不動産売却を成功させたい、所有している家や土地をできるだけ高く良い条件で売却したいと考えているなら、「査定」に力を入れましょう。
なぜかというと、不動産の売却価格には定価がなく、業者の査定結果によって実際いくらで売れるのかが大きく変わってくるからです。

ただ、初めて不動産売却に取り組む人からすれば、査定の重要性や良い査定結果と良くない査定結果の見分け方などわかりません。

そこで今回は、不動産売却初心者が査定を頼む前に知っておきたい、査定の役割や注意点、査定の成功に役立つポイント等をお伝えしていきます。

不動産売却における査定とは、「プロの目から見ていくらで売れるのか」を調べてもらう手続きのことです。
不動産には、一般的な財産や資産のような「定価」がありません。
国や地方自治体から「これくらいの価値はある」という基準価格は示されていますが、実際には市場の需要や買い主の要望によって売却価格が変わるので、不動産売却では土地や家ごとに資産価値を調べて値付けする必要があります。

ただ、当然のことながら、定価のない商品に適切な値段設定をするのは非常に難しいです。
売り主が売り出し価格を決める際に何らかの基準がないと、本来の価格よりも安い値付けをして損をしてしまったり、逆に高すぎる値付けをして買い主側の負担やリスクを増やしたりすることになってしまいます。

そこで、売り主と買い主どちらが見ても、ある程度納得できる値付けができるように、不動産のプロであり売却の相場も知っている「不動産業者」に参考価格を出してもらうのです。

不動産を適正価格で売るためには、不動産業者の査定が欠かせません。

●絶対に査定額で売れるとは限らない

不動産売却に先駆けて出してもらう査定の結果は、「おそらくこれくらの金額で売れるだろう」という推測です。
最終的には不動産を市場で売り出し、買い主と交渉をして売却価格を決めるので、必ず査定額通りの金額で不動産を売れるわけではありません。

●契約を取るために相場より高く査定をする業者が存在する

不動産の査定価格はあくまでも売却予想価格なので、査定額よりも安く売れてしまった場合、「そういうこともある」ですまされてしまいます。
そのため、仲介の契約を取るために、あえて査定額を高く見積もる不動産業者がいるので注意が必要です。
「査定額が目安である」ということを知らない場合、不誠実な対応をする不動産業者と契約してしまうリスクがあります。

●一括査定では正確な見積もり額が分からない

不動産査定の内容は、実際に現地を訪問してもらう「訪問査定」と、築年数や住所地といったデータから査定額を割り出す「机上査定」の2種類です。
このうち、机上査定は土地や建物の状態を見ていないので、おおまかな金額しかわかりません。
ネット上で利用できる一括査定サービスで教えてもらえるのは、基本的に机上査定なので、一括査定や机上査定だけで契約相手を決めるのは避けましょう。

●一社ではなく複数の業者から見積もりを取る

不動産の査定は、できるだけ複数の業者に頼むことが重要です。
いくつかの査定結果を比較すれば、明らかに査定額が高いところや安いところを避けられます。
また、机上査定ではなく訪問査定をお願いし、細かく見積もってもらうことも心がけましょう。

●事前に不動産の相場を調べる

不動産の価格は、多くの場合、地域によってある程度相場が決まっています。
特殊な事情のある不動産以外は、大抵、相場に近い金額で売却できるので、あらかじめ売りたい不動産のある地域の不動産相場を調べておきましょう。
相場を知っておけば、「いまご決断いただければ高く売れます」といったセールストークに左右されず、冷静に不動産業者を見極められるようになります。

●なぜその査定額を出したのか説明してもらう

査定結果を出してもらった際、「なぜその金額なのか」を聞くのもおすすめです。
説得力があり、丁寧に説明してくれる不動産業者を選べば、問題のある業者と契約してしまうリスクを避けられます。
有名な不動産業者だから査定額も高くて安心できるというわけではないので、査定を頼むときは、店舗へ足を運べる地元の不動産業者に相談すると良いでしょう。

不動産売却における査定は、不動産の売り出し価格を決めたり、業者の吟味をしたりするために必要な手続きです。

ただし、査定の結果は業者によって違いますし、すべての業者が誠実な対応をしてくれるわけではありません。
より良い条件で不動産を売ってくれる業者を選ぶためには、地域の相場を調べたり、相見積もりを活用したり、査定額の根拠を説明してもらったりすることが重要です。

不動産売却に関する専門的な知識がなくても、査定の使い方や査定結果の見極め方次第で業者の吟味ができるので、不動産売却の初心者は、査定のポイントを押さえておきましょう。