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column 795.
鉄骨造の建物の耐用年数はどれくらい?耐用年数の目安と減価償却を分かりやすく解説2022-06-22
投資や店舗の開業目的で鉄骨造の建物を買う際に、ぜひ考えて欲しいのが「あと何年使えるのか?」です。 ここでは、耐用年数の目安と減価償却費の計算方法、耐用年数を越えた不動産の売却法等を解説していきます。 「耐用年数」には2つの意味がある●建物が物理的に使えなくなるまでの寿命
耐用年数が持つ1つ目の意味は、建物が物理的に使えなくなるまでの年数、つまり寿命です。 ●書類上の資産価値がなくなるまでの時間
耐用年数が持つ2つ目の意味は、減価償却が終わるまでの年数です。 建物の寿命(耐用年数)
書類上不動産の資産価値がゼロに近くなるまでにかかる年数は、法定耐用年数というかたちで国税庁が年数を定めています。
といった建物も出てくるので、法定耐用年数があと○年残っているから寿命もある、といった安易な判断をしないように注意しましょう。 減価償却の期間(法定耐用年数)減価償却に利用する法定耐用年数は、「木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造」「事務所用・店舗・住宅用」といった不動産の構造と用途によって年数が変わります。ただし、鉄骨造の場合はさらに「鉄骨の厚み」によって耐用年数が分けられているため、注意が必要です。法定耐用年数の中から、店舗・住宅用のものを構造ごとに抜き出して並べると、以下のようになります。
鉄骨造の法定耐用年数は、19年から34年です。鉄骨を立てて必要な部分を筋交いで補強するという構造は同じでも、鉄骨の厚みで減価償却の期間が大幅に変わります。 法定耐用年数から減価償却費を計算する方法●法定耐用年数を迎えていない場合の計算方法中古の不動産をビジネス目的で購入すると、減価償却が必要です。そして、減価償却費や減価償却の期間は、築年数と購入価格、そして法定耐用年数から計算できます。手順としては、建物の構造から法定耐用年数を割り出し、以下の計算式で「中古で買った時点で残っている耐用年数」を求めるのが最初のステップです。
次に、計算した耐用年数を国税庁が公開している「償却率表」に当てはめ、償却率を求めます。※1 最後に不動産の購入費用と償却率を掛け算すれば、毎年いくら減価償却費として処理すれば良いのか分かるという流れです。 例えば、厚さ3ミリ以下の軽量鉄骨造(法定耐用年数19年・築7年)を2,500万円で購入した場合、
となります。 ●法定耐用年数をオーバーしている場合の計算方法中古の鉄骨造不動産を買った時点で、築年数が法定耐用年数をオーバーしている場合、上記の計算式を使えません。この場合は、以下の式で耐用年数を求めます。
残りの手順は、法定耐用年数に余裕があるケースと同じです。厚さ3ミリ以下の軽量鉄骨造(法定耐用年数19年・築22年)を2,500万円で購入した場合の耐用年数は、以下のようになります。
耐用年数3年の償却率は0.334なので、毎年の減価償却費は、
です。同じ価格で買った不動産でも、築年数が違うだけで年間の減価償却費と減価償却期間に大きな差が出ます。築年数が法定耐用年数を越えている不動産は、短期間・高額で経費処理することを覚えておきましょう。
※1 国税庁:減価償却資産の償却率表 鉄骨構造には「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」がある●重量鉄骨と軽量鉄骨の違い
鉄骨造の住宅は、鉄骨の厚みによって重量鉄骨と軽量鉄骨に分かれます。 ●軽量鉄骨造のメリット・デメリット
厚さ6ミリ未満の軽量鉄骨造のメリットは、木造よりも耐久性が高く、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも価格が安いことです。 ●重量鉄骨造のメリット・デメリット
重量鉄骨造のメリットは、頑丈さと遮音性の高さ。使っている鉄骨が分厚く重いので、耐震性や耐久性が軽量鉄骨造より優れています。
ただし、重量鉄骨造は建築費用も販売価格も高いです。 法定耐用年数を超えている場合はどうする?●ローンを利用できないので現金で購入する
築年数が法定耐用年数を超えている場合、不動産の資産価値は書類上だとほぼゼロです。 ●維持費を支払いながら活用する
法定耐用年数を超えた物件を手に入れたら、維持費や修繕費用を支払いながら賃貸に出して家賃を得る、店舗を開業するといったかたちで活用しましょう。 ●建て替えや売却を検討する
購入した不動産が思ったより古く活用できそうにない、または所有している不動産が法定耐用年数を越えてしまった場合、建て替えや売却を検討するのも手です。 耐用年数を超えた物件を売却するには?●建物を解体し更地として売る
耐用年数を超え、利用するのが難しくなった物件を売却する場合、既存の建物を解体し、更地として売るのがおすすめです。 ●不動産業者に売る
解体費用を捻出する余裕がない場合、または早く物件を売りたい場合は、買取に対応している不動産業者に売るという方法もあります。 まとめ
鉄骨造の建物は、19年から34年で法定耐用年数を迎えます。 また、耐用年数を超えた物件は、安全面に不安が残ります。築古物件は市場で人気がないので、更地にしたり買取業者に相談したりして、売却するのがおすすめです。
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