間がかかるので、「再建築するときに是正すればOK」というルールになった結果、古い住宅が現在まで残っているのです。

再建築不可物件はリフォームならOK

●「建築確認申請」が不要な工事なら問題なくできる

再建築不可物件は、「建築確認」が不要な工事、小規模のリフォームであれば、問題なく実施できます。
建築確認とは、新築・建て替え・大規模な増改築をする際、建築基準法や条例を守っているかどうかを自治体にチェックしてもらう申請手続きです。

建築確認をパスし、建築許可を得ないと、業者は工事ができません。
しかし、小規模なリフォーム、内装の変更や住宅設備の交換、修繕といった工事なら、建築確認なしで作業できます。

●建築確認の不要なリフォーム工事の一例

建築確認が不要なリフォーム工事の一例は、以下の通りです。

・キッチンや浴室のリフォーム
・壁紙・床材の張り替え
・コンセントの増設
・屋根・外壁の再塗装
・雨樋の修理
・断熱材の追加
・バリアフリー改修

建物の構造体に影響を与えない規模・範囲の工事は、建築確認を取らなくても施工できます。
内装を新しくするだけで住み心地は向上するため、再建築不可物件を建て直さずに使う場合は、リフォーム費用も予算に含めておきましょう。

再建築不可物件を購入するメリット

●地域の相場よりも安い

再建築不可物件を購入する最大のメリットは、価格の安さです。
再建築ができず、また再建築ができないということは道路へのアクセスが悪いということなので、再建築不可物件は市場で人気がありません。
接道義務は、そもそも救急車や消防車といった緊急車両が、家の前まで来られるようにするために作られたルールです。
緊急時のリスクや、不便さの分価格が下がるため、同じエリアの物件に比べて大体3割以上安く購入できます。

●固定資産税が低く維持費の負担も小さい

不動産を購入すると、毎年固定資産税の納税が必要です。
ただし、固定資産税の税額は、土地と建物の資産価値に応じて決まります。
再建築不可物件は、不便さゆえに資産価値も同等の不動産に比べて低く設定されるため、不動産の維持費も安いです。
また、再建築不可物件は、古い建物なので、土地や建物自体のサイズもさほど大きくありません。
面積が狭ければその分価格・資産価値共に下がるため、地価の高い都市部でも、安価に購入し安く維持できるという強みがあります。

●隣地を買い取れば広い土地を確保できる

再建築不可物件のメリットとして、ひとつ覚えておいて欲しいのが、道路に面した隣地を買い取れば、広い土地を確保できるということです。
隣地を買い取って一つの土地にまとめれば、接道義務をクリアできるため、再建築が可能になりますし、建ぺい率・容積率といった制限にも余裕ができます。
将来的に売却する際も、高く売りやすくなるので、予算に余裕があるなら隣地の買い取りも考えましょう。

再建築不可物件を購入するデメリット

●老朽化していても火事に巻き込まれても建て替えられない

再建築不可物件が持つ最大のデメリットは、再建築できないことです。
再建築不可という制限は、たとえどのような事情で家を建て替えることになったとしても、法律や条例をクリアするまで外れません。
たとえば、老朽化によって雨漏りがひどく、リフォームや修繕では対応できない場合も、火災に巻き込まれて建物が全焼した場合も、土地の問題を解決しない限り家を建て替えられないのです。
特に、古い木造住宅は耐震性や防火性も低いため、長く住む場合安全性に不安が残ります。

●建築確認の必要なリフォームができない

再建築不可物件は、建築確認を必要とする大規模なリフォームや増築ができません。
基本的に、住宅の耐震性を高める耐震改修や、重量を支えている耐力壁の移動が必要な間取り変更、水回り・階段などの大幅な位置変更、大きな窓の新設は実施するのが困難です。
子どもが自立したため、老後を考えた間取りに変更したい、住宅性能を底上げして快適に暮らせる家にしたいといった要望を満たせないことが、購入後のデメリットとなります。

●住宅ローン審査をクリアするのが難しい

再建築不可物件は、担保としての評価が低いため、購入時に住宅ローンを組むのが難しいです。
なぜなら、再建築不可物件は、法的な制限の関係上再建築ができず、古い建物なので今後地価や物件価格が上昇する可能性も低いから。
金融機関は、ローンの滞納時に担保物件を差し押さえ、売却することで貸付金を少しでも回収できるようにしています。
老朽化や法的な事情で資産価値が低く、高額売却の難しい再建築不可物件は、金融機関にとって高リスクな物件なので、融資額が制限されたり、長期ローンを組めなかったりする可能性が高いです。

再建築不可物件を建て替える方法はある?

●セットバックして接道義務をクリアする

セットバックとは、自身の土地を一部道路として提供することによって、接道義務をクリアする手法のこと。
たとえば、再建築不可物件の前を通っている道路の幅が3メートルしかない場合、1メートル土地を後退して道路を拡張すれば、接道義務をクリアした土地として建て替えられるようになります。

ただし、利用できる敷地面積が減りますし、道路を作る工事費用も自己負担なので、再建築不可以外の条件が理想的な場合に検討すると良いでしょう。

●道路に面した隣地を買い取りひとつの土地にする

お金がある場合、最も良い解決策は、道路に面した隣地を買い取り、一つの敷地にまとめることです。
道路に面していれば、家を再建築できるようになりますし、もともと再建築不可物件だったエリアの地価や資産価値も向上します。
たとえば、現在所有している土地の隣地が再建築不可物件だった場合、非常に効果的な方法です。
将来的な売却もしやすくなるため、予算に余裕があれば積極的に考えましょう。

●43条但し書き(43条2項2号)を申請し許可を取る

43条但し書き(2018年の法改正で43条2項2号という名称に変更)とは、再建築不可物件のまま、特例として自治体に再建築を許可してもらう申請手続きのことです。
手続きは非常に複雑ですが、許可が出たらセットバック等をしなくても特例として家を建て替えられるようになります。

ただし、許可が下りるのは、以下のような特殊なケースです。
・道路と接していないが、敷地の周りに広い空き地がある
・建築基準法上は道路とは認められないものの、道として使えるスペースがある

再建築不可物件を購入する際のポイント

●再建築不可になっている理由を調べる

再建築不可物件を気に入った場合、なぜ再建築できないのかを調べましょう。
なぜなら、再建築できない理由や敷地の状態によって、接道義務をクリアするための条件や、難易度が大きく変わってくるからです。
再建築不可物件は、いずれ再建築できるように準備をしていないと、将来老朽化等で住めなくなったとき、何にも使えない土地になってしまいます。
建て替えられず、売るのも難しい再建築不可物件を財産として残すと、遺族に迷惑をかけるため、事前に再建築不可の原因を確認しましょう。

●インフラや排水に問題がないか確認する

再建築不可物件を買うときは、基礎やインフラ周りに問題のない物件を選ぶことが大切です。
電気・水道・ガスといったインフラや、排水設備が大幅に劣化していると、修理費用でお金が飛んでいきます。
また、インターネットの光回線は、近くの電柱や地下を通して光ファイバーを家まで引き込む必要があり、電柱の位置などによってはインターネット回線の契約が難しいです。
あらかじめ、回線業者にも話を聞いておきましょう。

●建築確認の不要な工事で住める状態にできるか調査する

再建築不可物件を、建築確認の不要なリフォームや補修で住める状態にできるかどうかも重要です。
簡単な補修では快適な状態にできない場合、物件を買った後にお金をかけて接道義務をクリアする必要があります。
物件の購入後に高額な予算が必要になると、対応が難しいため、購入前にホームインスペクションなどを行い、物件の状態をチェックしましょう。

まとめ

再建築不可物件は、周囲の物件よりも圧倒的に価格が安いため、一見するとお得です。

ただし、接道義務をクリアしないと再建築ができず、接道義務をクリアするためには、ほとんどの場合高額な費用がかかります。

同じ再建築不可物件でも、予算や物件の状態によって対処法や扱いやすさが違うので、再建築不可物件を買うときは、事前に再建築不可の原因や対処法、予算などを調べてから手続きを進めましょう。

 

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