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不動産の無料査定は本当にタダ?費用がかかるケースと対処法2025-12-09
不動産の無料査定は本当にタダ?費用がかかるケースと対処法
不動産業者の査定は、無料で受けられます。 査定を受けても、業者と契約する必要はないため、「不動産の価値を知りたい」「査定結果が良ければ売却を考えたい」といった理由でも気軽に利用可能です。
ただし、無料査定と謳っていても、本当に無料なのか不安に思う方も多いでしょう。 そこで今回は、不動産査定の種類や、無料査定と有料査定の違い、査定後に良くあるトラブル対策など、安全かつスムーズに不動産を売るために押さえておきたい知識についてご紹介します。
不動産査定って何?費用は無料って本当?
査定の種類と特徴
不動産業者の査定は、大きく分けると「机上査定」と「訪問査定」の2種類です。 机上査定は、不動産の現物を見なくてもわかる情報、立地や面積、建物の築年数に周辺知識の売買事例などを使って、大体の売却予想額を求めます。
訪問査定は、不動産業者の担当者が現地を訪問し、実際に物件や土地の状態を見た上で、査定価格を算出するのが特徴です。 どちらも無料で利用できます。
なぜ査定は無料なの?不動産業者のビジネスモデルとは
不動産の査定をタダで受けられる理由は、そもそも不動産業者の有料査定が違法であり、何より業者側も査定を無料にした方がメリットを得られるからです。
不動産所有者の代わりに売り主や買い主を探す不動産仲介業は、宅地建物取引業法という法律によって、「原則、仲介手数料以外のお金を請求してはならない」と決められています。
不動産業者が査定を有料にした場合、宅建業法違反になるリスクがあり、ほとんどの業者が無料査定をしている中で有料査定を提供しても、問い合わせが減るだけなので、経済的なメリットも期待できません。
査定自体に人件費などのコストがかかるのは事実ですが、不動産仲介業は、無料査定で問い合わせを増やし、成約数を伸ばした方が儲かるビジネスモデルなので、大手業者も地元業者も、査定にお金はかからないのです。
また、現在本気で不動産の売却を考えていないという方も、将来顧客になる可能性があります。 そのため、「売る気がないのに査定を受けても大丈夫なの?」と不安になる必要はありません。
お金がかかる場合もある?査定に費用が発生するケース
不動産鑑定士に依頼する場合
不動産の価値を測る方法には、「鑑定」というものも存在します。 一見すると査定と同じものだと感じるかもしれませんが、不動産の鑑定は、国家資格である「不動産鑑定士」の資格保持者にのみ許された仕事です。 不動産鑑定士は、国が定めた不動産鑑定評価に従い、裁判所等でも通用する「鑑定評価書」を作成でき、鑑定評価書を依頼する場合は、20万円程度の費用がかかります。
また、鑑定評価書ほどの証明力は必要ないものの、不動産業者による査定結果だけでは不十分だと感じる場合、不動産鑑定士に有料での査定も依頼可能です。 主に、相続や立ち退き交渉など、不動産の価値を公的に証明した方が良い場面で、有料査定である鑑定が利用されます。
土地家屋調査士に測量を頼む場合
査定とは異なりますが、土地の境界線があいまいな土地、隣地の所有者と境界トラブルを起こしている土地などを売却する場合、どこからどこまでが自分の土地なのかを確定させる手続き、「測量」が必要です。
土地の価格は、「単価×面積」で決まるため、土地の広さや境界線が不明確だと、土地をいくらで売れば良いのか、適切な査定ができません。 公的な測量も、土地家屋調査士という国家資格所有者の独占業務なので、何らかの事情で測量を行う場合、50万円程度かかります。
「無料」の落とし穴!査定後の費用トラブルと対処法
無料査定で広告費や調査費を請求される
法律上、不動産業者は査定費用を請求できません。 しかし、消費者の無知に漬け込み、査定料や調査費などの名目で、お金を請求してくる悪徳業者も存在します。 別途、実費のかかる宣伝広告などを頼む場合はありますが、査定自体は無料で、仲介手数料以外にお金を支払うことはないので、怪しい費用を請求されたら、その場で支払わずに弁護士へ相談しましょう。
査定後にしつこく勧誘の電話やメールが届く
条件の良い不動産だと、査定を受けた後、何度も「当社で不動産を売りませんか」という営業電話がかかってくる可能性があります。
ただし、査定を受けたからといって、売却の契約まで結ぶ必要はありません。 営業の連絡が面倒な場合は、今は売却を考えていない等の事情を伝え、明確に今後の営業を断りましょう。
拒否しても連絡をしてくる場合は、不動産業者のホームページなどで会社名と宅地建物取引業者としての免許番号を調べ、行政の窓口に報告すると効果的です。
費用トラブルを避けるためのポイント
不動産売却の査定費用に関するトラブルは、「実はこの費用が必要だった」と後から提示されるケースが多いため、不動産業者と契約する際は、必ず契約書の中身を隅々まで確認しましょう。
また、請求をされた時、内訳や金額の詳細を書面で出してもらうことも重要です。 相手側から請求に関する書類を受け取っておけば、その内容が法的に妥当かどうかを弁護士などに相談できます。
査定とは別にかかる売却費用
仲介手数料を含む諸経費と税金
不動産売却を業者に仲介してもらう場合、成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。 仲介手数料の上限額は、「売却価格×3%+6万円(税別)」なので、売却価格が3,000万円を超えると100万円以上の出費です。
また、不動産売却で利益が出たら、利益に応じた譲渡所得税や住民税を納めることになりますし、売買契約書を作る際に印紙税も求められます。 不動産売却価格の4~6%を諸費用として支払うため、不動産を売るなら節約や節税対策も同時に進めましょう。
ホームインスペクションの費用
ホームインスペクションは、建物の劣化状況や修繕の必要性を、専門家に調査してもらうサービスです。 戸建ての場合、5万円前後かかります。 中古住宅の売却時、必ず必要なサービスではありませんが、ホームインスペクションを受けておくと買い主の信頼を得やすくなりますし、売却後のトラブルも防げるため、余裕があれば利用を検討すると良いでしょう。
各種必要書類の取得費
不動産売却は大きな取引なので、不動産の所有権を証明できる書類や、公的な本人確認書類、実印の有効性を示す印鑑証明書などが必要です。 これらの書類は、発行時に数百円の手数料がかかります。 売買契約の締結日や物件の引き渡し日に必要書類が足りていないと、スムーズに手続きできないため、事前に不動産業者へ問い合わせ、必要書類を揃えておくことが重要です。
リフォーム・解体費用
老朽化の影響で住みづらかったり、住めなくなったりしている家を売る場合、状況によってはリフォームや解体工事が必要になるケースがあります。 壁紙の日焼け、フローリングの傷等、小さな修繕であれば費用は小額で済みますが、水回りのリフォーム等になると、修繕費・リフォーム費用が100万円を超えることも珍しくはありません。
解体工事に関しても、木造戸建ての解体は坪単価3~5万円かかります。 前面道路の関係上、重機が入れないため別途費用がかかるなど、特別な事情で費用がかさむ場合もあるため、リフォームや解体は、費やす金額と工事で得られるメリットを慎重に見極めましょう。
粗大ごみや残置物の撤去費用
新居に持って行けない家財道具や粗大ごみは、費用を払って処分する必要があります。 たとえば、エアコンや冷蔵庫等の電化製品なら、家電リサイクル法に則ったリサイクル料や回収料がかかりますし、充電池を使用した小型電化製品も、発火の危険性があるため通常のゴミと同様に処分できません。
ある程度の荷物量があると、リサイクル業者や不用品の回収業者への依頼も必要になるため、不用品が多い場合は、10~20万円程度の処分費用がかかることも考慮しておきましょう。
引越し代金
不動産の売却後、新居へ引越す代金も必須です。 引越し料金は、旧居から新居までの距離、荷物の量や繁忙期かどうかなどによって変わりますが、ファミリー世帯であれば10万円ほどかかります。
また、3月や9月の繁忙期は、料金が高騰し、引越し予約もなかなか押さえられません。 引越し手続きが遅れると、一時的にレンタル倉庫などに荷物を預けておくことになり、出費が増えるため、早目に引越し業者の見積もりを取りましょう。
査定のコストを抑えよう!不動産業者の選び方と比較のポイント
複数社の査定を受ける
不動産業者による査定は、業者によって判断基準が違うため、結果に差があります。 また、不動産業者の査定は、売却予想額です。 査定額が高いと、実際の売却額も高くなるわけではないため、不動産をスムーズに売るためには、相場に合った査定ができる業者と契約する必要があります。 そこで活用したいのが、相見積もりです。 複数社の査定を受ければ、仮に契約を取るために査定額を高くする業者がいても、冷静に判断できます。
不動産業者を比較するときのポイント
不動産業者を見定めるときのポイントは、できるだけ多くの項目を比べることです。 査定額だけでなく、対応の誠実さや説明のわかりやすさ、人格的な相性、質問に対するレスポンスの早さなど、さまざまな観点で業者に点数を付けて比較すれば、信頼できない業者との契約を避けられます。 不動産業者に対して支払う仲介手数料の上限額は、大手でも地域密着型の業者でも同じなので、相性の良さや実績を重視すると良いでしょう。
まとめ
不動産査定は、原則無料です。 ただ、中には法律で禁じられている費用を請求してくる業者もいますし、有料の不動産鑑定や測量が必要になるケースも存在します。
売却の最中に思わぬ出費が発生すると、資金計画が崩れてしまうため、不動産売却では費用の内訳を把握しておくことが重要です。
また、信頼できる不動産業者と契約できれば、売却自体もスムーズになります。 複数社に見積もりを頼み、査定額だけでなく対応等も比較して、相性の良い不動産業者を選びましょう。
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