|
<< 2025年11月 >>
月間アーカイブ
|
column 727.
住宅ローン未完済でも住み替えできるって本当?住み替えローンについて解説2020-12-08
新しい家に住み替えたいけど、今の家に多額の住宅ローンが残っている…と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうしたケースで頼りになるのが、「住み替えローン」です。
ただし、住み替えローンは一般的な住宅ローンと異なる点も多く、人によってはおすすめできないこともあります。 住み替えの流れと住み替えローンとはまず、マイホームの住み替えの流れを簡単に説明します。
住み替えには「旧居の売却」と「新居の購入」という2つのステップがあります。
●旧居の売却の流れ
●新居の購入の流れ 住み替えは、上記の流れを同時に進める必要があります。
また、多額の資金が動きますから、綿密な計画を立てることも大切です。
ただ、オーバーローンでも住み替えを実現する方法がいくつかあります。
住み替えローンとは、「旧居のローン残債」と「新居の購入費用」の両方をカバーできる、住み替え専用の住宅ローンです。 住み替えローンのメリット住み替えローンを利用することで、以下のメリットが受けられます。 ●オーバーローンでも住み替えできる一番のメリットは、オーバーローンでも住み替えができることです。
住宅ローンを利用して購入した家には、抵当権が設定されています。
住み替えローンを利用すれば、自己資金を持ち出さなくても新たなローンで完済できるため、抵当権を抹消して旧居を売却できます。 ●手元にお金を残せる自己資金で完済できる場合でも、住み替えローンを利用すれば手元にお金を残せるため、新生活にゆとりが生まれやすくなります。
ローン完済のために預貯金をすべて使い切ると、新居に引っ越した後に病気や事故といった急な出費が必要なときに、対応できなくなります。 住み替えローンのデメリットメリットがある一方で、住み替えローンには以下のデメリットもあります。 ●一般的な住宅ローンよりも金利が高い住み替えローンは、「旧居のローン残債」と「新居の購入費用」を借り入れるため、必然的に借入額が多くなります。
金融機関から見れば、借入額が多いほど返済が滞るリスクが高まるため、住み替えローンの金利は高く設定する傾向があるのです。
金利が高くなれば、ローンの返済額も大きくなります。 ●審査が厳しい
借入額が多くなれば、金融機関の審査も厳しくなります。
ましてや住み替えローンは、一般的な住宅ローンより金利が高いため、借入可能額は低く設定されています。 住み替えローンを使えない・使わない方が良いケースとは●ローン総額が高くなりやすい住み替えローンを利用するには、「安定した収入がある」「ローンの滞納履歴がない」といった審査条件のほかにも、一定の利用条件を満たす必要があります。
たとえば、売却する家にローン残債がない場合は、住み替えローンが使えません。 また新居については、マイホーム(持ち家)を購入する場合に使えるものですから、「賃貸に引っ越す」「投資用マンションを購入する」といったケースも利用できません。
なお、住み替えローンの利用条件は金融機関によって若干異なります。 住み替えローンの流れ住み替えローンを利用して新居に引っ越すまでの流れは、以下の通りです。 ●旧居のローン残債を確認する
事前準備として、旧居のローン残債を確認します。金融機関から送られてくる残高証明書などで確認しましょう。 ●不動産会社に査定を依頼
不動産会社に査定を依頼し、売却額を決定します。 なお、依頼する不動産会社は住み替えローンの対応実績が豊富なところを選びましょう。資金計画のアドバイスなども受けられるので、安心です。 ●住み替えローンを提供している金融機関を探す
住み替えローンを借り入れる金融機関について、情報収集します。 ●審査
住み替えローンも、事前審査と本審査があります。 ●金融機関と契約を結び融資を受ける審査に通ったら、金融機関と金銭消費貸借契約を結び、融資を受けて決済・引き渡しを行います。
住み替えローンは、旧居のローン完済と新居の購入代金の決済を同日に行います。 住み替えローンを使う際の注意点上記の流れで説明したように、住み替えローンの契約は旧居の売却日と新居の購入日を一緒にしなければならないなど、いくつかの注意点があります。 以下で詳しく解説します。 ●売却と購入の決済日を合わせる必要がある住み替えローンでは、旧居の引き渡し日と新居の入居日を同じ日にする必要があります。 入居日より先に引き渡し日がくると、住み替えローンのお金が手元にないので返済できませんし、逆に入居日が先にくるとローンの完済まで時間ができるため、お金を持ち逃げされるリスクが出てきます。 こうしたトラブルを防ぐために、引き渡し日と入居日は同日にするように規約で決めている金融機関が一般的です。
とはいえ、日程調整が難しいこともあるでしょう。
なお、売却が間に合わなかった場合を想定し、新居の売買契約に「買い替え特約」をつけておくと安心です。 ●不動産会社によって旧居の売却価格が左右される売却の査定価格は、依頼する不動産会社によって大きく変わることもあります。
売却に長けた業者に物件を預ければ、高く売ってもらえるかもしれません。
一社に査定依頼するのではなく、複数の不動産会社に頼むこともポイント。 住み替えローンでも住宅ローン控除は利用できる?
住宅ローンを利用してマイホームを購入した人には、「住宅ローン控除」が適用されます。 この控除は、住み替えローンにも適用されます。
ただし、以下の条件を満たすことが前提です。 それぞれ詳しくお伝えしましょう。 ●住宅ローン控除が適用される物件を購入すること
購入する物件が、住宅ローン控除の適用条件を満たすことが一つ目のポイントです。 中古物件を取得する時は、築年数や新耐震基準に適合していることなども求められますから、不動産会社に相談して適用する物件を探してもらいましょう。 ●譲渡所得税の「特例」を使わないこと
不動産を売却する際に得た利益には、譲渡所得税などの税金が課せられることがあります。
譲渡所得税にはほかにも、納付を繰り延べできる「買い替え特例」という制度もあります。 住宅ローン控除の適用期間住宅ローン控除の適用期間について、住み替えローンも一般的な住宅ローンと同じで「原則10年」です。
ただ、一定の条件を満たすと最大13年間にのばせます。 なお中古住宅は、長期優良住宅などでも10年です。 住み替えローンを使わずに完済する方法
オーバーローンの物件を売却するには、住み替えローンの利用以外にもいくつか方法があります。 ●売却額をアップさせるハウスクリーニングやホームステージング(モデルハウスのようにインテリアなどを配置しておしゃれな空間を作ること)をしたり、査定額の高い不動産会社を選んだりと、売却額をアップさせることで、オーバーローンのリスクを下げる方法です。 売却活動に時間を要すかもしれませんが、良い条件で家を買ってくれる相手を待つのも一手でしょう。
ただ、売却に時間をかけすぎると、なかなか売れない「訳あり物件」とみなされ、さらに時間を要してしまうことがあります。 ●繰り上げ返済でローン完済を目指す数年後の住み替えを考えている人なら、繰り上げ返済でローンの完済を目指すのもおすすめです。
繰り上げ返済は、元金の返済に充てられるため、金利負担を抑えられトータルの返済額を減らすことにもつながります。 ●低金利の住宅ローンに借り換える
現在利用している住宅ローンより、金利の低い住宅ローンに借り換えるという方法です。 繰り上げ返済と同様に時間のかかる方法ですが、返済総額を圧縮することも、オーバーローンになるリスクを防ぐ一手です。 ●ダブルローンを組む
住み替えの時間が迫っている場合は、旧居のローンを抱えたまま、新居の住宅ローンを組むという方法もあります。
なお、旧居のローンを完済できない状況で新たにローンを組むと、借り入れ総額が大きくなるため、金融機関の審査が非常に厳しくなります。 ●つなぎ融資を利用する新居の購入予定日になっても家が売れない時は、つなぎ融資というローンを利用できます。
つなぎ融資とは、新居の購入費用に足りない分を肩代わりしてくれるローンです。
ただ、つなぎ融資はあくまでも一時的なものです。 まとめ旧居のローン残債と新居の購入費用をまとめて借りられる「住み替えローン」を使えば、売却代金と手持ち資金でローンを返済できない人でも、住み替えができます。
とはいえ、借入額が高くなるため審査は厳しいですし、金利も高いです。
誰でも気軽に利用できるローンではありませんが、経験が豊富な不動産会社に依頼すれば、スムーズに進めやすくなります。
|