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赤字対策!不動産売却のマイナスを賢く抑える税金対策と売却戦略とは

2024-06-10

赤字対策!不動産売却のマイナスを賢く抑える税金対策と売却戦略とは

不動産売却のマイナスを抑える方法は、不動産を高く売りつつ、税金の控除を使いこなすことです。
ただし、多くの方は不動産売却という取引を経験したことがないため、さまざまな理由で売却に失敗してしまいます。
そこで重要なのが、不動産売却を上手く進めるための知識を持つことです。

今回は、不動産売却がマイナスになりやすい理由から、損益通算・繰越控除といった税金対策の使い方、損失を防ぐための売却戦略まで、役立つ知識をお伝えします。

不動産売却の結果がマイナスになりやすい理由

築年数と共に不動産の売却価格が下がるから

不動産売却結果がマイナスになりやすい理由の一つが、売却価格を必要以上に高く見積もってしまうこと。
土地は経年劣化しませんが、建物は劣化し、いずれ価値がなくなります。
売却価格を高く見積もった結果、新居や新生活の準備にお金を使い過ぎると、不動産売却で損をすることになるのです。

不動産の市場価値は、様々な要素で決まるため、プロの手による正確な査定を受けましょう。

不動産売却時に高額な諸費用がかかるから

不動産売却は、不動産業者に対する仲介手数料、売買契約書に貼付する印紙税、登記費用などの諸費用がかかります。

諸費用の相場

売却価格の5~10%

売却代金を全額新居の予算に回すと、諸費用の分だけマイナスになってしまうのです。
不動産を売る時は、諸費用を支払った上で、手元にお金が残る金額での売却を目指しましょう。

住宅ローン残債が売却価格を上回っているから

住宅ローン返済中の家を売る場合、ローンを完済する必要があります。
仮に、ローン残債が1,000万円で、不動産売却価格が1,000万円、諸費用として100万円かかると、売却結果は100万円の赤字です。
また、売却価格が1,000万円未満なら、ローンの返済資金も自己負担で補填することになります。

古い住宅や需要の少ない地方の住宅ほど、売却結果がマイナスになりやすいので、ローンとのバランスを考えて、売り方や売却価格を決めましょう。

取得費を適切に使えていないから

不動産売却後に発生する税金は、不動産の売却価格から「取得費」と「譲渡費用」という経費を引いた「譲渡所得」がプラスになると、課税されます。
しかし、取得費に関しては、「詳細が分からない場合、不動産購入価格の5%を取得費とみなす」というルールがあり、不動産価格の5%は、多くの場合取得費の相場よりも安いです。

面倒だからと、取得費を証明できる不動産購入当時の資料集めを怠ると、税金の負担が重くなります。
不動産売却では、取得費を積極的に活用しましょう。

譲渡損失とは?確定申告の必要性と頼れる節税制度を紹介

譲渡損失とは

譲渡損失とは、「不動産売却価格-(取得費+譲渡費用)」の計算結果が、マイナスになることです。
日本の税金は、基本的に「儲かった利益から税金を取る」「不動産売買の所得税と、本業の所得税は別々に計算する」という仕組みになっているため、譲渡損失が出ていれば、不動産を売ったことに対する譲渡所得税や住民税はかかりません。

ただ、譲渡損失が出ていても、本業に対する所得税は例年通りかかります。
不動産売買で損をしているにも関わらず、本業の所得税が例年通りだと、「家を売った結果昨年より家計が苦しい」という状態になってしまうため、不動産売買の損失分を本業の給与所得等から差し引き、税金を安くできる制度「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用可能です。

損益通算・繰越控除の仕組み

譲渡損失が出た時のみ使える節税制度、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用すると、不動産売却で出たマイナス分を、本業の所得から控除できます。
たとえば、会社勤めで年収500万円の方が、不動産を売却し、800万円の譲渡損失を出したケースで考えてみましょう。

本業の給与所得:200万円 (年収500万円の場合の概算)
不動産売却の
譲渡損失:800万円
給与所得をゼロにできる! (所得税・住民税がゼロ)

ざっくり計算すると、年収500万円に対する所得額は200万円前後ですが、損益通算の特例を使えば、給与所得200万円から800万円を差し引きし、給与所得をゼロにできます。
さらに、余った譲渡損失については、最大3年間繰り越し可能です。
この場合、不動産を売った初年度と、そこから3年間の計4年間、所得税や住民税がゼロになります。

たとえ赤字でも確定申告をするべき理由

確定申告とは、1年間の給与所得や事業所得、不動産の譲渡所得と経費・控除などを自分で計算し、最終的にいくら納税すれば良いかを税務署に報告する手続きです。
収入額や所得額が少なかったり、損をしたりしている場合、そもそも税金が発生しないので、確定申告をする必要はありません。
しかし、不動産売却に関しては、赤字でも確定申告を行いましょう。

なぜなら、損益通算と繰越控除の特例を始めとした、不動産売却時に使える税金対策は、「確定申告で特例の申請をすること」が利用条件になっているからです。

「損益通算と繰越控除の特例」の適用条件と注意点

マイホームを買い換えてマイナスが出た場合

譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例は、厳しい適用条件が設定されています。
基本的に、「マイホームの買い換え時」と「マイホームの売却時」にどちらかにしか使えません。
その上で、以下のような条件をクリアしている必要があります。

  • 不動産を売った年の1月1日時点で所有期間が5年超のマイホームであること
  • 売却前年の1月1日から翌年の12月31日までに新しいマイホームを購入すること
  • 売却の翌年12月31日までに新居へ引越すこと
  • 新居を購入する際に返済期間10年以上のローンを組むこと
  • 新居の床面積が50平方メートル以上あること
  • 所得の合計額が3,000万円以下であること

マイホームを手放してマイナスになった場合

マイホームを買い換えず、売却後賃貸物件を借りたり、実家や子どもの家に引っ越したりする場合も、損益通算と繰越控除を利用可能です。
ただし、以下の条件を守る必要があります。

  • 不動産を売った年の1月1日時点で所有期間が5年超のマイホームであること
  • 住宅ローン返済中であり、なおかつ完済まで10年以上かかる物件であること
  • 不動産売却価格より、ローン残債のほうが大きく、家を売ってもローンを完済できないこと
  • 所得の合計額が3,000万円以下であること

住宅ローン完済済みの家を売って、譲渡損失が出る場合は、利用できません。

両者に共通する要件とその注意点

その他、どちらのケースにも共通する利用条件がいくつか存在します。

  • マイホームであること(投資物件・セカンドハウス・別荘・退去後3年以上経つ空き家はNG)
  • 親子・夫婦・生活の面倒を見ている親族以外の第三者に売却すること
  • 海外不動産や法人名義の不動産でないこと
  • 不動産を売却する前の2年間で、損益通算の特例を含む、マイホームを売ったときに使える節税の特例を使っていないこと

損益通算と繰越控除の特例は、あくまでも一般人が買い換えまたはローン返済中の家を手放した結果、生活が苦しくならないようにするための制度です。
ビジネス目的で所有している不動産の売却や、強力な節税の特例をすでに使っている方は、制度を利用できません。

住宅ローン控除との併用について

住宅関連の減税制度の中で最も強力なのは、最大13年間、毎年ローン残債の0.7%分の所得税と住民税が還付金として戻ってくる、住宅ローン控除です。
そして、譲渡損失の特例は、住宅ローン控除と併用できます。
たとえば、不動産を買い替える際に譲渡損失が出たら、損益通算と繰越控除の特例を利用して本業の所得税・住民税を節税、新居用のローンで住宅ローン控除を使い、最大13年間本業の所得税・住民税を節約するといった使い方です。

ただし、住宅ローン控除の還付金は、天引きされた所得税や住民税なので、譲渡損失の特例で本業の所得がゼロになる年は、住宅ローン控除の申請をしていてもお金が戻ってきません。
損失額に応じて、住宅ローン控除を受けられる年数が変わる点は、覚えておきましょう。

税金の特例を受けるために必要な確定申告の基礎知識

確定申告の期間と申告書類の提出方法

確定申告の期間は、原則として不動産を売った翌年の2月16日から3月15日までです。
期間内に申告できなかった場合、売り主には申告逃れ・脱税のペナルティーが課せられます。
また、確定申告は、一年間の収入・所得・控除を記した確定申告書と、関連書類を税務署に提出する手続きです。
申告書類の提出方法は、以下の通り複数あるため、好きなものを選びましょう。

e-Tax
郵送
税務署が用意する
申告会場での直接提出

節税の特例を受ける際に必要な書類

不動産売却後の確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書のコピー
  • 各種領収書
  • 取得費を証明できる資料
  • 不動産の登記事項証明書
  • 住宅ローンの残高証明書
  • 節税の特例の申請書

その他、本人確認用の住民票や印鑑証明書も提出します。

必要書類が多く、準備に時間がかかるため、不動産売却後はなるべく早く確定申告の用意を始めましょう。

不動産売却のマイナスを最小限に抑える売却戦略

不動産売却のマイナスを抑える方法として、最も効果的なのが、不動産を高く売ることです。
不動産を高く売れれば、諸費用や税金を支払っても、手元にお金が残ります。
そこで重要なのが、契約する不動産業者の選定です。

不動産の査定や売却結果は、どの業者と契約するかで大きく変わるので、複数の業者に査定依頼を出し、対応や査定結果を比較して、信頼できる業者を見極めましょう。

まとめ

不動産売却で、マイナスが発生することは珍しくありません。
しかし、たとえ売却の結果損をしても、損益通算・繰越控除の特例を使ったり、確定申告をしたりすればマイナスを抑えられますし、不動産を高く売却できれば手元にお金が残ります。

不動産売却時の節税特例は、基本的に制度の存在を知っていて、適切に手続きできる者だけが使える制度です。
同じ売却結果であっても、知識の有無で損するかどうかが変わるため、不動産を売るときは、相見積もりや税制度を最大限に活用して、マイナスを避けましょう