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住宅ローンが残っていても家は売れる?売却の流れや注意点を解説

2023-11-06

住宅ローンが残っていても家は売れる?売却の流れや注意点を解説

住宅ローンが残っていても、不動産は売却可能です。
しかし、ローン残債の大きさや手放す物件の売却価格によっては、スムーズに売却できない場合もあります。

不動産売却は、売り主・買い主・仲介業者といった多くの人を巻き込む手続きなので、準備不足や資金計画のミスでトラブルにならないよう、大まかな売却の流れを押さえておきましょう。

今回は、住宅ローン返済中に行う不動産売却の流れや、家を売ってもローンを完済できない場合の対処法、売却時の注意点、住宅ローンがある中で住み替える際のポイントなどを解説します。

住宅ローンが残っていても不動産は売却できる?

住宅ローンを完済していない状態でも、不動産は売却可能です。
ただし、ローン返済中の物件を売る場合、住宅ローンの完済を求められます。

なぜなら、住宅ローンが残っている物件は、金融機関によって抵当権を設定されているからです。
抵当権を解除できるのはローンの完済後なので、物件の売却時はローンの完済もセットで考える必要があります。

売却の基本的な流れと必要な手続き

査定から引渡しまでのステップ

不動産売却の流れは、以下の通りです。

1

不動産業者に売りたい物件の査定を依頼する

2

売却活動を行う

3

価格交渉をして売買契約を結ぶ

4

決済日に代金の受領・ローンの完済・抵当権の解除を行う

5

物件を買い主に引き渡す

売却期間は、おおよそ3~6ヵ月。
状況によって、早く売れる場合もあれば、時間がかかる場合もありますが、目安として覚えておくと良いでしょう。

売却代金でローンを完済する仕組みとは

住宅ローン残債がある場合、ローンを完済し、抵当権を抹消した上で買い主に物件を引き渡す必要があります。
ただ、住宅ローンは高額なので、誰もがローンを完済してから売却手続きを始められるわけではありません。

そこで、不動産の世界では、決済日に不動産の売却・代金の受領・ローンの返済をまとめて行い、不動産の売却代金で住宅ローンを完済する取引、同時決済が一般的に利用されています。
預貯金に余裕がなくても、不動産を売ったお金でローンを完済できれば、不動産を売却できる仕組みになっているのです。

抵当権抹消手続きのタイミング

抵当権を消す手続き、抵当権抹消登記は、基本的に不動産売却の決済日当日に行います。
必要書類は、抵当権抹消登記の申請書や、ローン残債の完済後に金融機関から発行してもらう弁済証書などです。
代金の決済と登記、また物件の引き渡し日にズレがあると、権利関係が整理されずトラブルになる可能性があるため、多くの場合、司法書士に頼んで決済日当日に登記の申請を終えてしまいます。

残債を完済できないときの3つの選択肢

自己資金で補填する

不動産の売却価格がローン残債を下回る「アンダーローン」の場合、家を売ってもローンを完済できないため、売却手続きを進められません。
この場合、預貯金や親族からの援助、ボーナスなどの自己資金で不足額を補填すれば、アンダーローンでも物件を売却できます。

ただし、家を売るために預貯金を使い果たすと、今後の人生設計に支障をきたしたり、親族からの援助に贈与税がかかったりする可能性もあるので、無理をしないように注意しましょう。

住み替えローンでカバーする

アンダーローンで不動産を売却できない、しかし家を売りたいという場合に取れる選択肢が、住み替えローンの利用です。
現在住んでいる家を売り、新居を購入する場合、住宅ローン残債の不足額と新居の購入費用を一つのローンで借りられます。

とはいえ、住宅ローンよりも借入額が大きくなるため、住み替えローンの審査は厳しいです。
また、不足額が大きいと、新居の立地や仕様を一部妥協する必要も出てきます。
住み替えをする場合、無理なく返済し続けられる金額のローンを組むことが大切です。

任意売却で手放す

住宅ローンの返済が困難になった場合、不動産を手放す方法は「任意売却」と「競売」に大別されます。
この2つは、金融機関との話し合いで進める「私的整理」か、裁判所が関与する「法的整理」かという点で根本的に異なります。

任意売却(私的整理)

任意売却は、私的整理の一種です。
不動産を売却してもローンを完済できない「オーバーローン」の状態で、金融機関(債権者)の許可を得て不動産を売却する方法を指します。
売却後に残った債務は、引き続き売り主が返済を続けます。

競売(法的整理)

一方、ローンを滞納し続けると、金融機関は不動産を差し押さえ、法的な手続きに移行します。
最終的に裁判所によって強制的に不動産が売却されるのが競売で、これは法的整理にあたります。
競売での売却価格は市場価格よりも大幅に低くなる傾向があります。

どちらの方法でも残った債務の返済義務は続くため、より市場価格に近い値段で売却でき、結果的に残債務を減らせる任意売却のほうが有利と言えます。

住み替えを考えている方向けの売却戦略

「売ってから買う」か「買ってから売る」か

住み替えを検討している場合、先に現在の住まいを売ってから新居を買う「売り先行」か、先に新居を押さえてから現在住んでいる家の売却を進める「買い先行」の、どちらかを選ぶことになります。

売り先行

売却価格の決定後に新居を探せるため、資金計画が立てやすく、ローンも組みやすい選択肢です。

買い先行

引っ越しを早められますし、旧居の売却にも時間をかけられますが、タイミングによっては二重にローンを組むことになり、経済的な負担が重いというデメリットを持っています。

基本的には、資金繰りのしやすい売り先行がおすすめです。

住み替えのタイムラグを減らす

売り先行で住み替える場合、旧居の売却から新居の購入まで仮住まいをすることになります。
仮住まいの期間が長くなればなるほど、家賃などもかさむため、住み替えは段取り良く売却手続きと新居の準備を進め、タイムラグを減らすことが重要です。

不誠実な不動産業者に売却を任せると、想定よりも売却価格が安くなったり、売却に時間がかかったりしてスケジュール調整が難しくなるため、不動産業者探しにも力を入れましょう。
不動産の売却と新居探しを同じ不動産業者に任せれば、「多少安くても家を早く売ってすぐに新居に引っ越したい」「時間をかけて少しでも不動産を高く売りたい」といった売り主の希望に沿った住み替えがしやすくなります。

金融機関との交渉と準備の進め方

ローン残高を確認

住宅ローン残債のある家を売却する時の第一歩は、現時点のローン残債を正確に把握することです。
不動産をいくらで売れば、不足額をいくら用意すればローンを完済できるのかわからない状態で売却準備を進めても、適切な売却プランは建てられません。
住宅ローンの残高は、ローンを組んだ時にもらえる返済予定表や、毎年金融機関から送られてくる残高証明書、または金融機関への問い合わせで確認できるため、都合の良い方法で残高を確かめましょう。

抵当権抹消に必要な書類の受け取り方

抵当権の抹消登記をするためには、ローンを完済し、金融機関から完済の証明書である「弁済証書」を受け取る必要があります。
ただ、金融機関に事前連絡せず、突然ローンを完済しても、すぐには書類を受け取れません。
そのため、ローン残債のある家を売る時は、売買契約書を作成し、決済日を決めた段階で、金融機関に連絡して「◯日にローンを完済するため、書類の準備をお願いします」と伝えておく必要があるのです。
なお、必要書類の準備に関する連絡や書類の受け取りは、売り主がしても構いませんが、委任状があると司法書士に任せられます。

任意売却時の金融機関とのやり取りのコツ

任意売却は、金融機関に、本来なら売却できない不動産の売却を特例として認めてもらう手続きです。
任意売却をするためには、金融機関の合意が必須なので、事前に金融機関に相談し、返済が難しいこと、競売よりも任意売却の方が金融機関も多くの負債を回収できること、今後も残債の返済を続けていく意思があることなどを説明する必要があります。

ローンを滞納してから連絡をするより、滞納する前に相談する方が金融機関側の心象が良いため、任意売却を考えている場合は、早目に金融機関へ相談しましょう。

売却にかかる費用と税金

仲介手数料・抵当権抹消費用などの諸経費

ローン残債のある不動産を売る場合、以下のような諸経費が必要です。

    仲介手数料 抵当権抹消登記費用 司法書士報酬 印鑑証明書等の取得費 引っ越し代 一括完済の手数料

金額的に大きいのは、最大「不動産売却代金×3%+6万円」の仲介手数料となります。
また、売却代金でローンを一括完済する場合、金融機関によっては手数料を請求されるため、事前に手数料の有無を確認しておきましょう。

譲渡所得税の発生条件と控除制度

不動産の売却代金から、仲介手数料等の必要経費を差し引いた利益に対して、「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課税されます。
ただし、マイホームの売却や親から相続した実家の売却だと、最大3,000万円の特別控除を利用できるため、売却益が3,000万円以下なら税金はかかりません。
その他、マイホームの売却時に使える控除の特例は多いです。
制度を知っておくことで節税ができるため、不動産を手放すときは、事前に税理士や不動産業者に相談し、どういった控除が使えるのか調べましょう。

損失が出たときの損益通算の活用

不動産売却で赤字が出た場合、条件によっては、損失分を給与所得や事業所得の控除にして、所得税や住民税を節税できます。
また、1年間の損益通算で売却損失をカバーしきれない場合、最大3年間赤字を繰り越し可能です。
不動産売却で損をしても、本業の収入に対してかかっている所得税や住民税が下がれば、家計の負担を抑えられます。
なお、節税の控除等を利用するためには、確定申告が必須です。

まとめ

不動産の売却代金や自己資金、住み替えローン等を利用してローンを完済できるなら、住宅ローンが残っていても家を売却できます。
アンダーローンで通常の売却方法を選べない場合も、金融機関に相談して許可を取れば、任意売却が可能です。

ただし、ローンの残債や物件の売却予想額、手持ち資金や時間的な余裕など、状況によって自身に合った売却プランは変わります。
住宅ローンの返済中に売却を進める場合は、できるだけ早く不動産業者や金融機関、税理士等に相談し、より良い選択肢を探りましょう。