本来、事業として利益を目的とした不動産売却をするためには、不動産業の免許が必要不可欠です。
広い土地を分割して個別に売却したり、複数の不動産を売却したりする場合、条件次第では「不動産業の無免許営業」になってしまう場合があります。
個人であっても、反復継続の不動産売却をすると、罰金や懲役といった罰則の対象です。
	
		今回は、不動産売却における反復継続の定義や、反復継続になるかどうかの判断基準を見ていきましょう。
        
        
	
		
			不動産売却における反復継続とは
	
	
		「反復継続」とは、不動産売却を繰り返し行っている状態のことです。
実は、反復継続にあたる不動産取引は、不動産業の免許を持っている人、または事業者にしか許されていません。
たとえ不動産を売り買いして利益を得ようと考えていなくても、実態として複数回不動産売却をしている場合、「無免許営業をしている」という扱いになります。
	
		不動産業の無免許営業は、違法行為です。
警察に摘発されてから対策をしても遅いので、一つの不動産を分割して売ったり、何度も不動産を売ったりする場合は、「反復継続」にならないように気をつけましょう。
	
		なお、「不動産を複数購入する予定はないから大丈夫だ」と思っている人でも、決して気は抜けません。
例えば、自分たちが住むためのマイホームを購入した後に、親族から土地や建物を相続した場合、一気に複数の不動産を持つオーナーになります。
こうした不動産を売る場合、反復継続の対象になってしまう可能性があるのです。
	
		
			反復継続の不動産売却には宅建業の免許が必要
	
	
		●不動産業は免許性
	
		反復継続が違法行為とされているのは、そもそも不動産業が免許性になっているため。
不動産売却は、一般消費者相手のビジネスでありながら、非常に大きなお金が動く取引です。
取引や不動産の扱いに関するルールがないと、専門知識や経験を持った業者側が簡単に消費者をだませてしまうので、公平な取引を守るために宅地建物取引業は免許性となっています。
	
		なお、免許が必要なのは、「利益を目的とした不動産売却」や「事業としての継続的な不動産売買」「仲介手数料の請求」などです。
一個人が自身の所有するマイホームを売る、相続した土地を売るといったケースは、事業性がないため免許を取る必要はありません。
	
		●不動産事業の免許と宅地建物取引士資格は異なる
	
		混同している方も多いのですが、「不動産業の免許」と「宅地建物取引士資格」は別物です。
不動産業の免許は、「店舗」として事業を営むために必要なものであり、宅地建物取引士の資格は、事務所に務める各個人が取得する資格に過ぎません。
もし、知人が宅地建物取引士を持っていたとしても、個人的に取引を仲介してもらうと違法行為になるので覚えておきましょう。
	
		特に、個人間取引で買主から紹介料や仲介手数料を取ったり、中古で買った不動産をリフォームして転売していたりする場合は、事業性が高いと見なされやすいため注意が必要です。
	
		
			反復継続にあたるかどうかの判断基準を解説
	
	
		●反復継続になるかどうかを左右する五つの要素
	
		不動産売却取引が反復継続になるかどうかは、
    
      - 不動産を売却する相手
 
      - 不動産売却の目的
 
      - 売却する不動産を入手するまでの経緯
 
      - 不動産の売却方法
 
      - 反復継続性の有無
 
    
	
		といった要素によって決まります。
基本的には、ビジネス性が強い、つまり不動産売却を通じてお金を儲けようとしている場合、不動産業の免許が必要です。
	
		●反復継続になる可能性が高い取引内容
	
		たとえば、
    
      - 不特定多数に
 
      - 不動産売却価格の差額で儲けるため
 
      - もともと転売する目的で安く買った不動産を
 
      - 個人間取引で
 
      - 何度も売却する
 
    
	
		というケースだと、反復継続にあたると考えられます。
不動産の購入額と売却額の差が大きく、明確に利益が出る場合や、同じような取引を何度も繰り返している場合は言い逃れができません。
	
		また、「不特定多数に不動産を広告しているかどうか」も重要です。
不特定多数への売り込みは、不動産をより高く売るための行為なので、ビジネス目的の取引にしたくない場合は、友人・知人・家族といった特定の相手に売却しましょう。
	
		●反復継続になりづらい取引内容
	
		反復継続になりづらいのは、以下のような取引です。
    
      - 特定の相手に
 
      - 新居の頭金を用意するため
 
      - マイホームとして購入した土地と家を
 
      - 不動産業者経由で
 
      - 一度だけ売る
 
    
	
		そのほか、「相続財産を手放す」といった取引も、多くの場合、反復継続にはあたりません。
	
		
			まとめ
	
	
		反復継続とは、利益を得るために、不動産を繰り返し売却することです。
不動産業の免許を持たない人が反復継続にあてはまる不動産売却をすると、宅建業法違反で摘発されてしまう可能性があります。
反復継続による無免許営業の罰則は、懲役や罰金といった実刑なので、「知らなかった」ではすまされません。
	
		ただし、反復継続になるかどうかは、個々の事例によって変わってきます。
複数の不動産を売ったり、一つの不動産を分割して売却したりする予定がある場合は、不動産業者と協力しながら反復継続にならないラインを見極めましょう。