高額なものを売却する際、避けたい行動の一つが「相場観を考えることなく契約を決めてしまうこと」です。
不動産は一物一価で定価がないことが特徴ですが、物件の広さや立地から、大まかな相場観を知ることは可能です。

そして、相場観を知ることなく「なんとなく」で商談・契約を進めてしまうと、後で「もっと高く売れたのに…」と後悔することになりかねません。

そこでこの記事では、不動産の相場観を知るための便利なツール「一括査定サイト」について詳しく解説します。

従来、不動産売却の相場観を知るためには、「不動産業者を訪問し、売却予定の不動産について情報を提供したうえで査定してもらう」という作業を繰り返す必要がありました。

こうした手間を解消できるのが「一括査定サイト」です。
一括査定サイトでは、インターネット上で売却予定の不動産の情報を入力し、送信するだけで複数の不動産業者から査定してもらえます。

現在、インターネット上には20社以上の一括査定サイトがありますが、いずれも無料で利用可能です。
これは、一括査定サイトに登録している不動産業者が、一括査定サイトに対して掲載料を支払っているためです。
不動産業者から見れば、一括査定サイトに登録することで新規顧客と接点を持てるというメリットがあります。

ここからは、不動産売却を検討する際に一括査定サイトを利用するメリットについて解説していきます。

●時間的コスト・金銭的コストを節約できる

前述した通り、従来であれば複数の不動産業者から査定を受けるためには、個々の不動産業者と個別的に交渉する必要がありました。
しかし、一括査定サイトであれば家にいながらインターネット上で査定をしてもらえますので、時間的にも金銭的にもコストの節約につながります。

●数ある不動産業者のなかから取引の当たりを付けられる

2020年現在、国内で不動産業を営む法人数は30万社を超えています。
この膨大な数の不動産業者のなかから、売却している不動産のエリアに詳しい企業を見つけ出すことは簡単ではありません。

一方、一括査定サイトの場合、登録している不動産業者は自社で売買が可能な物件について査定をして返信してきます。
そのため、「返信のあった業者から選んで取引しよう」というように当たりを付けられます。

●不動産をより高値で売却できる可能性が高まる

一括査定サイトを利用することで、売却を検討している不動産の相場観＝市場価値を大まかに確認できます。
そのため、「〇〇万円以上だったら売却しよう」といった計画が立てられるようになります。
結果として、相場観を知らずに売却した場合と比較して、高値で売却できる可能性が高まるでしょう。

●不動産業者との交渉までの流れがスムーズに

通常、売却のために不動産業者に訪れる場合には、まず査定をしてから契約に関する交渉を始めるため、時間がかかります。
一方で、一括査定サイトを利用する場合、大まかな査定を終えた状態から交渉に入れるため、取引をスムーズに進められます。

上のようなメリットがある一方で、一括査定サイトの利用にはデメリットも付いてまわります。

具体的には、次のようなデメリットがあります。

●正確な査定額が出るわけではない

一括査定サイトで行われる査定は「机上査定」とも呼ばれ、あくまで情報をもとに大まかな金額を出しているに過ぎません。
実際に取引を進めると、書類などを元に、より詳細に査定する「訪問査定」を行うことになります。
そして、訪問査定では机上査定よりも低い金額が提示されるケースもあります。

●根拠のない査定額で顧客を誘引する業者も

前述した理由から、一括査定サイトでは高額な査定額を提示して、売却検討者との接点を保とうとする不動産業者もいるため、注意が必要です。
こうしたケースでは、実際に訪問査定を行った際には、査定額が著しく下がってしまいます。

●不動産業者からの連絡が多くなることも

一括査定サイトを利用後には、そのサイトに登録している不動産業者から査定以外での連絡が入ってくることが多いです。具体的には「実際にお会いして商談しましょう」というものです。

多くの不動産業者からこのような連絡が入ってくるため、面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そのため、連絡方法として「電話NG」でメールのみの対応を選択できる一括査定サイトも増えつつあります。

●匿名では利用できない

不動産業者から見ると、一括査定サイトに登録するメリットは新規案件の獲得です。
そのため、案件化につながらない「匿名」での利用はNGとなっている一括査定サイトがほとんどです。

このように一括査定サイトにはデメリットも少なくありません。
そのため、「どのくらい査定額が出るのか試してみよう」というタイミングというよりは「すぐにでも売却したい」と考えているタイミングで利用すると良いでしょう。

そして、前者のように売却しようかどうか迷っているときは、まず1社だけ不動産業者に問い合わせてみるのがおすすめです。
この方法なら「売却をやめよう」と考えた際の業者とのやり取りも少なくて済むでしょう。