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column 843.
住宅ローンのオーバーローンとは?フルローンとの違いやメリット・デメリットを解説2023-04-28
マイホームを検討している方にとって、住宅ローンは強い味方です。 ただし、オーバーローンには注意点がいくつかあるため、利用には慎重に検討する必要があります。 ここでは、オーバーローンの概念や特徴、利用するときの注意点などをまとめてお伝えします。 オーバーローンとは?
住宅ローンにおけるオーバーローンとは、不動産価格よりもローン残債の方が大きい状態を指す言葉です。
家を売却する時のオーバーローンとは、「売却価格よりも住宅ローンの残債が多い状態のこと」です。 本来は、前者のケースで使われていた言葉ですが、最近では後者のケースで「オーバーローン」といわれることが増えています。 オーバーローンの状態になる主なケースオーバーローンを、具体的なケースで説明します。 ●【ケース1】金融機関から「諸費用」も借り入れた時
住宅ローンは本来、建物や土地を担保に融資する金融商品です。 たとえば、物件本体価格3,000万円の家を購入する時、諸費用にかかる200万円を含めた3,200万円を金融機関から借り入れると、必然的にオーバーローンになります。 ●【ケース2】売却額よりローン残債が高い時家の売却額が2,000万円なのに、住宅ローンの残債がそれ以上ある時も、オーバーローンの状態です。 この場合のオーバーローンは、「金利が上がって残債が増えた」というケースや、「建物の価値がなくなり売却額が安くなった」というケースなど、さまざまなパターンが想定されます。 とりわけ土地よりも建物の価格が高い家の場合、資産価値は建物の方が下がりやすいため売却額が下がりやすく、オーバーローンになる可能性が高くなります。 フルローンとオーバーローンの違いオーバーローンに似た言葉で、「フルローン」という言葉があります。
フルローンとは、「物件価格と同額を借りること」です。
住宅ローンは本来、頭金を用意しないと借りられないものでした。
一方で、オーバーローンは「物件価格に諸費用を足した額を借りること」です。 オーバーローンのメリットオーバーローンには、次のようなメリットがあります。 ●自己資金がなくても家を買えるオーバーローンの一番のメリットは、自己資金がない人でも不動産を購入できることです。
フルローンを含めた一般的な住宅ローンの場合、物件の本体価格はローンで払えても、諸費用は自己資金で用意しなければなりません。 ●消費者金融やカードローンより金利が低い住宅ローンの金利は、消費者金融やカードローン、クレジットカードのキャッシングよりも低く設定されるのが一般的です。 諸費用の分もどこかで借り入れる予定の方は、消費者金融などを利用するよりオーバーローンにした方が返済負担は軽くなります。 ●住宅ローン控除の控除額が増える
住宅ローンでマイホームを購入すると、最長13年間の住宅ローン控除が受けられます。
なお、住宅ローン控除には上限がありますし、納めた所得税や住民税以上の還付は受けられません。 オーバーローンのリスク
オーバーローンには、メリットだけでなくリスクもあります。 ●審査が厳しい
住宅ローンの審査は、借入額が大きくなるほど厳しくなります。
一般的に、住宅ローンの借入可能額は年収の5~7倍ほどといわれます。 ●金利が高く返済負担が重くなる
金融機関から見ると、オーバーローンは滞納されるリスクが高い商品です。
金利が高くなれば、返済額も増えます。 オーバーローンに限らず住宅ローンの借入額を検討する時は、無理のない返済額を把握した上で借入額に対する返済シミュレーションを行うことが重要です。 ●売却できない可能性があるローンが残っている不動産を売る時は、売却代金や手持ちの預貯金でローンを完済する必要があります。
オーバーローンの物件だと、売却代金だけでは完済できないため、必然的に多額の自己資金を用意することが求められます。 将来売却する予定がある方は、オーバーローンの利用は避けた方が無難です。 オーバーローンの時の返済シミュレーション金融機関にもよりますが、オーバーローンの金利は通常の住宅ローンより1~2%高く設定しているところが多いようです。
たかが1%でも、返済額は大きな違いが出てきます。 なお、前提条件は以下の通りです。
●前提条件
なお、「一般的な住宅ローン」では頭金を1割用意し、借入額は2,700万円とします。 以上の条件をもとに試算した結果は、以下の通りです。
参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
金利1%アップのオーバーローンでは、毎月の返済額が3万2,993円のアップ、総返済額は1,385万円のアップです。 一般的な住宅ローンでは、頭金と諸費用をあわせて500万円を自己資金で用意する必要がありますが、それを総返済額に含めてもオーバーローンの方が885~1,654万円も高くなるのです。 オーバーローンを利用する時は、現在の収入で返済できるか否かも慎重に検討することが大事です。 オーバーローンの家を売却する方法オーバーローンの不動産は、その売却額で住宅ローンを完済できないため、売却することができません。
もちろん、自己資金で住宅ローンを完済できれば売却可能です。
とはいえ、高額な資金を準備するのは大変です。 ●住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、いま住んでいる家の残債と新居の購入費用を合わせて借り入れできるローンのことです。
ただし、住み替えローンは借入額が高額になるため審査が厳しいといわれます。 ●任意売却する任意売却とは、金融機関の了承のもと抵当権を抹消してもらい、不動産を売却する方法です。 ただ、任意売却するには金融機関だけでなく連帯保証人(保証会社)にも同意を得なければなりませんし、ほかにもさまざまな条件をクリアする必要があります。
また、競売の開札日前日までに売却するといった、売却活動に期限があります。 まとめオーバーローンを上手に活用すれば、自己資金がなくてもマイホームを購入できます。
ただし、審査が厳しい上、金利が高いため返済負担が重くなるといったデメリットもあります。
無計画にオーバーローンを利用すると、自己破産するリスクも高まります。 |

