戸建ての維持費とマンションの維持費はどのくらい変わる?維持費から見る戸建てとマンション比較
マイホームを検討するときは、物件価格や諸費用だけでなく、住み始めてからの「維持費」もあらかじめ確認しておくことが大切です。
住まいの維持費は、戸建てとマンションで大きく異なります。
それぞれの項目や必要な費用を知っておくことで、住み始めてからの生活にゆとりが生じやすくなります。
ここでは、戸建てとマンションの維持費の項目と目安の額をお伝えするほか、維持費を抑えるためのポイントも解説します。
マンションの維持費の平均は?
マンションの維持費には、「毎月必要な費用」と「不定期に必要な費用」の大きく2つに分けられます。
毎月必要な費用には、「管理費」「修繕積立金」「駐車場代」などが挙げられます。
国土交通省の調べによると、分譲マンションの管理費は1万7,103円(駐車場代を含む)、修繕積立金は1万3,054円が全国平均だそうです(※)。
これらを合わせると、マンションでは毎月約3万円の維持費が必要といえます。
また、不定期に必要な費用には「固定資産税などの税金」「火災・地震保険料」「修繕費(設備交換や専有部分のリフォーム代など)」といった、1年から数年に1回負担するものがあります。
物件やプランなどによりますが、マンションの固定資産税は年間8~10万円、火災・地震保険料は1年あたり5,000~1万円が目安です。
このほか、設備交換や室内のリフォーム代なども必要になります。
(※)出典:令和5年度マンション総合調査結果(国土交通省)
マンションの維持費の内訳と相場
マンションの維持費について、詳しく見ていきましょう
管理費
管理費は、マンションの共用部分における日常的な維持管理に使われる費用です。
共有部分の清掃や植栽の手入れ、エレベーターや廊下の電気代、管理組合の運営費や管理会社の委託費などに使われます。
管理費の相場は、物件の共用設備や規模などにもよりますが、月1~2万円くらいの物件が多く見られます。
修繕積立金
修繕積立金は、大規模修繕工事に備えて居住者で積み立てる資金です。
外壁やエントランス、配管工事、エレベーターの改修など、共用部分の修繕が必要になったときに使われます。
相場は、新築マンションでは1万~1万5,000円くらいが目安。
もっとも、共用部分の仕様にもよりますし、築年数が古い物件ほど修繕積立金は高くなるのが一般的です。
駐車場代
車を所有している方には、駐車場代も必要です。
目安は月5,000~1万円くらい。街の中心部に近いマンションだと、月2万円以上になる物件もあります。
固定資産税
マンションは区分所有になるため、固定資産税は戸建てよりも安くなるのが一般的です。
物件の広さや設備などにもよりますが、平均すると8~10万円くらいが目安といわれます。
なお固定資産税は、築年数の古い物件ほど安くなる傾向があります。
また、建物の評価額は木造より鉄筋コンクリート造の方が下がりにくいため、物件によっては木造一戸建ての方が税額が安いケースもあります。
火災保険・地震保険の保険料
火災保険や地震保険の保険料は、建物の仕様や保険会社のプランなどによって異なります。
マンションは戸建てと比べて保険料が安く、火災保険は1年あたり5,000円~1万円、地震保険をプラスすると1~2万円くらいが目安です(地震保険は地域によっても異なります)。
修繕費(専有部分)
この場合の修繕費とは、設備交換やリフォームなど専有部分の修繕に必要な費用のことです。
修繕費は、工事内容によって大きく異なります。
たとえば、トイレや給湯器といった設備交換であれば十数万円くらいの出費で済みますが、専有部分全体を改修するスケルトンリフォームやリノベーションを行えば、500~1,000万円になるケースもあります。
戸建ての維持費の平均は?
戸建ての維持費には、マンションのように「毎月必要な費用(管理費・修繕積立金・駐車場代)」はありません。
その代わり、管理の計画や修繕費の準備などを自分で行う必要があります。
戸建ての維持費には、固定資産税などの税金、火災・地震保険料、リフォーム代などが挙げられます。
これらの相場は、立地、物件の仕様、プランなどによって異なりますが、年間で20万~40万円くらいが目安の相場といわれます。
戸建ての維持費の内訳と相場
戸建ての維持費について、詳しく見ていきましょう
固定資産税
固定資産税は土地と建物それぞれにかかり、自治体が定める固定資産税評価額をもとに算出されます。
税額は立地や広さ、建物の構造など物件の仕様によりますが、平均すると10~15万円くらいが目安といわれます。
なお、固定資産税評価額は3年に一度見直され、築年数が古くなるほど下がっていくのが一般的です。
特に、木造住宅は評価額が下がりやすく、固定資産税も安くなっていきます。
火災保険・地震保険の保険料
火災保険や地震保険などの保険料は、建物の仕様や保険会社のプランなどによって異なります。
一般的には、鉄筋コンクリート造より木造の方が保険料は高いです。
また、広い物件ほど保険料は高くなる傾向があります。
平均すると、火災保険は1年あたり1~2万円、地震保険をプラスすると2~3万円くらいが目安とされます(地震保険は地域によっても異なります)。
修繕費
リフォームなどの修繕費について、一戸建ての場合は項目が多岐にわたります。
以下に項目の一例と、1回あたりにかかる目安費用を紹介します。
外壁塗装(10~15年に1回)
約100万円
屋根塗装(15~20年に1回)
約50万円
軒先・軒裏塗装(15~20年に1回)
約30万円
樋・床下メンテナンス(15~20年に1回)
約30万円
シロアリ防除(5年に1回)
約20万円
クロス張替え(7~10年に1回)
約20万円
上記の目安は1回あたりの費用ですから、仮に30年以上住み続けるなら、外壁塗装は2回(約200万円)、シロアリ防除なら5~6回(約100~120万円)は行うことになります。
さらに、キッチンやユニットバス、トイレなど設備交換も必要でしょうし、将来的にはバリアフリーに対応した改築費も検討する必要があるでしょう。
戸建てとマンションの維持費をシミュレーションで比較
これまで紹介した維持費を、戸建てとマンションそれぞれ30年間住み続けた場合の合計額で比べてみましょう。
なお修繕費に関しては、30年間にかかった設備交換・修繕に加え、リフォームを1回実施すると仮定。
総額で戸建ては1,000万円、マンション(専有部分)は500万円が必要とします。
■30年間に必要な維持費の合計額 固定資産税
約300~360万円
約240~300万円
火災・地震保険料
約60~90万円
約30~60万円
修繕費
約1,000万円
約500万円
(専有部分のみ)
合計
約1,360~1,450万円
約1,670~2,480万円
30年間の合計額を試算した結果、マンションの方が200~1,000万円くらい高くなると想定されます。
マンションは「毎月必要な費用」だけで900~1,620万円にもなり、これが大きな差となるようです。
ただし、専有部分のリフォームを行わなければ、戸建ての方が高くなるケースもあるでしょう。
物件の仕様にもよりますし、車を持たないなどのライフスタイルによっても、マンションの方が維持費は安くなるケースもあります。
マンションの維持費が支払えないとどうなるの?
マンションの場合、毎月必要な費用を勘案せずに購入すると、管理費や修繕積立金などの支払いが滞る恐れがあります。
これらの費用を滞納すると、管理会社または管理組合から支払いを求める連絡(催促状・督促状など)が来ます。
これに合わせて、未払い分に一定の利率を課した「遅延損害金」が請求されます。
それでも支払わないと、法的措置が取られるケースも。
管理組合などが裁判所に申し入れて物件を差し押さえ、競売による売却額で維持費を回収するといった手段を取ることも考えられます。
こうなると強制退去させられ、マイホームを失ってしまうのです。
管理費や修繕積立金は、マンション全体の資産価値に関わる重要な資金です。
支払いが困難な場合は、早目に管理組合に相談することが大切です。
戸建ての維持費が支払えないとどうなるの?
戸建ての場合、マンションのように毎月必要な費用が発生しないため、維持費が支払えないというトラブルは想定しにくいでしょう。
とはいえ、マンションにもある固定資産税や火災保険料が支払えなくなるケースも考えられます。
固定資産税を滞納すると、お住いの自治体から督促状や催告書が届きます。
また、税額とは別に延滞金も発生します。
それでも納税に応じなければ法的措置が取られ、給与や預貯金、家などの財産を差し押さえられることがあります。
また、火災保険料を滞納すると保険の効力がなくなります。
万が一、火災や災害に見舞われても保険金が支払われず、その後の生活再建に多大な労力と時間を要することになるでしょう。
マンションにもいえることですが、戸建ての場合も維持費を滞納すると深刻な結果を招く恐れがありますから、計画的な資金管理が不可欠です。
維持費を抑えるコツ
マンションや戸建てに必要な維持費は、工夫をすることで、ある程度、安くすることも可能です。維持費を賢く抑えるコツを紹介します。
毎月必要な維持費の安い物件を選ぶ
マンションの場合、管理費や修繕積立金、駐車場代が安い物件を選ぶことで、毎月必要な維持費を抑えられます。
物件選びの際には、これらの費用を不動産広告でチェックしましょう。
なお、修繕積立金は築年数の古い物件ほど高くなります。
新築マンションでもいずれ値上がりしますから、立派な共用施設のある物件は避けるなど修繕費を抑えられそうなマンションを選ぶのもポイントです。
駐車場代は、近隣の月極駐車場で契約した方が安くなることもあります。
ただし、雨の日などは不便に感じることがあるかもしれません。
車がなくても生活できる環境であれば、売却するのも一手です。
駐車場代だけでなく、ガソリン代や税金の負担もなくなります。
小まめなメンテナンスを心がける
キッチンやトイレといった住宅設備は、小まめに掃除をするなどメンテナンスを心がけることで寿命を延ばせ、交換費用を削減できることがあります。
戸建ての場合、外壁や屋根のひび割れなど、小さな不具合を放置しないことが大切です。
早期に修理することで、大規模修繕の費用や頻度を抑えることにつながります。
そのほか、庭の手入れや簡単な塗装などは、自分で済ませることで維持費を節約できることもあります。
火災保険を見直す
火災保険は、プランや保険会社によって保険料が異なります。
必要最低限の補償プランに変更したり、同じ内容でも保険料の安い会社と契約したりすることで、維持費を削減できます。
複数の修繕業者(リフォーム業者)に相見積もりをとる
リフォームをする際には、複数の業者に見積もりを依頼して比較することもポイントです。
マンションの大規模修繕工事の場合、同じ工事内容でも業者によっては数百万円も違うことがあります。
ただし、単純に価格だけで決めるのはおすすめできません。
工事に伴うサービス内容や実績なども比較検討した上で、選ぶことが大切です。
まとめ
一般的に、物件価格はマンションの方が安いですが、維持費は戸建ての方が安いといわれます。
マンションか戸建てかで迷った時は、物件価格と長期間の維持費を足して、どちらの費用が抑えられるかで選ぶのも一手でしょう。
もっとも、人それぞれの価値観にもよりますから、どちらが家族にとってベストなのかを考え、総合的に判断することが大切です。
なお、マンションを選ぶ方は管理費と修繕積立金を必ずチェックしてください。
これらの費用は、自分の努力では変えられません。
住宅ローンの返済額に管理費と修繕積立金、車をお持ちの方は駐車場代も含めて、払い続けられそうな維持費のマンションを選ぶことが、滞納リスクを避けるポイントです。