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column 334.
「いずれ売る」は失敗のもと!不動産売却における認知症のリスクとは2020-01-06
「まだまだ親は元気だし、相続の対策や不動産売却について考える必要はない」
しかし、高齢社会への道を突き進む日本において、高齢者の認知症リスクは非常に身近な問題になっています。 そこで今回は、不動産売却における認知症のリスクや、親が認知症になってしまった場合の不動産売却方法などをお伝えします。 「親が認知症になってから」の不動産売却は難易度が跳ね上がる●不動産売却ができるのは登記上の名義人だけ
原則として、不動産売却手続きを実行できるのは、法務局の登記に登録されている名義人だけです。 もちろん、高齢になって寝たきりなどの状態であっても、本人の意思確認さえ取れれば、病院や介護施設で弁護士等に立ち会ってもらい、正式な売買契約を結べます。
ここで問題になってくるのが、高齢社会を悩ませる認知症リスクです。 ●高齢社会の日本では認知症が身近な問題になっている政府の調査によると、2012年時点で65歳以上の7人に1人だった認知症の患者数は、2025年にはおよそ5人に1人まで増えるとされています。(※1) 日本人の平均寿命が年々伸びていることを考えれば、「体は元気だが認知症で法的な判断能力がない」人や、「認知症でなおかつ寝たきりになっている」人の数も増えていくでしょう。
認知症以外にも、本人が急病等で意識不明の状態にあれば、本人の意思を確認する手段がないため、売却の難易度は一気に跳ね上がってしまいます。
認知症リスクや増大する介護負担を考えると、不動産売却が難しくなっていく可能性が高いです。
(※1)内閣府:平成29年版高齢社会白書(概要版) 持ち主が認知症になった場合の売却方法●売却の意思確認をできるなら代理人契約を通して売却できる親が認知症になっていても、医師から十分な判断能力があると判断される場合は、代理人契約を結んだり、本人に売買契約書を見せたりすることで不動産を売却できます。
ただし、認知症は時間とともに進行していく症状です。 ●「成年後見人」という制度を利用して本人の代わりに売る親が認知症になっており、すでに本人の意思確認を取れない場合におすすめしたいのが、「成年後見人」制度の利用です。
成年後見人がいる場合、本人に意思決定力がなくても不動産を売却できます。 成年後見人になった親族が、本人の財産を使い込む事件が相次いだことから、親族ではなく司法書士や弁護士を指定されるケースも増えています。 なお、成年後見人が不動産を売却するためには、
といった「売却することが親の利益になる」理由が必要です。 成年後見人の申し立て方●重要事項の説明には宅建資格の保有者が必須成年後見人の申し立て手続きは、
という順番で進めていきます。 また、窓口では、
の支払いも求められます。 必要書類が欠けていると手続きできないため、前もって裁判所へ相談し、家族会議を終えてから申し立てを行いましょう。 まとめ
不動産の所有者である親が認知症になってしまうと、たとえ実子や配偶者でも不動産を売却できません。 「まだ大丈夫」と考えている内に親が認知症になった場合、より良いタイミングや戦略で不動産を売り出す余裕がなくなってしまうので、早めに不動産売却の準備を始めましょう。
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