これから土地の売却を始めようと考えている場合、真っ先に行いたいのが不動産売却の基礎を押さえておくことです。
とはいえ、専門家並に勉強をする必要はありません。売却プランの設計や実務は不動産業者に任せられます。

ここでは土地の売却をする際に知っていると役に立つポイントをいくつかご紹介します。

●測量とは

測量とは、土地の広さを計測する作業のこと。既存の測量図と現状が合っているのかを確認する「現況測量」と、隣地の所有者など関係者立ち会いの上で境界線を確定させる「境界確定測量」の2種類があります。
不動産売却では土地の面積と地価で売却価格が決まりますし、売却後に「登記簿上の面積よりも売った土地が狭かった」といったトラブルが起きると売り主・買い主の両方が損をしてしまうため、土地売却ではより正確性の高い境界確定測量を実施するケースが多いです。

●測量を行うメリット

土地の売却を始める際に測量を行うメリットは、「トラブル予防」と「正確な土地価格の算定」の2点です。
たとえば、隣地との境界があいまいで塀等も用意していない場合に考えられるのが、越境問題です。法律の関係上、自身の土地に隣地の木の枝や荷物、塀等が飛び出していても、越境されている側は隣地所有者のものを勝手に処分できません。越境問題を解決せずに土地を売却すると、高確率で新しい買い主と隣地所有者の間でトラブルに発展してしまいます。こうしたトラブルを事前に回避するために、測量が役立つのです。

また、土地の面積を確定させると、より正確な売却価格等を計算できるようになります。「思っていたよりも所有地の面積が広かったため、より高い金額で売却できた」といった事態も考えられますし、最新の測量図がある土地は買い主から見て安心感があるので売却もしやすいです。

土地の売却に限らず、不動産を売却するときはできるだけ相見積もりを取りましょう。相見積もりとは、同時に数社から見積もりを取る行為のことです。

不動産業者との契約は査定結果を見てから決めるため、相見積もり自体にお金はかかりません。また、相見積もりをおすすめする理由として非常に大きいのが、相場を把握できることです。土地や不動産の価格は、国などによって調査・公表されている公示価格や市場での需要によって決まります。この内、時価に関しては日常的に不動産市場を追っている業者でもないとなかなか細かい数字を把握できません。一社への相談だけで契約を決めてしまうと、提示された土地の売却査定額が高いのか安いのかも判断できないため、相見積もりで複数業者の意見を比較した方が良いのです。

相見積もりで情報源を増やせば、「業者Aと比べて業者Bは見積もり額が高い」「業者Cはどこよりも査定額が安い」といった判断ができるようになります。複数の査定結果を見比べることによって、土地価格の相場を計算できるのもポイントです。不動産の需要や相場は、エリアによって同程度の価格に落ち着くため、相見積もりで相場を掴むと、「査定額が相場より高いか低いか」もわかります。

業者によって営業力や経験が違う以上、査定額にばらつきが出るのは当然ですが、査定額が相場より高すぎる業者も安すぎる業者も問題を抱えている可能性が高いです。対応に難のある業者に土地を預けても、高額売却や短期売却は望めません。相場を踏まえた上で、対応の丁寧な不動産業者を相見積もりで吟味し、土地の売却価格底上げを狙いましょう。

建物のある土地に比べると、空き地は一見して強みや魅力がわかりづらいというデメリットを抱えています。不動産情報サイトで検索したとき、または内覧したときにわかりやすいアピールポイントがないと埋もれてしまうため、土地の強みを事前にまとめておきましょう。

土地勘がある場合は生活する上で便利だった点や医療・福祉サービスの充実度、ゴミ出しルールの厳しさなどを、土地勘がない場合は現地を歩き回ってみて感じた良いところを説明できるようにしておくと、内覧時にアピールできます。

土地の売却後は、確定申告という手続きをしましょう。土地の入手と売却準備にいくらかかり、いくらで売れたのかによって税金の申告と納税が必要になるからです。手続きは面倒かもしれませんが、確定申告時に節税の特例を利用することで納税額を大幅に抑えられます。マイホームの売却なら、売買で出た赤字を本業の所得から控除できる場合もあるので、土地の売却と確定申告はセットで行うのがおすすめです。

初めて土地売却に取り組む場合でも、測量の重要性を知っていたり、相見積もりを活用したりすれば、より良い条件で不動産を売却しやすくなります。知識を持つことで、不動産売買トラブルや悪徳業者と関わるリスクを下げられるのもポイントです。売却に協力的・積極的な売り主は、多くの不動産業者から歓迎されるので、基礎知識を押さえた上で土地の高額売却を目指しましょう。