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column 223.
一刻も早く家を売りたいとき頼りになる「譲渡損失の繰越控除」とは2018-11-26
一刻も早く家を売りたい、とにかく急いで家を手放したいという事情があるときは、「譲渡損失の繰越控除」を利用すると短期間で家を売却できます。 ただ、譲渡損失の繰越控除をはじめとする税の特例は、制度について詳しく知っていないと利用できません。既存の制度を上手に利用できるように、譲渡損失の繰越控除の使い方を解説します。 譲渡損失の繰越控除とは譲渡損失の繰越控除とは、「家を売って損したときに使える、税金の特例」です。 ●不動産を売って損したときに使える税金の特例通常、不動産を売って利益が出ると、その利益に応じた「譲渡所得税」という税金がかかります。 少し補足すると、譲渡所得税の計算式は、
です。 税金がかかるということは基本的に、「得をしている(自由にできるお金がある)」ということなので、実はそれほど問題ではありません。
問題は、不動産を売ったのに損をしてしまった場合です。 譲渡損失の繰越控除を利用すると、本来なら差し引きできない不動産の譲渡で出た損失を、最大3年間「事業所得」や「給与所得」から差し引きできます。 たとえば、家を売って1,000万円の赤字が出たとしましょう。このときの年収が600万円だったら、初年度は赤字の600万円を差し引きして所得がゼロに、翌年は残る200万円を差し引きして所得が400万円になるというイメージです。 年間の所得が下がれば、所得税や住民税も安くなります。家を売って損をした分、本来かかるはずだった所得税等を減税してもらえるというわけです。 ●譲渡損失の繰越控除の利用条件譲渡は、売却する年の1月1日時点で、所有期間が5年を越えているかどうかによって「短期譲渡」と「長期譲渡」に分かれます。「譲渡損失の繰越控除」が使えるのは、長期譲渡の場合だけです。不動産の所有期間が5年より少なく、短期譲渡に当たる場合は損失の繰越ができないため気をつけましょう。 譲渡損失の繰越控除の利用条件をまとめると、
となります。特に注意したいのが、「親族等への譲渡は対象外」であること。家を売る際、親や親族に安く譲ると譲渡損失の繰越控除は利用できません。 急いで家を売りたい場合はあえて売値を下げるのも手譲渡損失の繰越控除をおすすめする理由は、この特例を使うと「値引きして短期間で家を売る」という選択肢を選べるからです。 ●相場より安く家を売っても損失を抑えられる譲渡損失の繰越控除を利用すると、最大3年間赤字を事業所得や給与所得から差し引きできます。所得税や住民税は年間の所得によって金額が決まるため、最大3年間これらの税金を大幅に節税できるわけです。 額面で年収600万円の人は、毎年大体20万円の所得税と、30万円の住民税を納めています。仮に3年間所得税と住民税の納付が必要なくなったら、150万円の節約です。赤字のすべてをカバーできるわけではありませんが、翌年以降に納める税金が安くなれば生活はかなり楽になるでしょう。 ●売値を下げると短期間で家を売却しやすくなる住宅を少しでも早く売りたい場合、値引きができると非常に有利です。値引きをする理由として現状渡しを条件にしておけば、リフォームやハウスクリーニング等を無理に行う必要もありません。 値引きによって出た損失は、譲渡損失の繰越控除を使って所得税や住民税から取り返せば良いため、家の売り主にも買い主にもメリットのある取引ができます。 まとめ一刻も早く家を売りたい人におすすめなのが、譲渡損失の繰越控除という特例の活用です。特例を使うと、最大3年間所得税と住民税を節税できます。特例を知っていれば住宅を値引きし、短期間で売却可能です。 ただ、譲渡損失の繰越控除は長期譲渡の場合のみ有効ですし、その他の利用条件もいくつかあります。税の特例を駆使したお得な不動産売却について相談したい方は、ぜひ専門家のいる不動産業者へご相談ください。 |