もし、知り合いに不動産会社勤めの人がいても、不動産売却の仲介は個人ではなく会社へ頼みましょう。

不動産売却は、大きなお金が動く取引です。
仲介の相談を個人にした場合、たとえ人格的に信頼できる相手でも、営業成績を伸ばすために依頼を安請け合いされたり、本来売却時に必要な説明を飛ばされたり、逆に売り主へ良いところを見せようとして無理な売り方をされたりする可能性があります。

取引や売却の準備段階で問題が起きると、当然建物もスムーズに売却できません。

今回は、不動産売却の相談をプロの不動産業者へ依頼すべき理由や、個人的な知り合いに仲介を頼んだ場合のリスク・デメリットを解説していきます。

数え切れないほど多くの不動産会社が存在する現代日本では、「知り合いに不動産会社勤めの人がいる」という人も多いでしょう。

なかには、「賃貸不動産のオーナーだから不動産の取引には詳しい」「相続のとき不動産の取り扱いでトラブルになったから、相談に乗るよ」という人もいます。

しかし、不動産売却の仲介手続きや査定、相談は、個人ではなく不動産業者へ依頼するのがおすすめです。

なぜかというと、

• 相談相手が適切な知識や経験を持っているか分からない
• 知り合いだからこそ相手が無理をする可能性がある
• 売却額に満足できなかった場合相手との仲に亀裂が入る場合もある

といったデメリットやリスクがあるため。

個人的に信頼できる、良い人だと感じていても、仕事ぶりも同じように信頼できるかどうかは未知数です。
不動産売却では、仲介を頼んだ人の実力や経験次第で売却にかかる時間や売却額が左右されるので、トラブルを避けるために個人ではなく組織に仲介を依頼することをおすすめします。

●相談相手が本当に頼りになるのかわからない

不動産売却を成功させるためには、

• 不動産の査定に関する知識や実務経験
• 地域ごとに異なる不動産需要や過去の取引データに関する知識
• 売買契約書を始めとした各種書類を作成・チェックするスキル
• 適切な物件広告を出して営業をかける能力
• 買い主から届く問い合わせや内覧希望への対応

など、さまざまな知識・経験・実力が必要です。

しかし、プライベートな関係性の知り合いが、上記の知識やスキルをどれくらい持っているのかどうかは、実際に仲介を任せてみないとわかりません。
もし、不動産会社勤めでも実力のない相手に相談してしまった場合、不動産売却は成功させられないでしょう。

●相手が無理をするリスクがある

相談した相手が不動産会社の営業マンをしている場合、契約件数を伸ばせば歩合で収入も上がるため、違法なやり方や法律違反すれすれの方法で物件を売ろうとしてしまうリスクもあります。

後々問題のある方法で売却手続きを進められたことによるリスクは、何も相手側の切羽詰まった事情や悪意から起きるとは限りません。

「知り合いの物件だから何とか売ってあげよう」という善意でも、本来買い主に説明すべき物件の瑕疵（住宅性能を損なう大きな問題点）を黙って売れば、後日買い主から金銭的な対応を求められてしまいます。

また、実は仕事に対する姿勢が不真面目で、「相手は知り合いだから、適当に仕事をしても文句はいわれないだろう」と手抜きされる可能性もあるため、注意が必要です。
不動産売却は1件あたりの売却額が大きいので、「買い主と交渉して値段を下げる分、自分にキックバックを払ってもらおう」と相手が考える場合もあります。

さらに、ある程度、プライベートの付き合いがあると、仲介を頼んだ人の動きや対応が良くなかったり、不満を感じたりしたときに強く追求しづらいものです。

不動産売却では、仲介や広告を任せた後、大半の手続きを担当営業マンに任せて連絡を待つことになります。
「強く主張した結果相手との仲がこじれてしまったらどうしよう」といった気遣いが必要な関係性だと、要求すべき場面で適切に要求できず、最終的に売り主が損をしてしまうので、個人的な関係の薄いプロの不動産業者に頼むべきなのです。

●売却額に満足できなかった場合相手との仲に亀裂が入る場合もある

知人に不動産売却を任せた結果、想像よりも安い価格で売れたとき、相手を責める気持ち、相手の実力を疑うような考えを持つと、トラブルにつながります。

売却額や結果に不満を覚えた結果、相手との仲がこじれたら、そう簡単には修復できません。

絶対に上記のような気持ちを感じないという自信がある場合は別として、「せっかく頼んだのに」と考えてしまう可能性が少しでもあるなら、ビジネスライクに付き合えるプロへ相談しましょう。

「不動産会社で働いている」
「不動産売却について詳しいよ」

という知り合いがいても、直接個人に不動産売却の仲介手続きを依頼するのはおすすめできません。

お互いが知り合いだからこそ、適切に不動産売却を進められなかったり、人間関係にひびが入ったりする可能性もあるため、仲介を任せる相手は実力重視で選ぶのことをおすすめします。