不動産売却を成功させたいと考えたとき、売り主の工夫で改善できるポイントの一つが内覧対応です。立地の良し悪しや築年数といった動かしがたい要素と違って、内覧対応に関してはどれだけ準備を整えているかで買い主に与える印象が大きく変わってきます。

少しでも不動産の売却期間や売却価格を向上できるよう、ここでは不動産対応における内覧の重要性と、内覧当日にできることをご紹介します。

不動産売却において、内覧は買い主の購入意思を左右する非常に重要な要素です。なぜなら、家や土地といった不動産は非常に高価で、「現物を見てから購入するかどうかを決める」のが一般的だから。たとえ物件広告を見て気になっている不動産であっても、内覧で良くない印象を抱かれてしまうと、買い主は契約してはくれません。
それどころか、近隣のエリアであれば同じような条件・価格の中古物件が存在するため、内覧で失敗をするとライバル物件に買い主候補が流れてしまうでしょう。不動産売却を成功させるためには、より良い内覧ができるように準備する必要があります。

●家中の掃除

内覧者を迎える場合、事前に家中を掃除しておきましょう。乱雑に家具や生活用品、ゴミ等で散らかっていると、見た目がきれいで間取りに余裕のある物件でも良い印象は残りません。
また、中古不動産の内覧では、利用頻度が高く汚れも目立ちやすい水回りが厳しくチェックされます。キッチンのシンクや蛇口がくすんでいたり、浴室にカビが生えていたりすると物件のイメージが悪くなってしまうので、水回りは入念な掃除が必要です。

●電気・水道の契約

相続によって手に入れたなど、自分たちが住んでいない物件であっても、内覧者を迎える場合は電気や水道の契約を維持しておきましょう。電気や水道を解約していると、定期的な掃除の際に困りますし、何より内覧時に照明を利用できません。薄暗い空間を案内するより、照明で明るく照らされた空間を見せた方が物件の印象は良くなります。

●スリッパや消毒用品の用意

内覧者のことを気遣うのあれば、使い捨てのスリッパや消毒用品なども玄関に置いておくと良いでしょう。多くの場合、内覧者を案内してくる不動産業者のスタッフが準備してくれるものですが、売り主側から気遣いを見せれば買い主も悪い印象は抱きません。むしろ、第一印象で売り主に好感を持ってもらえれば、物件自体のイメージも良くなるため、お出迎え用品の準備は効果的です。

●インテリアコーディネート

内覧では、基本的に空室状態での案内が好まれます。
ただし、ライバル物件と差を付けたいと考えるなら、インテリアコーディネートをしておくのもおすすめです。何もない殺風景な空間を見せるのではなく、ある程度家具等を置いておしゃれに飾り付けた空間を見せることで、「この家を買うとどういった生活ができるのか」をイメージさせられます。

●事前に照明をつけて窓やカーテンを開けておく

内覧当日は、内覧者を迎え入れる前に家中の照明をつけ、窓やカーテンも開けておきましょう。玄関を開けた最初の瞬間に、暗い廊下を見せるのか明るく開放的な空間を見せるのかで、物件の印象は大きく変わります。
また、風通しの良い物件であれば、玄関を開けたタイミングで風を感じられるため、爽やかな印象を演出可能です。

●季節によっては空調や加湿器を利用する

真夏や冬場は、空調や加湿器等を使って内覧中快適に過ごせるように配慮しましょう。室内が快適な室温になるまで時間がかかるため、照明をつける際に空調の電源を入れておくことをおすすめします。適度な室温であれば内覧に集中してもらえますし、暑すぎたり寒すぎたりすると説明の内容も買い主候補の印象に残らないからです。

●買い主にとってメリットのある魅力を伝える

内覧に同席する場合、つい売りたいという気持ちが先行して物件の良い部分を伝えようとしてしまうものですが、一方的な説明は相手に嫌がられるケースが少なくありません。そこで重要なのが、売り主にとって役立つ情報を選別して伝えることです。買い物や子育て、通院といった日常生活において実際に助かった情報をまとめて、伝えることを心がけましょう。

●説明よりも質問に答えることを優先しよう

内覧当日は、できるだけ買い主候補から質問されたときに答えるのがおすすめです。相手が気になっているポイントに返答しておけば、買い主の説明しすぎを避けられます。一般的に質問されづらいものの、魅力として伝えたい点がある場合は、資料にまとめておくと便利です。紙やPDFなら、後で見返してもらえるというメリットもあります。

不動産売却を成功に導くためには、内覧で好印象を持ってもらうことが重要です。
ただし、質の高い内覧には事前の掃除や整理整頓なども必要になってきますし、物件によってアピールすべきポイントも違います。事前準備をどれだけ充実させられるかによって内覧の質が変わってくるため、仲介の不動産業者と相談しながら、買い主に寄り添った内覧対応を考えましょう。